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ボビー視点。
クララとクレアに泣きつかれ、セシリアには相変わらずの無表情で見送られ、僕は屋敷を出た。
これからは、学園の寮で生活することになるのだ。
不安と期待が入り混じった妙な気持ちを落ち着かせるために、昨夜セシリアからもらったお守りを撫でた。
羨ましそうな視線を向けてくるのは、馬車の向かいに座っているエドワードだ。
その様子を隣に座っているシドがどこか寂しげな目をして見ていた。
その横顔を見て、ずきん、と心のどこかが傷んだ気がした。
でも、たぶん気のせいなんだ。
そう、気のせい、だ。
「エドワード、どうしてセシリアのことが好きなの?」
僕の問いに、エドワードは懐かしそうに瞳を細めて、それから語り始めた。
シドは耳を倒れこませて、辛そうな顔をしているけれど、彼にとっても聞いておくべきなんだと思うんだ。
そう思うのは、偽善なんだろうか。
僕は本当は、君を傷つけたいんだろうか。
妹とよく似た髪色をして、妹とよく似た無表情の君を。
エドワードのことが好きでたまらない、君のことをーーーー。




