ヒロインの名は、エドワード王子。
真っ赤に燃えるような髪をしたエドワード王子の前に、立った私たちに彼らの視線が突き刺さる。
その子どもらしい純粋無垢な瞳たちに、私は何故か罪悪感を覚える。
どうしてか、イケナイことをしているような気分になってしまうのだ。
きっと、彼らが美しすぎることに原因がある。
ボビーお兄様が緊張した面持ちで口を開いた。
「この度は、エドワード王子の誕生祭にお招きいただき、誠にありがとうございます。私、ブラッドレイ公爵家の長男ボビーと申します」
それから、騎士の礼を一つ。
「そして、こちらが妹のセシリアにございます」
ここで私がまだ覚えたてほやほやの拙い淑女の礼を一つ。
笑顔を見せないのは、緊張して顔が強ばっているからだということにしてもらおう。
決して、めんどくさいとかそういうことではない。
私たちの挨拶に、エドワード王子はにかっと人好きのする笑顔を見せて、こう答えた。
「硬っ苦しいのとか俺嫌いだから、普段通りにしてよ。ボビーとセシリアだっけ? 俺のこともエドワードとか呼び捨てでいいからさ」
エドワードの言葉にボビーお兄様があたふたと慌てている。
「い、いえ! そんな滅相もございません」
えー、なんでだよーとほっぺたを膨らませてぶぅたれるエドワード王子に、私は酷く安心感を覚えるのであった。
あぁ、フジョシなる友人から聞いたゲームのキャラクターそのままだ、と。