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7話 ダンジョン

 異世界に来てから1ヶ月。

 今日は、訓練の成果を見るためにこの国にあるダンジョンに来ていた。

「お前達の実力じゃ今回は、余裕だろうが気を引き締めていけよ!今回は、俺が相手じゃないんだ!相手は、お前らを本気で殺しにかかる魔物だ!そこをちゃんと理解して挑むように!」

「「「はい!!」」」

 とうとう待ちに待っていたダンジョン探索だ!

 ダンジョンだと訓練じゃ絶対に上がらないものがある。それは、レベルだ。レベルを上げるためには、命あるものを殺さないとレベルは上がらない。

 別に自分の強さに驕りがあるつもりは無い。ちゃんとどんな相手でも本気で倒す。

 だが、今日の相手じゃ危険な目にあうことは無いだろう。

 だけどシェレールさんに言われたからな。


「柊さん、ダンジョンは命の駆け引きです。絶対に気を抜かないで下さいね。そしてちゃんと帰ってきてくださいね。」


 ちゃんと生きて帰ろう。初めて俺の帰りを待ってくれる人ができたから。

 あぁ、なんか嬉しいな。帰りを待ってくれる人がいるってのは。まぁ、俺だけじゃないんだろうけど。たぶん勇者全員に言ってるんだろうな。

「柊君、今日は頑張ろうね!」

 俺が一人で歩いていると白井が駆け寄ってきてそう言ってきた。

「ああ、そうだな。」

「まぁでも柊君のステータスなら余裕そうだけどね。」

「まぁそうかもしれないけど全力で行かないとね。」

「そうだね!さすが柊君、自分の力に驕りがないってすごいよ!」

「そうかな?俺は、死にたくないだけ。ただの臆病者だよ。」

「ううん!そんなことない!!本当の臆病者は、自分が嫌なこと、危険な時に逃げる人のことを言うんだよ!死ぬのが怖いなんてみんな一緒だよ!」

 白井は、そこまで言うと肩で息をしていた。

「ありがとう、白井。お互い頑張ろうな!」

「うん!」

 俺たちは、話しているといつの間にかダンジョンの前に着く。

「よし!みんな着いたぞ!さっきも言った通り気を引き締めていくように!それじゃ行くぞ!」

 ゲイビスさんは、そう言うとダンジョンの中に入った。

 ダンジョンの中は、洞窟みたいな形になっていた。

 薄暗い空間に小さな明かりがいくつも置かれているので何とか先が視認出来る。

 それから10分ほどダンジョンの中を進む。

「お!早速魔物のお出ましだ!」

 異世界に来て初めての魔物だ。どんな魔物だろう。

 俺は、そう思い少し体をずらして魔物を見る。

 その魔物は、小さな小人みたいな魔物で体は、緑色。そして武器に金棒みたいなものを持っている。

「こいつはゴブリンだな。お前らでも簡単に倒せるだろうが最初は俺が手本を見せる。」

 ゲイビスさんは、そう言うと剣を抜き構える。

「キシャァァァァァ!!」

 ゴブリンは、ゲイビスさんに向かって叫びながら走る。

 そしてゴブリンの持っている金棒がゲイビスさんに向かって振り下ろされる。

 ゲイビスさんは、その攻撃を軽く躱しゴブリンの胴体を切る。

 真っ二つになったゴブリンは、声もなく息絶えた。そして、砂状になってダンジョン内に消えていった。

「まぁこんな程度だ。相手の攻撃を確実に躱し反撃する。これには相手が向かってきても慌てず的確に相手の攻撃を見切る必要がある。」

 ゲイビスさんは、一つ一つ丁寧に魔物との対戦の仕方を教えてくれる。

 俺は、それをしっかりと聞きこれからにも生かせるようにする。

「よし、今日は、みんなに最低1匹魔物を倒してもらうから2人1組となってダンジョンを探索してくれ。組んだものから探索していいぞ!だけどそさこの階より下には行くなよ!」

 2人1組か。どうしよう、誰もいないんだけど。

「柊君、私と組まない?」

 声をかけてきたのは、白井だった。

「あ、ああ、俺でよければ別にいいよ。」

「じゃあ一緒に……」

「おい待てよ!」

 俺と白井が会話しているところに神崎が割り込んできた。

「なんでお前みたいなクズが白井さんと一緒に組まなくちゃいけないんだよ!白井さん、こいつじゃ万が一のことが起こった時対処できないんで俺が一緒に組みますよ。」

 はぁ、こいつは。

 魔法の訓練は、一緒じゃないが、体術訓練は一緒なんだから俺の強さくらいわかるだろ。

 俺、普通にお前より強いと思うんだけど?

 と、心の中で思う。思うだけ、言葉には絶対に出さない。

「え?嫌だけど?」

「え!?」

 白井は、神崎に対して冷たくてキツイ一言を送った。

 神崎はまだその言葉の意味を理解していないらしい。

「だから、嫌って言ったの!あなたなんかよりも柊君の方が頼りになるもん!」

「………」

 神崎は、ただ呆然として突っ立ていた。

「それじゃ私、柊君と行くから!柊君、行こ!」

 白井は、俺の腕を無理矢理引っ張って奥に進んだ。

 それから数分後。ようやく誰も見えなくなったところで白井が止まる。

「ったく!いつもしつこいんだから!」

 白井は、突如愚痴をこぼした。

「神崎からなにかされていたのか?もしかして俺と関わっているからか!?もし、そうなら俺ともう二度と関わらないでくれ!」

「え!?違う違う!!」

「え?違うの?」

「うん、神崎くんね前から私に何度も告白来て何度も断ったのに毎日毎日私に関わってくるのよね!もう嫌!」

「そ、そうだったのか、良かった。もし、白井が俺のせいでいじめられたらって考えたら。」

「別に良くないよ!それに柊君のせいで私がいじめられても私、柊君から離れる気ないよ?」

「っ!……それよりも早く魔物出てこないかな?」

 白井の言った言葉につい照れてしまって話を誤魔化した。

「ふふ、そうだね、出てこない……ってあれ!魔物じゃない!?」

「なに!?」

 俺は、白井の指さした方を見る。

 あれは、さっきゲイビスさんが倒していた魔物、ゴブリンだ。

「よし、ここは俺が倒そう。」

「うん!任せるね!」

 俺は、1歩前に出て剣を抜きゴブリンと対峙する。

 先にしかけたのはゴブリンだった。

 さっきみたいにゴブリンは金棒を俺に振りおろす。

 俺は、その攻撃を軽く躱して剣で胴体を切る。

 するとさっきみたいに砂状になってダンジョン内に消えていった。

「お疲れ様、柊君!カッコよかったよ!」

「そ、そうかな?」

 俺って褒められるのに慣れてないからすぐに照れてしまうな。

「それじゃ、この調子でどんどん魔物を倒そうぜ!」

「うん!」

 俺たちは、再びダンジョンの中を探索する。

 ダンジョンの探索を始めて1時間。

 俺たちは、ゲイビスさんの合図で元の場所にもどり、帰宅する。

 そして無事に城に着いた。

「よし、今日はお疲れ様!明日も今日みたいな感じになるからな。それじゃ明日も訓練があるからしっかりと休むように!」

「「「はい!」」」

 俺たちは、解散し俺は、部屋に戻った。

 そして部屋についてある個人用のシャワーで体を流す。

 はぁ!気持ちいい!!

 俺は、風呂に入り体を温める。

 あ!そうだ!今日でどれくらいレベルが上がったかな?見てみよう。

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