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10話 合成魔法

 今日は、ダンジョン探索ではなく魔法の訓練の日だ。

 魔法の訓練は、前までは俺一人だけシェレールさんとの訓練だったのだが、今日からはみんなも交えてのシェレールさんとの訓練だ。

「柊君は、ずっとシェレールさんと魔法の訓練をしていたんだよね?」

 白井は、俺にそう問いかける。

「ああ、そうだけどそれがどうかした?」

「ううん、ちょっと気になっただけ!それよりもシェレールさんの魔法の訓練は厳しい?」

「う~ん、どうだろうな。人によって感じ方が違うからな。俺は、少なくとも楽しかったぞ。」

「そうなんだ、私も楽しいと感じられたらいいな。」

 そんな話をしているとシェレールさんが来た。

「勇者様方、今日からは私が魔法の特訓をしますので分からないことや困ったことがあればなんでも聞いてください。」

 シェレールさんは、初めの授業で誰もがいいそうなことを言った。

「それじゃ早速訓練を始めます。柊さん以外の皆様は魔法の実戦訓練をするのが今日初めてと思いますので皆様はまず魔力を感じ取れるようになってもらいますね。」

 へぇ、まだみんな魔法使えないのか。通りでみんなダンジョンの時、武器で戦っていたのか。

「あ、それと柊さんはもう魔力を感じ取れることが出来ますので1人で魔法の練習をしていてください。」

 まぁそうだよな。

 シェレールさんは、みんなに教えないといけないから俺は結果的に1人になってしまうのである。

「それじゃ柊さんは魔法の訓練用の場所に行ってください。」

「はい。」

 俺は、1人とぼとぼといつもの魔法の訓練用の場所に行った。

 俺は、そこに着くとちゃんと力の手加減をして魔法を放つ。

 1時間程度だろうか。ずっと俺は、無心で魔法を放ち続けていた。

 でも全然疲れないな。

 まぁあんなレベルになってあんな魔力になったんだからな、それにMP自動回復Lv10もあるから魔力が減ることないし。

「柊さん、お疲れ様です。」

 声の方を向くとシェレールさんが立っていた。

「ああ、シェレールさんか。どうしたんですか、みんなを見なくて大丈夫なんですか?」

「あははは、本当は見なくちゃいけないんだけど柊さんが1人でいるのもなんか嫌だなって考えてしまってつい来ちゃいました!ってへ!」

 シェレールさんは、頭に手をこてんっと乗せ下を出した。

 めちゃくちゃ可愛い!!

「そ、そうなんですか、別に俺のことはいいですからみんなのことを見ていてあげてください。」

「それは出来ませんよ。だって、柊君さんも私の生徒なんですから生徒の面倒を見るのは教育者の役目です!」

 シェレールさんは、これだけは譲れないと言った感じでそう言う。

「それでしたら少し見ていてください、ちょっと試したいことがあるので。」

「試したいことですか?」

「はい。」

 俺は、そこまで言うと魔力に意識を注ぐ。

 俺が今から試そうとするのは合成魔法だ。

 まずは火魔法と風魔法。

 風魔法は竜巻のイメージを持って、そしてその竜巻全体に火を渡らせるように。

 うん、いい感じ!

 まぁ今回は初めてだからだいぶ力を抑えたけどね。

「柊さん!?な、何をしたんですか!?」

「風魔法と火魔法を合わせた合成魔法ですよ。」

「ご、合成魔法!?そんなことができるのですか!?」

「まぁ、簡単ではないですけど力の制御が上手くいけば出来ますよ。」

「力の制御ですか、私も今度試してみたいので柊さん、教えて貰ってもよろしいですか?」

「ええ、別に俺でよければ。」

「本当ですか!?嬉しいです!!」

 シェレールさんは本当に嬉しそうに笑っていた。

「あ、そろそろ時間ですね。もう終わるので柊さんも戻ってきてください。」

「はい、分かりました。」

 俺とシェレールさんは、二人並んでみんなの元まで歩く。

 そして、みんなの元に着くと今日の訓練はこれで終了とシェレールさんが告げる。

 みんなは各自の部屋に戻って行く中俺は、この後いつも通りシェレールさんとお茶をするため残っていた。

「あれ?柊君、戻らないの?」

「ああ、ちょっとこの後用事があってな。」

「そうなんだ、じゃあまた夜ご飯の時に。」

「ああ、またな。」

 白井が自分の部屋に戻って行ったのを見終わると俺は、お茶に行くためにシェレールさんとのころへと向かおうとした。

 だが、シェレールさんのところにはすでに1人誰かがいてシェレールさんに言いよっている。

「シェレール様、これから僕と散歩でもしませんか?」

 俺は、少し近づいて誰かを確認する。

 それは、斉藤だった。

「斉藤様、すいません。すでにもう約束している方がいるので。」

 シェレールさんは、斉藤のお誘いを申し訳なさそうに断った。

「なっ!そんなやつのことより勇者である僕の方が大切でしょ!?そんな約束破っていいので僕とついて来てください!!」

 うわっ!自分がこの世界で1番すごいですよって言ってるようなもんだな。

「っ!私は、人との約束を簡単に破りたくありません!なのであなたの誘いはお断りさせていただきます!!」

 シェレールさんは、キッパリと言い切った。

「ちっ!くそっ!ちょっと可愛いからって調子乗るなよ!!」

 おいおい!斉藤、お前何してんだ!?

 斉藤は、右手を拳にしてシェレールさんに殴りかかろうと拳を振り上げていた。

 そして、その拳を振り下ろした。

「っ!!」

 俺は、斉藤がシェレールさんに向かって拳を振り下ろした直後にそれを阻止しようと走り出した。

「ふぅ、なんとか間に合った。シェレールさん、怪我はないですか?」

 俺は、笑顔でシェレールさんの無事を確認する。

「は、はい、大丈夫です。助けていただきありがとうごさいます、柊さん。」

 良かった、シェレールさんを見ても怪我をした様子はなさそうだ。

「お前、何しようとしたか分かっているのか?」

 俺は少し声を低くして斉藤にそういった。

「ひ、柊!!お前っ!よくも邪魔をしてくれたな!」

 斉藤は、俺が邪魔をしたことに激怒していた。

「このクズが!前の世界じゃ誰の役にも立てないただの落ちこぼれが!!よくもよくも僕の邪魔をしてくれたねぇ!!!」

 斉藤は、また右手の拳を振り上げる。

「この僕の邪魔をしたこと、後悔させてやる!!」

 そう言って拳を振り下ろした。

「お前こそ、自分のした事のおもさを分かりやがれ!!」

 俺は、簡単に振り下ろされた拳を躱し、軽く腹に肘打ちする。

「かはっ!!」

 斉藤は、地に膝をつき倒れていった。

 これは完全に伸びてしまったな。

「だ、大丈夫ですか!?」

 シェレールさんは、俺のところに駆けつけ俺の安否を確認してくれる。

「ええ、大丈夫ですよ、それよりも斉藤、どうします?」

「………そうですね。あ、そこの木陰で休ませておきましょう!」

 俺は、シェレールさんに言われた通りそこの木陰で斉藤を休ませておく。

「よし、これでだいたい大丈夫かな、それじゃお茶に行きましょうか。」

「はい!あ、でもその前に……先ほども申しましたが助けていただきありがとうごさいました!」

 シェレールさんは、そう言って深く頭を下げる。

「大丈夫ですよ、女の子を守るのは男の役目ですからね。他にも困ったことがあれば俺に言ってください。絶対に助けに行きますから!」

「ふふ、頼もしいですね!それじゃお茶に行きましょうか。」

「はい、そうですね。」

 俺とシェレールさんは、いつもの場所に向かった。

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