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「ここをこうしてっと……できたわよ!」


 琴羽は母の手によって、清楚系のファッションとメイクを施された。

 そして。


「じゃあ、いってらっしゃい! 琴羽ちゃん!」

「……どこに」

「無論、桐谷とかいう奴のところだ」

「ゆぅ、ちぁ。いつの間に……。いや、それよりも何で遥の所に!?」


 当然のように部屋の中に入っていたゆぅとちぁにも、もちろん驚いたが、皆が口をそろえて『私が遥に会いに行く』と言い出していることに一番驚いている。


「……あ、ちなみに、ただ会いに行くんじゃなくて告白するのよ?」

「おおおおおおおおお母さん!? 何言ってるの!?」


 ついにお母さんは、頭の病院に行かなきゃいけないほどおかしくなってしまったのか。


「こと。そんな目で母親を見るもんじゃないぞ」

「そうだよ。それにね、こと? 桐谷とかいう奴はことのことが好きみたいだし、ことも……好きなんだろ?」

「……!」


 今まで考えないようにしてたのに、どストレートに言われると意識してしまう。


「……あぁ、もう。めんどくさい。とりあえず行くぞ」

「ちょっ、引っ張らないで! 私行くって言ってな」


 問答無用でゆぅとちぁに連行されたのだった。


 ☩ ☩ ☩ ☩ ☩ ☩ ☩ ☩ ☩ ☩


 反論も聞き流されて、無駄にガーリーな服装で遥の前に現れてしまった。


「琴羽? 話ってなんだ?」

「あのぉ……そのぉ……」


 後ろで眺めてる二人組に物申したい。

 ―まだ好きかも分かってないんだけど!?



「話がまとまってないなら、俺から話してもいいか?」

「お、おう」


 遥は深く息を吸うと、四十五度ぴったりの綺麗な最敬礼をする。



「ごめんっ! 琴羽のこと考えずに突っ走っちゃって」

「ホントだよね。すっごい迷惑」

「……ごめんなさい。……まぁ、とりあえず何が言いたいかっていうと―友達から始めませんか?」


 緊張してるのか、敬語になっていって面白い。

 でも、まぁ―


「友達、なってあげないこともない」

「……! 本当か!?」


 私がこくんと頷くと遥は嬉しそうに、そして泣きそうになりながら笑った。


 ―私達の恋愛はまだ始まったばかりだ!

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