表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2年半の片想い

作者: やっしー

「2年半の片思い」やっしー

 あなたは、人を心から好きになったことがありますか?

 そう言われると、僕は今なら間違いなく「はい」と答えるだろう。

「恋」がどういうものか分からなかった。

人を愛すること、人に恋をすること、それを知らずに生きてきた。

 僕は、3か月の間に1人の女の子を好きになり、嫌いになり、そして別れた。

 もう、別れてから2年半が経とうとしている。そろそろ次の恋人が見つかっても良いくらいの頃合いだ。

 だけど、頑張っても、頑張っても次の人が見つからない。

 それは、なぜか。

 その答えを、僕は分かっている。

 次の人が見つからない理由。

 忘れたい、そう思っているのに、忘れられない。

 今でも、「あの人」が夢に出てくる。

 出てくる度に、「あの人」のことを思い出す。

 太陽みたいな人。

 僕の憧れだった人。

 笑顔が、素敵だった人。

 いつも、一生懸命、夢に向かって頑張っていた人。

 僕が、沢山、沢山、迷惑をかけた人。

 だけど、僕のことを、人一倍気にかけてくれた人。

 目を離している隙に、どこかで転んでしまいそうな、おっちょこちょいな、人。

 今でも、後悔している。

 なんで、別れたんだろう。

 「僕は、君のことが好きじゃないのかもしれない」

 そう言って、別れを切り出した。

 タイムマシンで時間を巻き戻せるなら、あの頃に戻ってやり直したい。

 幸せだった。

 楽しかった。

 嬉しかった。

 生きている実感がした。

 それは、今まで生きてきた中で一番と思えるくらい。

 だけど、もう取り戻せない。

 「あの人」は今、何を思い、何を感じ、生きているのだろう。幸せにしているかな。

 そんなことを思う。

 もう、一緒に同じ時間を共有できないと思うと、これほど悲しいことはない。

 彼女の言葉を思い出す。

 僕はもうかれこれ十年前から心の病気にかかっている。そのことを打ち明けた時も、悩んでいた時も、ずっと、僕の味方だった。

「私が、君の薬になれたらいいな、って思う」

 そう言ってくれた彼女の言葉が今でも忘れられない。

 今でも、彼女が僕の一番。

 彼女に、幸せになってね、そう別れの時に言ったけれど。

 今は、僕が彼女を幸せにしてあげたかった、彼女と幸せを共有したかった、そう思う。

 そんなことを思いつつ、僕は今日も生きている。

「あの人」に、もう一度、出会えると信じて。

                            完


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ