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第九十七話
アヌビスにはもう考える余地が無かった。彼の脳内には「生き延びる」という目的ただひとつだったのだ。
当然僕が逃がすわけがない。しかしあえて彼を一方向に逃がした。それは希莉が作った神楽の聖地と霊界をつなげる切り込みだ。なんの疑いもしないでそこへ飛び込むアヌビス。そして彼が霊界に着いた途端、神界の神々に包囲さていた。そして彼らの前には神格化した希莉と涼音がいた。
「さぁ、チェックメイトだぜ。諦めな。」
希莉が刀を突きつけてアヌビスに言った。
もはや戦意すら失った様子のアヌビス。
結局彼はイザナギ達によって捕らえられ黄泉のイザナミのところへ流されるらしい。彼は死よりも恐ろしい仕打ちがまっているだろう。
しかし僕は彼にトドメをさせなかったのが残念でならなかった。




