第七十一話
「意外とあっさりやれたな。」
息を整えて僕は呟いた。
「そりゃ、無の世界へ飛ばしたからな。戻って来る前にバラバラだろうよ。てか早く解除してくれ。」
「あー悪い悪い。お疲れ様。」
希莉を元に戻して僕は部屋の散策を始める。
「おーい紫苑、こっちに階段あったぞー。」
呼ばれた方へ行ってみると上へ続く階段があった。さらに外が見える窓もついていた。しかしここは地下、暗闇しか見えない。
「だいたい半分ってとこかなー。この先長いぞ…」
「希莉、みんなの場所わかる?」
「まだ上だなー。俺は疲れたから一度眠らせてもらうぞ。」
そう言って希莉は霊媒の中に入ってしまった。
「此処から先一人は厳しいのに…」
僕がボソボソ言いながら階段を上がっていると後ろから声が聞こえてた。
「おーい。主、誰か忘れてないか?」
「その声は紫紅?!大丈夫だった?」
「なんとかな。此処から先は二人で切り抜けるしかなさそうだな。」
「あーそうだな…なんとかなればいいんだけど…」
「力を制御できていたんだ。大丈夫さ。」
「うーん。てかあの数の鬼を倒しちゃうなんて流石だね。」
「これでも一応聖域の神なんだぞ?」
「確かに……」
流石ハデスと言ったところだろう。その力は計り知れなかった。




