第七十話
僕は餓狼に殴りかかった…はずだった。僕の体は踏み込んだ位置で止まっていた。地面から生えた刀の刀身が僕の足を固定していたからだ。
「まぁ、落ち着けよ。そのまま突っ込んだら死ぬぞ?」
背後から聞き覚えのある声がした。
「え、希莉は捕まってなかったの?てか足痛いんだけど。」
「刀の霊が檻の一つ壊せなくてどーすんだよ。てかどーせ怪我はすぐ治るんだしいいだろ?」
「よくないから。痛いから!!!」
「まぁ、とりあえずそいつぶっ飛ばせばいいんだな?」
「あぁ、やろうか。神装化、神装開放、神格化。」
3つの動作を一度に発動する。
[妖刀 ツクヨミ]
神の名を持つ刀であり希莉最終形態。そしてその神装をまとった僕。
「さぁ、始めようか。」
地面や壁から無数の刀身が飛び出す。それを必死でかわす餓狼。
「くっ、なんだこれは。」
「まとめて言えば妖刀の力だ。しかしこんなもんじゃない。」
突如僕の周りに五本の刀が姿を表した。[炎刀 焔][氷刀 吹雪][雷刀 イカヅチ][呪刀 禁忌][邪刀 災禍]希莉の持つ妖刀を一度に具現化したのだ。しかもそれらは空中に浮いている。等間隔で僕の体と一定の距離の位置で止まってる。
「ひぃ、妖刀がそんなに?!待って、聞いてない。」
「あぁ、聞いてないだろうな。言ってないもんな。」
飛んでくる檻は五本の妖刀によって切り刻まれた。そして餓狼の目の前の空間を[妖刀 ツクヨミ]で切った。すると空間が裂けそこに吸い込まれた餓狼は無の世界へ飛ばされたのだった。




