第六十一話
館に入って数秒後僕らは地下にいた。
「寒いしジメジメしてるし何ここ…」
「とりあえず脱出法を探さないとね…」
「まさか扉開けたら床が抜けるとは…」
そう、僕らはまんまと敵のトラップに引っかかったのだ。深さは500mぐらいだろう。そして落とされた地点のすぐ近くに先が見えないほど巨大な党がそびえ立っていた。
「よくこんなに落ちて死ななかったね…」
「涼音、そんなこと言ってるけど俺らもう死んでるんだぞ?」
「あ、そーだった!紫苑と暦以外人間じゃないんだ!」
「今更気づいたのか……」
驚く涼音と呆れる希莉、さっきから無言の紫紅と驚きで腰を抜かした暦、そしてまだ暦の時計の中で寝ている姫奈と状況整理中の僕、今更ながら大人数だ。
「主よ、そこに階段があるのだがその先の扉から異様なオーラを感じる。」
「ここを脱出したければこの塔を登れってことか。」
嫌な予感しかしないがそうするしかなかった。希莉を先頭に僕、紫紅、暦、涼音の順番で隊列を組んだ。姫奈はまだ寝ているが起きてからも時計から出さないように暦に支持しておいた。
塔の階段を上がりひとつ目の扉にたどり着いた。恐る恐る扉を開けるとそこに広がっていたのは石造りのコロシアム。しかし明らかにコロシアムの直径が塔の直径より大きい。
「ここは別次元になっているな……おそらくこの先のフロアごとに別次元になっていてそこで魔物と戦わせようとしているのだろう。」
冷静に分析する紫紅。
「別次元ってことは思いっきり暴れられるってこと?」
「その通りだ主、遠慮無くやって構わんぞ。」
その時である。咆哮と共に現れたのはケルベロスだった。
「地獄の番犬か、まさに地獄の始まりってわけだ。」
完全にやる気満々の希莉。口元が笑っていた。
「そんじゃ、いっちょやりますか。」
僕はそう言って走りだした。




