第五十三話
三日月が水のように崩れてそこから希莉が出てきた。相変わらず着物で普段より髪が伸びていた。神として実体化するときはこうなるらしい。
「え?ほんまに神様でてきた…かんにんしてや…」
驚きと絶望の入り交じる声をあげる香澄。
「呼んでいいって言われたから呼んだんですよ?文句無いですよね?」
「確かに言うたけど…ほんまに呼ぶとはおもってなかったんやしー」
「あ、ちなみに僕も半分神です。」
そう言って角のホログラムを解除する。
「そんなん反則やろ……」
絶望して膝をつく香澄。そしてそのまま恐ろしい速度で土下座へと移行した。
「すまん!この通りや。許してください!」
「そう言われてもねー決闘は決闘じゃん?」
怪しい笑みを浮かべる希莉。
「僕らは現世から来た。神格霊の現世への侵略を阻止するために全員倒しに来たんだけども。」
「あぁ、評議院のやつらの作戦か…ウチらは序列が下の方やから抗議しても無駄なんや。東の国のあいつも反対してたんやけどウチら力なくて……」
「なるほど、そういうことならいいでしょう。その代わり僕らに力を貸してください。」
「わかった、何でもするから命だけは助けてや…」
香澄が降参したので憑依を解除して武装解除する。
「とりあえずゆっくり話しましょうか」
僕らは香澄の持つ屋敷へと案内された。




