第五十二話
街に入って数分でなぜか兵士に囲まれた。状況がわからずあたふたしていると空から一人の女が降ってきた。
小柄な体格に短い髪、そして大きなハサミ………ハサミ?!
「うちは神格霊の一人、香澄。西の国総括責任者兼王女や!」
「その王女様が僕らになんの用ですか?」
「ここまで来れた旅の人なら強いんやろ?うちと勝負せんかい!」
この世界に来て久々に関西弁を聞いた気がする…
拒否権はなさそうなので仕方なく勝負するはめになったのだが連れて行かれた場所がコロシアムってのは…
「それじゃいくぞ」
勢いよく首をはねようとハサミで襲い掛かってくる香澄、それを紙一重で交わし背中に蹴りを入れた。
スピードを殺しきれずに転がっていくのに追い付き空中から相手を地面に叩きつけた。
「思ったよりやるじゃない、ならうちも本気でいくよ。」
そういってハサミを地面に突き刺した。その瞬間足元から霊力の塊をぶつけられた。
スピードと言い正確さと言い流石神格霊だった。反応してから避けていては間に合わない。
僕は御札を投げて香澄の周りを囲み縛鎖で動きを封じた。そして日本刀に紫紅を憑依させて[デスサイズ]を展開する。
「刀が鎌になったやて?手品かいな。」
どうやら憑依させること自体を知らないのだろう。それはこちらにとっては都合がよかった。
「変な手品使うみたいやけどウチに勝ちたいんやったら神様でも連れてこな無理やで」
「そーみたいですね。じゃあそうさせてもらいます。」
「なんやて?やれるもんならやってみい」
「では遠慮なく。希莉!」
僕が呼ぶと僕の隣の空間が歪み三日月が出現した。




