第三十八話
集落から更に走ること数時間、やっとイザナミ様の御殿についた。勿論門は開けられることはなく固く閉ざされたままだった。
「それじゃあ、おじゃまーす」
そう言いながら容赦なく門の扉をぶっ飛ばす僕。場内から見るからに敵キャラなモブがどんどん湧いてきた。
「ここは俺が一気に燃やすわー」
そう言いながら刀に憑依する希莉。[炎刀 焔]久々の登場である。
僕はそれを受け取り思いっきり空を切った。すると切った空間から炎が吹き出しあっという間に火の海に変えてしまった。
「私の出番はもー少し後だよね?」
「うん、涼音は今は力を温存しといて。」
「ほーい」
切って燃やしてを繰り返しイザナミ様のいる部屋の前まで来た。すると扉が重々しい音を立てながら勝手に開いたのだった。
「ほぅ、こんなところまで来た奴は久々じゃのー。ん?貴様、紅蓮か?」
「残念ですが僕は紅蓮ではありせんよ。初めまして、紫苑ともうします。」
「ほう、して貴様らは我の持つ[ヤサカニの勾玉]を奪いに来たんじゃろ?」
「いえ、僕らは勾玉を保護するためにきました。神格霊に奪われる前になんとしても三種の神器を守らなくてはいけないのですよ。」
「守るだと?我が直々に所持しているものが奪われるはずが無かろう。そんなにほしいのなら我と戦って勝ってみよ。」
「やっぱりこうなるのか…わかりました。少し手荒な事になりますがそちらのほう早そうです。」
僕がそういった瞬間部屋の壁から黒い炎が噴きだす。なるほど、退路は元々ないと。
「それじゃあ試してみますか。」
そう言って希莉の憑依を解きその日本刀に涼音を憑依させる。すると刀がどんどん形を変え一本の大きな槍となった。[神槍 ゲイボルグ]その名の通り神の槍だ。そして対神兵器だ。
「神殺しの槍…なぜここに」
「それはですね。僕が神殺しの力を得たということです。」
神格霊とは違い神は死ぬことがない。また死んでも生まれ変わるのだが神殺しの力は殺して蘇るときどんどん力が弱くなってしまうのだ。殺せば殺すほど蘇った神が弱くなる。そして殺され続け弱り、神としての威厳もついにはなくなる。
神が神殺しの存在を恐れるのも当然なのだ。それは唯一の天敵であり弱点だったからだ。
「さて、イザナミ様、覚悟してくださいね」
そう言いながら槍を構え相手の足元へ一気に間合いを詰めて飛び込んだ。




