第三十七話
黄泉へ入って数時間集落が見えてきた。空には変な生物が飛んでいるので飛行して移動はできなかったがそれでも数キロは移動した。しかしここまでの道のりに人が住んでいる気配が全くしなかった。
「やっと最初の集落かー疲れたな。」
「いや、希莉はさっきからふわふわ浮いて移動してたくせにww」
「そーゆー涼音も浮いてるじゃん」
「二人共落ち着きなさい」
「「げふっ」」
紫紅の容赦無いゲンコツが二人を黙らせた。
「とりあえず主、まだ早いが今日はこの集落で休むことにしないか?」
「そーだな。そうしよう。」
集落に入ると村長らしき人のところに人々が集まっていた。
「すみません。あなたがここの村長さんですか?」
「そうだが、君たちは誰かね?」
「旅の者です。できれば今夜限りこの集落で休ませていただきたいと思ってきました。」
「それはご苦労さん。でもあいにくどこにも空き家はないよ。」
「あ、僕ら部屋は必要ないんです。この集落の敷地内にいさせてもらうだけで構いません。」
「そういうことなら構わないがなにか盗んだらしょうちしないぞ」
「そんなに疑わないでくださいよ。何もしませんから。」
ここの世界の住人はまず疑うタイプなのかな?そんなことを思いながら自分達の寝る場所を確保したところで防御用の結界を張る。外から見たら少し大きなテントのようなものだ。
持ってきた食材で調理を始める僕ら。ここ数日霊子のコントロールと操作の修行をしていた僕は水や炎を確保した。
夕飯を食べ終えて僕は霊子のから数匹の鳥を作り出し偵察に飛ばした。
数分して帰ってきた鳥を霊子に戻してそのまま地図に変換する。するとここ周辺の地図が完成した。
「今ここだから、明日にはつきそうですね。」
「到着早々戦闘になると思うので覚悟しといてくださいね」
「剣を使う前に涼音の新しい力を使ってみようと思うんだ。」
「私の力?弓?」
「いや、今度は槍にしようと思う。」
「んーわからないけどやってみるよ」
「よろしくたのむ」
その日の夜中、僕は眠れずにいた。正確に言うと目が覚めたきり眠れなかった。またあの夢を見たからだ。今度はあの棺桶を持った男と僕が戦っていたのだが途中、棺桶から出てきたのは僕の祖父だったのだ。
祖父が既に死んでしまっているのかあの男に操られているのかはわからないが無事ではないことは確かだ。律花や音羽のこともあったのでもう予知夢であることを確信していた。




