第三十六話
「よーし、いよいよ最後の神器を回収しに行きますか!」
「90%の確率で神格霊と戦うことになると思うので覚悟しといてください」
「「「まじかー」」」
気合を入れようとした矢先、神奈木の一言でやる気を失いそうになる僕ら。
そうこうしているうちに黄泉への門に到着した。両脇を大きな岩に挟まれたその場所は見るからに嫌な予感しかしなかった。
「思ったより禍々しいな…」
「行くしかないんだから諦めて!」
何故か余裕の神奈木。
「神奈木はなんでそんな余裕なの?」
思わず僕は訪ねてしまった。
「それはーまぁ、いざとなったら紫苑さんがなんとかしてくれるでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど…」
なるほど、信用してくれているのならいいか。
門を開いて中に入り他と同じように長い道を通る。何故か道の端に骨が落ちていた。
「そーいえば黄泉にある神器はちょっと特殊で管理者がいないんですよ」
「え?じゃあ誰が神器を管理しているの?」
「イザナミ様が自身で管理しているらしいよ」
「それは少し面倒なことになりそうだな…」
「ですね。イザナミ様は自分しか信用しない方ですから…」
おそらく神格霊より本当の神を相手にしないといけないようだ。しかしイザナミが相手だとこちらのほうが分が悪い。
「神奈木、イザナミと戦うとき[クサナギの剣]をつかわせてもらうよ」
「はい!神器持ちには神器で応戦しなくてはいけませんから。」
許可は出た。後はどのタイミングで展開するかだった。
長い道を抜け扉の前にたどり着いた。門番はいない。扉を開けて中に入れた。
「ここからイザナミ様のいる御殿まてまは少し距離があります。そちらの方向へ進みながら今夜の宿を探しましょう。」
「そーだな。よし、行こう。」
なせが黄泉に詳しい律花だった。




