第三十一話
「あ、無事でしたか。よかったー」
そう言いながら律花が神殿の柱の裏から出てきた。
「ここから剣のある祠までは少し距離があります。途中の神殿で一泊してから明日祠に行きましょう。」
「了解、とりあえず途中まで飛ぼうか。涼音、行ける?」
「大丈夫だよー。さーて一仕事するか。」
[ヘルメスの靴]で飛ぶこと数時間、日が沈んできた。僕らは近くの神殿の前に降り立った。
「ここ勝手に入っていいの?」
「いいと思いますよー、一応管理者の巫女に話は通してありますので。」
律花がそう言ったので大丈夫なのだろう。
神殿に入ると柱のろうそくに勝手に火がついた。
「きゃっ」
思わずビビる涼音。
奥の部屋へ行くと何故か布団が敷いてあった。
「僕らがここに来ることわかってたのかな?」
「おそらく未来が見える人が予め読んでくれてたんでしょう。」
「未来視の能力者までいるのか、流石は神の世界…」
「あ、こっちに晩御飯もあるよー」
「以外にもてなされてるな…」
悪いことではないが正直驚いていた。なぜなら守るためとはいえ世界を維持している神器を回収しにきているからだ。
夕飯を食べ終えて僕らは眠りについた。しかし疲れていたせいで無防備なことに見張りをつけていなかった。
しかし次の日、僕らが目を覚ますとそこは神殿ではなかった。
「え?ここはどこ?」
「私も知らないです。」
「ここはイザナギ様のお屋敷です。」
「イザナギ?!あのイザナギ?!」
「呼び捨てとは失礼ですよお客人」
何がなんだかわからない。しかしそこには僕らは5人以外にもう一人別の少女がいた。




