第三十話
僕は覚悟を決めて目を閉じた。集中して自分の中の力を呼び出した。
「なんだこのオーラは」
神格霊の一人が身構える。僕自身も自分の中の力の変化に気づいていた。力に呑み込まれないように制御に集中する。
急に神格霊の一人が襲いかかってきた。力を抑える前に倒さないとやばいと思ったのだろう。力の制御に集中しすぎて反応が遅れたため傷を負ってしまった。しかし再生能力のおかげで致命傷までには至らなかった。
その時僕の目の前に当然大きな箱が現れた。
「パンドラの箱?!なぜそれがそこに?」
[パンドラの箱]災いの入った箱と言われている。気づくと手にはその箱の鍵が握られていた。
開けていけない感じしかしない、でも開けないとこいつらには勝てないよな…。そう思い僕は箱の鍵を開けてしまった。
箱からおぞましい量の瘴気があふれ出てくる。その時僕の頭の中に箱の力の使い方が入ってきた。今回はいつくかある箱の力のうちの一つを使うことにした。
僕は頭の中で龍を思い描いた。すると箱から出ていた瘴気がまとまり黒い龍と姿を変えた。
龍は神格霊の攻撃ではびくともせず、三人のうち二人が逃げてしまった。
「敵前逃亡とは情けない…、で、君はどーする?逃げる?戦う?」
「戦うに決まっているだろうが」
見事な心構えなのが一人いた。しかし結果は目に見えていた。それなら僕の全力で相手しよう。龍が黒い炎を吐いた。その炎を[呪刀 禁忌]にまとわせる。そしてお互い徐々に距離を詰めてゆきまた激しい戦いが始まった。
戦いはすぐに決着がついた。黒き炎は相手の武器を溶かし呪刀で敵を内部から破壊した。
「ふう、やっと一人か。こんなのがあと11人もいるのかよ…」
「泣き言言う前に早く神界行こうぜ。」
「そーだな。」
そうして僕らは神界に入った。
霊界と違い神界はそこらじゅうに神殿が建っていた。流石は神の住む世界だ。そして一番近くの神殿の中に涼音と律花が隠れていたので合流した。




