第二十八話
「紫苑ー後ろー!!」
涼音の声がしたので振り向くとなぜかアーチェリーが飛んできた。
「涼音、君をこれに憑依させればいいの?」
「そー、なんかいける気がするのー」
僕は言われたとおりに希莉の憑依を解いてアーチェリーに涼音を憑依させる。
[アルテミスの弓]
涼音の中の力が弓に関連しているのは前々から気づいていたがどのようなものかは今、この瞬間まで僕も知らなかった。
僕が驚いていると容赦なくカラスが飛んできた。僕は矢もないのに弓を引き放った。すると何もなかったはずなのに突然光の矢が出現した。そしてその矢は分裂しすべてのカラスを撃ち落とした。
カラスはどんどん飛んできた。それを僕は全て撃ち落とした。僕はアーチェリーや弓道の経験は全く無く素人だ。しかしそれでも飛び回るカラスには当てられた。それは矢が敵を追尾してくれるからだ。実際ぼくはその場で矢を放ち続ければよかった。
流石に埒が明かないと判断した黒鴉は去っていった。しかし僕は気づいてしまった。神格霊と互角に戦えても彼らを倒すためには彼らの上を行く力が僕にはないことを。
「そろそろちゃんと前世に向き合わないと…」
僕がつぶやくと入り口から出てきた律花が
「前世と向き合いたいのなら私にお任せ下さい。鏡は自分自身をうつすもの、この[ヤタの鏡]は自身の前世と向き合うことができる能力があります。」
「それはちょうどいい。安全な場所まで移動したら鏡をつかいましょう。」
そう言って僕らはまたあの街の宿に戻ってきた。そしてその夜、僕は自身の前世と対峙した。
「貴方が僕の前世ですか?」
「そうだよ。本題に入るが君は僕の力を継ぐ覚悟があるかい?」
「貴方の力が神格霊を倒すことができるのは知っています。しかしそれはあまりにも強大すぎる。今の僕に制御できるかどうか…」
「制御できなかったゆえに眼の色が変わり角がはえたか…それはおそらく君自身が力に呑み込まれるのを怖がっているからではないのか?」
「えぇ、そのとおりです。でも、侵略されそうな現世を助けるためなら僕はその力を受け入れる覚悟ができています。」
「自分のためでなく他人のために力を使うのか…いい覚悟だ。でも力に呑み込まれた時の心配はしなくていいよ。いざとなれば紫紅が抑えてくれる。彼女は僕が力の抑え方を教えてあるからね。」
ここで僕はふと思った。紫紅って何者なんだ?僕の封印の番人で前世と知り合い…
「おっとそろそろ時間だね、また会えることを楽しみにしてるよ。頑張りなさい。」
そう言って僕の前世の人は消えていった。
目を覚ますといつのまにか角を隠していたホログラムが解けて眼の色も変わっていた。おそらく僕の中の力に何かしら変化があったのだろう。
力を恐れずに使えか…次の戦闘でやってみよう。そう思いながら僕らは眠りについた。




