第二十三話
「あー疲れた。」
僕が欠伸をしながら集落に戻ってくると住人達に囲まれた。ちゃんと鬼は討伐したというと歓声があがった。
「ありがとうございます。我々一同本当に感謝します。」
集落の長に何度も礼を言われた。
「小屋を一つ貸してもらっているのでそのお礼としては当然の対価かと思います。気にしないで下さい。」
僕はそう言って小屋に戻る。相変わらず希莉は寝ていた。しかし鬼達の大きな足音のせいか涼音は起きていて頭から毛布をかぶり怯えていた。
「もう終わったから怯えなくていいよ」
と言って優しく頭を撫でてやるとまたすぐに寝付いた。僕も疲れていたのですぐに寝てしまった。
そして僕は不思議な夢を見た。一人の巫女が3つの何かを必死に守りながら必死に12人の角の生えた人から逃げているという夢だった。
目が覚めてからよくあの夢について考えてみた。おそらくあの角の生えた人たちは神格霊だろう。あの巫女はだれかは知らないが必死に守っていたのはおそらく三種の神器。聞いた話によるとこの霊界を維持する力の源らしい。そうだとするとあの夢は予知夢の可能性が高い。
その夢について希莉達にも話し今後の対策を練った。そしてその結果とりあえずその巫女を探してみることにした。
この巫女の存在がこの先の僕らの運命を大きく左右することなんて今の僕らには知る由もなかった。
そんなこととは知らず色々と情報を集めついに集落を出る日になった。長にはずっとここにいてもいいと言われたが僕らには果たすべき任務があるのでそれはできなかった。
集落を出発して数分後、森を抜けた。広大な草原に一本の道がどこまでも続いていた。この道を辿って行くと都市部へ行けるらしい。とりあえず都市にいって今のこの世界の状況を確認するとしよう。
歩くこと半日、途中に村を見つけた。しかしその村はなにやら様子が変だった。時々あがる悲鳴、閉ざされて開く気配がしない村の門、そして空高く上がる黒い煙。おそらく鬼などに襲われたのか盗賊の襲撃にあったかだろう。
上空から様子を観察すると案の定、盗賊に占拠されていた。
「この世界にも盗賊っているんだな。とりあえず今夜の休むとこ欲しいし助けるか。」
そう言って急降下して村の広場に着陸した。
「何事?!敵襲か?!一体どこから?」
慌てふためく盗賊達。僕らは何事もなかったかのようにあっさりと盗賊を捕縛した。
弱い、現世で戦ったような槍の兵士よりはるかに弱かった。よくこんなんで盗賊なんてやってこれたなー。
あっさりと盗賊を捕まえた僕らは快く村の空き家を一つ貸してもらうことができたのだった。




