第十六話
白狐との睨み合いはしばらく続いていた、これは漫画やアニメでよく見る『先に動いたほうが負ける』というやつなのだろう。
「神格を与えられたってことは神のレベルなんだろ?俺らで勝てるの?」
珍しく希莉が弱気だった。
「まぁ、私達がやらなきゃ他にできそうな人いないですもんねー」
「そうだな、しかし分が悪すぎる。しかし主の封印がすべて解かれれば勝てない相手ではない。」
前向きな涼音に続いて紫紅が僕も知らないことを言った。
「え、僕の封印ってまだあったの?!」
「主には3つ封印がある。あとひとつを開けるのは主次第。」
僕次第と言われても解き方がわからないし聞かされたこともなかった。
「なにをこそこそ話している。来ないのならこちらから行くぞ!」
そう言って白狐が突っ込んできた。武器は銃剣なのに近接戦闘型だったのだ。近づけば剣撃の乱舞、距離をとれば鉛の雨がこちらを襲う。数分しないうちに僕は傷だらけになってしまった。と、いっても再生能力のおかけでほぼ無傷に近い状況まで回復するのだが体力は削られていった。
「ハァ、ハァ 流石に これはキツイな…」
「主、弱音を吐いている暇はないぞ」
休むために距離をとれば鉛の雨、休む暇もなく体力は尽きかけていた。
(ヤバイ、意識が飛びそう)
僕の視界はどんどん暗くないってゆく、そしてそこで僕の意識は途絶えた。
僕の意識が途絶えたと同時に僕の体を中心に黒い箱が出現した。
目を覚ますと僕は知らない部屋にいた。前に一度死んだ時の空間とはちがった。そしてそこには一人の老人が…
そう、僕の祖父である。5年前に消えたはずなのになぜここに?僕の抱いた疑問はすぐに解決した。
「ここにいるワシはワシの意識の一部にすぎない、この封印の間にきた来たということは神格を持ったものと退治して力尽きたのだろう。ワシの予知に狂いはなかったのじゃろう。さて、そろそろ最後の封印を解く鍵を与えよう、ただしこの封印を解いた瞬間お前は人間ではなくなる、覚悟しなされ。」
相変わらず拒否権はなさそうだった。そしてこのメッセージを伝えられた瞬間僕はあの戦場に戻ってきたのだった。
そして手には鍵となる指輪が握られていた。




