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神々の恩恵 -Blessing of Gods-  作者: 宙島 紺
序章 編入篇
9/13

第9話 複神授者

目をカッと見開き、人差し指を立て、突き上げていた右手を振り下ろし、水の龍を指差す。


ヴリム神授術ディーテ豪靁墜とし(サドフラーナ)


突如、落雷が発生。

グリムを襲おうとしていた水の龍に落ち、水をつたって電流が流れる。

雷は一気に地上に達し、サルバの足元の水を通ってサルバの身体に流れ込む。


「ぐああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」


感電したサルバは膝から崩れ落ちる。

身体は麻痺しており、再び動き出す気配は無い。



『勝者、イルギス・スクラード!!!」




会場が歓喜に包まれる。

皆は驚き、叫び、興奮せずにはいられない。


学年1位が敗北したことに。


編入生が勝利したこたに。


そして何より、イルギスが2柱より神の恩恵を授かっていたことに。



そしていつしか、観衆は皆同じ言葉を発していた。


複神授者ファラムディティーラ!!』と。




闘技場に怪しい人影。


「あの時のガキどもは全て失敗作だと聞いていたんだが。クククク、あの実験は成功していたらしい。しかし、よくあの時生き残れたものだな……」





「よっ、お疲れさん」


退場したグリムは、ジークに声をかけられる。


「ありがとう。なんとか勝てたよ」


「なにが、『なんとか』よ。まさかあんな隠し球持ってるなんて」


するとカユラがムスッとしながら文句を言う。


「あはははは……」


これには苦笑いするしかない。しかしカユラは「でも、」と続けて、


「あなたが勝って良かったわ」


と言った。そのカユラの表情は笑顔だった。


「ああ、ありがとう」


グリムは感謝の言葉を述べる。

すると、カユラの後ろからヒョイっとユーノが現れる。


「あの、その……お、おめでとうございます」


「うん、ありがとう。」


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


「イルギスぅー」


「おめでとー」


「お前ら抜け駆けはズリぃぞ!」


クラスの生徒達が走ってやってくる。

グリムを囲み、押し寄せ、言いたいことを口々に言っていた。


「こらこらアンタ達、そんなに押したら潰れるわよ。」


と呆れた様にカユラは言う。


「ちょっ……もうちょっと真面目に助けてくれない?」


グリムは消え入りそうな声で、でもなんとか伝わる声量で言った。


「やっぱりこうなったか」


ジークはグリムとその周りを囲む生徒達を見ながらそう言った。


「そうね。抜け駆けして正解だったわ」


「ですね」


カユラとユーノの言葉に、


「それもあるが、この決闘。イルギスは何かやらかしてくれると思ってたんだ。まさか『複神授者ファラムディティーラ』とは思わなかったが」


ジークは言う。


「それにしても、これからイルギスは大変だな」


「そうでしょうね。早く飽きることもないでしょうから、しばらくは、という感じかしら」


「え?どう言うことでしょう?」


ジークとカユラの発言に、ユーノは首を傾げる。




「だってアイツ、伝説になったみたいなもんだろ?」




その夜、グリムが眠りについた後、突然イルギスの身体が起き上がる。


「何の用だ」


ハダルは低いトーンで誰もいないハズの部屋に話しかける。


「いやいや、まさか気づかれるなんて。さすがハダル様。」


反応した声の主は灰色の世界の灰色の床から直立不動のまま現れる。眼鏡をかけ、白衣を身に纏う30代の男性だ。眼鏡の奥の瞳は、橙色に光っている。


「ババァの側近が何しに来た」


ハダルは男を睨みつけ、反抗的な態度をとる。


「ハダル様、母君の事をババァだなんて言ってはなりませんよ。」


「相変わらず変わってねぇな、その忠誠心。流石、所長の右腕と言うべきか。それにしても、ココのセキュリティは使えねえな。土の『同化』を見破れねえのか」


ハダルのボヤきに対し、


「私としては、そう簡単に見破られても困るのですが」


と、余裕の表情である。


「その域に達してると恐ろしいな。まさか、他人の精神にまで入り込むとは」


「何を他人事のように仰られているのですか?ハダル様だって……失礼しました」


ハダルが眼力を強めて男を黙らせる。


「でも、よろしいのですか?表ではまだ身体が起きたままでございますが」


「そうだったな」


男の言葉によって気づいたハダルは、イルギスの身体を再び布団の中へ寝かせる。


「それにしても、グリム様が見当たらないようですが。」


「この階層にはいねぇよ」


「そうですか。ここはまだ、ほんの入り口のようですし、もっと深い階層までアクセスできるようにならねば」


「さらりとえげつない事を言うな。生きた人間をコントロールでもするつもりか?」


「まさか、そんなことできませんよ」


と言いつつも、笑みを浮かべている。

そして、しばしの沈黙。


「で、ババァは今どこにいるんだよ」


それを打ち破り、ハダルは問う。


「ハダル様、申し上げにくいのですが、母君が亡くなる瞬間はご覧になられた筈ですが……」


「とぼけるなよ。あのクソババァがあの程度で死ぬハズかない。火葬する頃には偽物と入れ替わってただろうよ。」


「どうでしょうな。」


白衣の男は明確な返答をしない。


「はぁ……、で、だ。何し来たんだ?」


ハダルはひとつ溜め息をし、本来の質問をする。


「何というほどの事は何も。ただ、将来有望そうな少年少女を探していただけですよ。そして、帰るついでに貴方達に会いに来たんですよ。まあ、見つかるとは思ってませんでしたが…流石と言うべきですかな」


「まさか、手を出したりしてねぇだろうな?」


「それこそ、まさか、ですよ」


「だといいんだが…」


グリムが睨むと、白衣の男は動じることなく口を開く。


「それと、くれぐれもお気をつけ下さい。あなた方の命は大事ですので。それではこれにて失礼いたします」


そう言って、白衣の男は精神世界の地面に沈んでのめり込んでいき、姿を消す。


「はぁ…何しに来たんだ、ヤツは…」


ハダルは大きくため息をついた。




翌日以降、ジークとカユラの懸念通り、イルギスは校内で注目の的となる。

毎日のように、昼休みは誰かが彼の元を訪れ、その大半が女子生徒であるせいか、ワーワーキャーキャー騒ぐ。

その度に男子生徒たちより鋭い視線を感じるのは、はたして気のせいなのか。


決闘のあと、担架ですぐに医務室に運ばれたサルバは一週間で復活し、学校生活に戻った。

それからというもの、サルバはイルギス、カユラ、ジーク、ユーノとよく行動を共にするようになった。




序章ー完ー

ここまで読んでいただきありがとうございます。

序章はこれにて終了です。


とりあえずここまで書けてホッとしてます。

バトルの展開などは理解していただけたでしょうか。少々不安です。


さて、次は第一章となる訳ですが…

リアルが忙しいので…

時間を下さい。展開が全く決まってません。

章のタイトルしか決まってません。


次回更新は6/8(月)の予定です。



第一章 タッグトーナメント篇

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