第8話 決闘
「火神授術・炎弾!」
開始の合図とともに、炎の球を一つ放つグリム。真っ直ぐサルバへ向かってゆく。
対するサルバも、水の球を一つ放つ。
「水神授術・淼弾」
火の球と水の球が衝突、蒸発、消失する。
次はグリムの正面に、今度は八つの炎の球が浮かび上がる。そして、一斉にサルバへ向かって放つ。
(数を多くすれば対抗できるとでも思ったのか。甘く見られたものだな。)
サルバは同じ数だけの水の球を作り出し、炎の球に全てぶつける。
先程と同じように衝突、蒸発、消失する。
「なあ。こんな単調な決闘の何が面白いのだ。もう少し、戦術戦略を駆使しようというのは無いのか。まさか、カユラとの闘技が力勝負だった訳ではあるまい。」
と、サルバがグリムに向かって叫ぶ。
「(ゲッ…最後の方は力勝負そのものだったんだけど…)
じゃあ次は、
火神授術・爆炎光線!」
「ちっ、また力で押してくる気か。無駄だと言っておるのに、
水神授術・淼漠障壁」
高密度の炎の一筋が、水の壁へと衝突し、蒸発する。
(やはり俺と同じく第二段階まで会得していたか。編入してきただけの事はある。だが、所詮この程度。俺のこの障壁に穴一つ空けられないようじゃ、相性が悪い貴様は、力勝負どころか、何をやったところで俺には勝てん。)
水の障壁は、サルバの足元へと広がり、水溜りと化した。
すると背後から炎の剣が迫ってくる。
グリムはサルバが水の壁を出して見られていない間に、サルバの背後へと回った。そして、左手から炎を出し、剣の形に整える。
「火神授術・爆炎刃」
炎の剣先が足へ向けられる。
決闘といえど、致命傷を与えてはならないので、足を負傷させて戦闘行為を満足にできなくさせようという算段だ。
ところが間一髪のところで、サルバはこれを回避。炎の剣は太ももに擦り傷と火傷を与えただけとなり、グリムは勢いそのまま水の障壁に突っ込む。
「ゴホッ…ゴポポ……」
すると、水の形状が壁から球体へと変化する。
グリムを閉じ込めた水球は、宙に浮く。
「いきなり突っ込んでくるとは、貴様はバカか。今時、接近戦は不利。避けられたら、即お終い。そんな事も分からないとは、お前を買い被りすぎていたようだ。もう少しまともな決闘になるかと思っていたが、これで終わりにしよう。」
水神授術・淼球加圧
サルバは水圧を上げて、戦闘行為不能にさせようとする。
ところが、なぜかグリムの身体の表面に泡ができ、それが球面へ浮かび上がる。すると、泡は次第に大きくなり、数も増えてくる。
「これは、沸騰?ということは、発熱……派生形…だと?」
サルバの口から言葉がこぼれる。
沸騰はしばらく続き、しまいには、グリムを覆っていた水は全て水蒸気となった。
「沸騰して蒸発しやがった。」
「じゃあ、あれは火の神授術の派生形じゃねぇか。」
「三年で習う項目だぞ。何で三年のあいつができるんだ。」
会場からはどよめきの声が。
「やってくれるな、スクラード君。まさか派生形まで会得しているとは。」
サルバからは称賛の声が。
「だが、ここで引き下がるわけにはいかない!」
サルバは両手を前に出す。
水神授術・淼龍
大量の水がサルバの足元へと広がり、その一部が龍と化し、グリムを襲う。
左手を前に出して受け止め、沸騰を試みるも、水の量が多すぎて発熱が追いつかないとみるなり、前に出した左手を後ろにスライドさせて、水の龍を受け流す。
(派生形といっても、まだ最初の段階。身体に触れたものに熱を加えることしかできないようだな。なら、こっちは数で押し切る。)
サルバは続けて、二体同時に足元の水から龍を生み出す。
これを見たグリムは、左手を下にむける。
火神授術・爆炎噴射
カユラとの闘技と同様に、ロケットのように炎を噴射して空中へ。
三体の水の龍は、グリムへ向かって昇って行く。
「(ハダル兄、最後はよろしく。結構頑張ったんだけどね、もうこれ以上は火では限界だよ。)」
(ああ。不利な相手によく耐えた方だろう。及第点といったところか。)
「(厳しいなぁ…)」
イルギスの表情が、初日の自己紹介の時と同じ鋭い目つきへと変わる。
ハダルは右手の人差し指を立て、天高く突き上げる。
雷神授術・豪靁墜とし
ハダルは右手を振り下ろした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
もう少し長くしたかったんですが、グダグダになりそうだったので。
なろうっぽく、行間をたくさん開けてみました。こっちの方が見やすいかな?
次話、4/13(月)21:00 更新予定
タイトル変更しました。
そして次で、序章完結です。




