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神々の恩恵 -Blessing of Gods-  作者: 宙島 紺
序章 編入篇
7/13

第7話 決闘前

「ふぁあ〜」

目を擦りながら、眠そうに身体を起こすグリム。

「(ハダル兄、起きてる?)」

精神世界の兄へ問いかける。

(ああ、当たり前だ。)

「(少しくらい寝た?)」

(バカ言うな。夜は起きてたに決まってるだろ。)

「(ええ〜。いくら今日の戦闘に参加しないとはいえ、どうせ反省会とかするんでしょ?起きてられるの?)」

(午前中寝ておけば心配ない。お前こそアーク神授者ディティーラ相手に大丈夫なのか?)

「(え?…あ…うん。大丈夫…だよ?)」

(はぁ〜…。今日の反省会は長くなりそうだな。)

「(ゲッ…マジで?)」

(マジだ。)

「(本気と書いてマジ?)」

(本気マジだ。)

グリムは兄と会話をしつつ、支度をし、部屋を出た。


食堂へ入り、朝食をスタッフから受け取ってテーブルへつく。学校3日目(朝を迎えるのは2日目)ともなると、学校生活にも慣れてきたグリム。

そこへ3人の生徒がやってくる。

「よっ、イルギス。ついに今日だな。」

「おはよう、イルギス。負けたら承知しないからね?」

「お、おはようございます。今日は頑張って下さいね。」

昨日とは違い、ユーノも一緒の様だ。まだ、敬語は抜けていない様だが。


そして朝食を済ませ、教室に向かい、午前中の授業をこなした。



4限目終了と昼休みの始まりを示すベルが鳴る。

「本日の授業はここまで。午後は決闘ですので、みなさん遅れないように。それと、スクラード君、頑張って下さいね。」

先生はそう言って、教室を後にした。

「ついに決闘かぁ。」

「楽しみだね。」

「大怪我することもあるみたいだから、気を付けてね。」

「頑張れよ。そして、勝ってこい。」

生徒たちはグリムを鼓舞する。

「うん、頑張るよ。相性が悪いから、どこまでやれるか分からないけど、恥を晒すことがないようにするよ。」

と、グリムは応えた。

そして、昼食をとるために、教室を出て、食堂へ向かった。

「お前は、緊張なんかはするタイプか?」

ついてきたジークが尋ねる。どうやらカユラとユーノも一緒のようだ。

「当たり前じゃない。こんな大一番、緊張しない方がおかしいわよ。」

グリムが返答する前に、カユラが勝手に代弁した。

「(特に緊張はしてないけれど、僕はおかしいのかな…)」

グリムが心の中で呟いていると、

(こんな事でいちいち緊張してたら、本当に大事な時に戦えなくなる。お前は何もおかしくない。)

精神世界より、兄のハダルがそう言った。

「あ、あの…対策などは立てていらっしゃるのですか?」

今度はユーノが尋ねる。これまでは丁寧語のみの敬語だったが、尊敬語が出ている。

「対策?特に何も。」

「「「え?」」」

グリムの言葉に対する3人の表情は驚愕といった感じだ。

「お前…正気か?」

「それで、大丈夫なのでしょうか?」

「はぁ…」

ジークとユーノは聞き返し、カユラは手を額に当てて呆れている。

「ま、なるようになるさ。」

グリムの言葉を最後に、4人の会話は終了し、食堂へ入った。


「「!」」

注文した昼食を受け取ったグリムたちはテーブルにつくと、隣のテーブルで食べる生徒に気づく。

「やあ、サルバ君。この後はよろしくね。」

「余裕があるようだな。昨夜はよく眠れたか?」

「はい。それはもうぐっすりと。」

両者の間には火花が散る。ということはない。

ふと、周りを見渡すと、視線が集まっていることに気づく。

「サルバと話してるヤツ、誰?」

「編入してきたっていう、例のあいつだよ。」

「ああ、今日の決闘相手の。」

すっかり注目の的となっているグリム。しかし、


「それ美味しそうだね。一口分けてもらえないかい?」


緊張感の欠片も感じないその一言で、周囲は愕然とし、開いた口が塞がらないといった感じだ。

「なぜ貴様に分けなければならんのだ。」

「イイじゃないか別に。減るもんじゃないだろ?」

「減るから嫌だと言っておるのだ!」

なぜか少し幼稚な口喧嘩(?)が始まり、集まった一同は呆れてそれぞれの食事へと戻った。




5限目。


第2闘技場。

会場は今か今かと開始を待っている。

観客席に座っているのは、当事者以外の3年生の生徒とその学年を担当する教師、来賓席には副学園長、学園長。

決闘制度といっても、それは在って無いようなもの。ゆえにほとんど目にする機会はなく、3年生のものであろうと、副校長と校長も見に来ているのだ。


会場がしんと静まり返る。

それを待っていたかのようにアナウンスが流れる。


『それではお待たせしました。ただいまより、第3学年決闘を開催いたします。生徒入場!!』


ふたりの生徒が入ってくる。ふたりは並んで中央へ向かい、そこで向きあう。


『今回の挑戦者は、3-A サルバ・クロスコルド!』


サルバは観客席に手を振り、会場中が歓声で騒がしくなる。


『そして、その挑戦を受けるのは、3-C イルギス・スクラード!』


一方グリムは、観客席にお辞儀をし、会場は拍手に包まれる。


「この日を楽しみにしていたぞ、スクラード。貴様の実力、きちんと把握する必要がある。この時期に編入したのだから、それ相応の実力があるはずだからな。」

「お互いの実力が十分発揮される、良い闘いになるといいね。よろしく、クロスコルド君。」

そして、双方は握手を交わし、所定の位置へつく。

先程の幼い喧嘩の名残りは微塵も感じない。


(お互いの実力が十分発揮される良い闘い、か。それはつまり、貴様の実力を全て引き出してみろという挑発と受け取っていいんだよな?なめた真似してくれる。お望み通り、貴様の実力を全て引き出した上で勝利してみせる。)


サルバが心の中でそんな事を考えてる一方、

(おいグリム。)

「(何?ハダル兄。)」

(さっきの発言、たぶん誤解されてると思うぞ)

「(え?どういうこと?)」

(わざとか…たまに、お前が性格悪いと感じる事がある。)

「(何のことやら)」

イルギスの精神世界では、何とも余裕を感じさせる会話がなされていた。


会場が静かになり、そしてカウントダウンが始まる。

『5、4、3、2、1…』




『決闘開始!!』



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


チョット短いので、昼休みの話なんかを追加するかもしれません。


次からいよいよバトルです。

できるだけ分かりやすく書きます。

頑張ります。


次話 3/30 21:00〜更新予定。



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