第3話 グリムvsカユラ 決着
年齢を修正しました。
「火神授術・爆炎光線!!」
「土神授術・巨石弾!!」
高密度の炎と巨大な岩石が衝突する。相性で言えば、土が有利。
しかし、今この場の2つの力は拮抗している。
しばらくすると、2つの力の接触点から、岩石に亀裂が走る。亀裂は次第に深くなり、無数に枝分かれする。
巨大な岩石は1つの塊として維持できなくなり、大小さまざまな岩石となって拡散した。
高密度の炎は巨大な岩石を打ち砕いたあと、そのままカユラの方へ向かった。
(ヤバイ…勢いを殺しきれてない。このままじゃ、委員長に……)
グリムがこのように危惧していると、燃えている地面が割れ、隆起し、空いた穴から巨大な植物の芽のようなものが出てくる。それは急速に成長し、花を咲かせた。まるで食虫植物のようなその花は、口のようなものを大きく開け、高密度の炎を飲み込む。
木神授術・大喰花
ジュリアン先生は「そこまで!」の声と共にこの神授術を発動した。
花は高密度の炎を全て飲み込むと、相性が悪いのもあってか、内側から燃やされ、灰と化し、崩れ落ちた。
「貴方たち、やりすぎよ。あのままどちらかが攻撃を受けていたらどうするつもり?」
ジュリアン先生からお咎めを受けるグリムとカユラ。
「そしたら、さっきみたいに先生が止めに入りますよね?それに、自分で言うのもアレですが、もっと早く止めに入っても良かったと思いますが…」
グリムは少し反抗的に返答した。
「だって、レベルの高い闘技を見れば、他の生徒たちの刺激になるかな〜って思ってね。」
ジュリアン先生は片目を閉じ、舌を出す仕草をした。
「それなら、先生も同罪じゃないですか…」
とグリムが、
「今のは闘技じゃなくて、ほぼ決闘だったと思うんですけど…」
とカユラが言うも、
「さて、この闘技の決着はどうしようかしら」
「スルーですか……」
「あくまで、闘技であることを貫くんですね……」
グリムとカユラの言葉に対し、ジュリアン先生は反応しなかった。
「私が中断したからねぇ」
ジュリアン先生が困っていると
「私の負けでいいですよ。中断がなければ、あのまま食らってたと思うし」
カユラが自らの負けを認めた。
「そう、負けを認めるのね。それなら…勝者、イルギス・スクラード!」
ジュリアン先生は闘技の決着を告げた。
「お疲れ〜。すごいな、イルギス。まさかお前がこんなに強いなんてよ」
「カユラちゃんお疲れさま〜。やっぱりカユラちゃんは凄いね。さすが委員長」
闘技を終えたグリムとカユラは、クラスの生徒たちに囲まれていた。先生の狙い通り、良い刺激になったようだ。
「イルギス、まさかお前があんなに凄いヤツだったとはな」
ジークは驚きの表情を見せている。
「次はジークが相手をしてくれるのかい?僕の炎を消し飛ばすんでしょ?」
グリムはジークに闘技をもちかけるが
「いや、遠慮しとく」
ジークは苦笑いしながら、首を横に振った。
「それにしても、委員長さん。さすがですね。僕からここまで手数を出させるとはね。神授術の発動の速さと正確さには脱帽です」
グリムはカユラを賞賛する。
「カユラで構わないわ。しかし、それを貴方に言われてもねぇ。発動の速さは負けてないつもりだけど、正確さは明らかに貴方に軍配が上がるでしょ。砂埃を起こすために、何とか避けれるように火の玉を打ってたし。砂の津波を撃ち抜いたあの高密度の炎なんて、私の顔の横をスレスレで通り過ぎてたんだから。わざとでしょ?」
「何のことやら」
睨むカユラに対し、とぼけて目をそらすグリム。
「まぁ、いいわ。これからよろしくね、スクラード君」
「僕の方もイルギスで構わないよ。こちらこそよろしく、カユラ」
2人は握手をかわした。
「友情を築いてる所悪いが、お前ら今ので疲れたからって、次の授業寝るなよ?」
沈黙する2人…
「が、頑張れは何とかなるわよ。きっと…」
「善処するよ」
2人は苦笑いしながら、そう答えた。
4時間目の授業が終わり昼休み。イルギス、もといグリムとジークとカユラが一箇所に集まっていた。
「結局途中から寝てたね、カユラ」
「おいおい、委員長がそんなんで良いのか?」
グリムとジークにからかわれるカユラ。
「貴方だって寝てたじゃない」
カユラはグリムの方を向いて言った。
「お前寝てたのか?気づかなかった」
「やっぱり、カユラにはバレてたか」
「私の目は誤魔化せないわよ」
そんな会話をしていると、教室のドアが開き、1人の男子生徒が入ってくる。
「邪魔するぞ、3-Cの諸君。相性が悪くても、ネハレーラに闘技で勝利したという編入生はどこにいる?」
突然教室に入ってきた男子生徒は、カユラがいるのを確認すると、グリムたち3人の方へやってくる。
「よぉ、ネハレーラ。しっかり委員長やってるか?とは言っても、今日闘技で敗北したようだから、面目丸つぶれだろうなあ。」
そう言ってあざ笑う男子生徒を見て、カユラは頭に来たが、それを表に出さず、なんとか内にとどめた。
「何しに来たのよ」
「何か用が無ければ来てはならんのかね?」
2人はあまりよく無い雰囲気の中、一応会話を成り立たせていた。
「彼は?カユラの彼氏かい?」
グリムはジークに小声で尋ねた。
「お前、それ本人の前で絶対言うなよ。殺されるぞ」
「あはは、冗談キツイな」
「アイツは3-Aのクラス委員長、サルバ・クロスコルド。学年1位のエリートさ。ウチの委員長はいつも2位で、仲は見ての通りだ」
サルバが、からかいながら笑い、カユラは怒りをこらえて会話の対応をする。それを見たグリムは苦笑した。
「そういや、そこに見ない顔がいるな。貴様がコイツに勝ったという編入生ということか」
サルバがカユラとの会話を切り上げ、グリムに話しかける。
「こんにちは、クロスコルド君。僕はイルギス・スクラード」
「貴様の活躍は耳にしたぞ。コイツの土と相性が悪い火で、コイツを打ち負かしたそうではないか」
「いやいや、それほどでも」
サルバはグリムを褒め称えた。
「実に興味が湧いたぞ、スクラード。貴様の炎が、俺の水を蒸発させられるのか、非常に試してみたい。よって今ここで、俺は貴様に決闘を申し込む!」
「けっ……とう…?」
グリムは首をかしげる。いまの会話を聞いていたクラスの生徒たちは、しばし沈黙する。そして、
「「「「何ぃいい!!??」」」」
声が重なり、廊下まで響き渡る。皆が呆然とする中、サルバは教室のドアへ帰っていく。
「詳しいことは、決まり次第伝える。楽しみにしておけ」
教室を出る前に、そう捨て台詞を吐いた。
皆はまだ口がぽかんと空いている。しかしここまできても、状況を把握しきれていない者がいた。
「けっとう?さっき闘技が中断された時、カユラもその単語を言ってたけど、どういうこと?」
グリムは頭に疑問符を浮かべている。
いち早く我を取り戻したカユラは、グリムに言った。
「もしかして、本当はバカなの?もしくは天然?」
誰かの精神世界で、誰かが笑った。
「そんなことはないと思うけど」
グリムは肯定しない。
「アンタは今アイツに、学年1位サルバ・クロスコルドに宣戦布告されたのよ!」
グリムの表情は変わらなかったように見えた。が、わずかに口角が上がっていた。
「それで、決闘とはどんなものなんだい?」
グリムの質問に対し、我を取り戻したジークが答える。
「お前と委員長がやったのと対して変わらない。お前らがさっきやったのは、闘技ではなく決闘に近かったからな。もし闘技なら、蟻地獄であそこまでやられた時点でお前の負けだよ」
ジークが驚きの事実を告げる。
「え、僕負けてたの?というか、あの速さあそこまで持っていかれたらギリギリでじゃないと脱出できないでしょ。勝ち目ないよ」
「ええそうよ。だから委員長やってんのよ。…普通はギリギリでも脱出できないんだけどね………」
「さすがだね、カユラ。闘技では最強なのか」
グリムが、凄いなあとでも言いたげな顔をして見てると、カユラはうつむいた。すると、ジークが小声で話しかけてくる。
「だから、ウチの委員長は学年2位って言っただろ」
「あっ、そうか。ごめん、カユラ」
自分の失言に気づいたグリムは、カユラに謝罪する。
「いいよ、別に。気にしてないから」
と、カユラは言ったが、やはり気にしているようだ。機嫌もあまりよくない。このままだと、嫌な空気になると思ったジークが話をしだす。
「それで、決闘ってのは、大概何でもありだ。相手を死に至らせない限り、攻撃の制限はない。ただ、それだけリスクも高いから、1年に一度しか決闘を申し込むことができない」
「へぇ、なるほどね。説明どうも」
グリムはジークに謝礼した。
「いやいや、こちらこそ。じゃあ今夜はクラス全員で、お前の歓迎&決闘の応援パーティを開かねぇとな」
ジークが笑顔でクラスの生徒たちを見ると、皆は同じく笑顔で頷いた。グリムは慌てて中止にするよう皆を説得したが、叶わなかった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字、感想等ありましたら、
何でも言って下さい。
次回は未定です。
月1掲載はちょっと遅いかな、と思ってます。とりあえず隔週で頑張ってみようと思います。
とりあえず、次話2/9(月)21:00更新予定




