第2話 グリムvsカユラ
名前を修正しました。
あまりにも長かったので。
それでは、第2話ご覧ください。
「土神授術・大蟻地獄!!」
開始の合図直後、カユラの叫び声と共にグリムはバランスを崩した。
地面は巨大な蟻地獄と化しており、その大きさは直径20メートル。中央は右脚より5メートルほど右側にあるので、体全体は右側に傾いて倒れ、そのまま中央へ吸い寄せられて行った。
「あーあ、委員長の必勝パターンだ」
「あとは、蟻地獄作るときに外側へ押し出した砂を埋め直して終わりだな」
「相変わらず、発動位置が正確だな」
「結局、あの編入生の詳しい実力は分からずじまいか…」
以前の実技の授業で同じ目にあった生徒たちの間では諦めの空気が流れていた。が、そうでない生徒もおり、
(イルギス。お前はこれをどう切り抜ける?)
ジークは期待していた。
そんな中、カユラの方は、
(悪いけど、このまま決めさせてもらうわ。こんな所で苦戦していたら、委員長の威厳もあったもんじゃないからね。)
と、こんな風に心の中で呟いている。
砂の埋め直しも終わりにさしかかるそのとき、轟音と共に急に砂埃が舞う。
「火神授術・爆炎噴射!!」
何かがロケットのように炎を下に射出しながら上へ飛んでいく。
「イルギスのヤツ…やりやがった」
ジークが声を漏らす。
「おお!委員長の蟻地獄を脱出したぞ!」
「この後はどうなるんだ?」
闘技演習場内には歓声が湧く。
(へぇ、まずまずって所ね。速攻で終わらせるのはちょっと難しいみたいだし、先生もただの闘技ですます気は無いようだから、アンタの実力、みせてもらうわよ)
カユラは心の中で呟いた後、次の神授術を放った。
「土神授術・岩弾!!」
岩石がカユラの周囲に浮遊し、空中にいるグリムに向かって飛んでいく。
(うわぁ…蟻地獄の次は岩石飛ばしてきちゃったよ)
グリムが心の中でボヤくと
"じゃあ入れ替わるか?グリム"
ハダルがそう尋ねた。
(大丈夫だよハダル兄。心配しなくても、このくらい何てこと無いよ)
そう応えて、グリムは綺麗な身のこなしで、飛んでくる岩石をダメージを受けることなく次々と飛び移り、地面へ着地した。
(まさかいきなり爆炎噴射を使わされるなんて。1段階下の火炎放射じゃ、相性の悪さで炎を還元されて、脱出できなかっただろうから、仕方ないけど…)
"やっぱ替わるか?"
(いや、ハダル兄の出番は今じゃないから。アレは絶対に今はすべきじゃない)
"チッ、つまらん"
ハダルのひとことで、兄弟の精神世界での会話が終了した。
(さて、こっからどう攻めようか…)
火は土と相性が悪い。グリムは攻め方を決めきれないうちに、次の攻撃がやってくる。
「土神授術・大砂津波!!」
目の前に大きな砂の津波が猛スピードで押し寄せる。上へ飛んでも間に合わないと見たグリムは、瞬時に突破口を導き出した。
「火神授術・爆炎光線!!」
高密度の炎が光線のようにまっすぐ津波の方へ向かって伸び、そのまま貫通し、津波に人1人入れるほどの穴を開けた。
「よし!うまくいった」
そう言って、グリムは穴を通り抜けた。すると、
「っ…!? まさか、第二波があったなんて。用意周到なことで」
カユラは津波の後ろのもう一つ津波を作るという二段構えだった。幸いにも、先程の光線は第二波も貫通していたようで、グリムはそこを難なく通り抜けた。と同時に、上へ飛んだ。
「火神授術・炎弾!!」
炎の球がいくつも出現し、カユラめがけて飛んだいく。カユラはそれを全て避ける。しかし、着弾した所から砂埃が舞ったため、視界は悪くなった。
着地後、グリムは最後に見たカユラの位置と、足音を頼りに、カユラがいると思われる方へ全速力で向かった。
(何なの?あの絶妙なコントロールは。避けようとすれば何とか避けれるけど、少しでも気を抜いたら当たってしまう。でも、避けるのを許したってことは、さっきの攻撃は砂埃で視界を悪くするのがねらい。相手の正確な位置が分からないのに遠距離攻撃はしないだろうから、近接攻撃がくるハズ!)
カユラは思考を張り巡らせて、状況の把握と推測を行い、それに合う適切な処置を取ることにした。
(土神授術・岩盤障壁!)
カユラの周りが、岩石の半球で覆われる。ように見えて地面の中まで覆われているため、半球ではなく球状になっている。全方位の攻撃を、すなわち下からの攻撃をも防げるようにした。
すると、岩石に何かがぶつかる音が連続で聞こえてくる。
(やはり来たわね)
カユラの予測は当たった。グリムは直接攻撃を障壁に向かって行っている。
火神授術・爆炎刃
グリムの左手から炎が細長く伸び、先端部分は鋭くなっている。しかし、障壁はビクともしない。グリムは障壁をひたすら攻撃し続ける。しかし変化が全くなく、埒が明かないと思った瞬間、変化は訪れた。
「土神授術・大砂嵐!!」
砂嵐の中グリムは吹き飛ばされないように踏ん張る。普通はカユラも巻き添えを食らうモノなのだが、
(障壁の中は安全地帯って事だね。それにしても、純粋な土の神の恩恵だけで、ここまでの砂嵐を作るなんて。普通は風の神の恩恵と合わせて生み出すハズなんだけど。)
グリムはそう心の中で呟いた。そう考えるうちに、砂嵐はグリムの身体を蝕み、ついに踏ん張りがきかなくなって吹き飛ばされ、その後、体を地面に打ちつける。
砂嵐が止み、カユラは障壁を解くと、視界はひらけていた。グリムは遠くでうつ伏せに倒れている。しかし、彼はカユラをしっかりと睨んでいた。彼の目はまだ死んでいない。
「痛いなぁ…変な所打ちつけたかな」
グリムはそう言って、スゥッと立ち上がる。体はフラフラと揺れて安定しないが、ピタッと安定した瞬間、グリムの周りの地面が燃え、炎の環を形作った。そして、炎は外側に急速に広がり始める。
(ちょっ、この炎どこまで広がってくるの?まさか、この闘技演習場全体を覆うつもり?どんだけ規模がデカイのよ。)
カユラは心の中で驚きの言葉を述べ、岩石を用いて高地を作り、逃げ場とした。炎は高地とグリムの立つ位置以外の地面を覆い尽くした。
(高地までは、さすがに炎は来なかったわね。それにしても、スクラード君。あなたの恩恵の量と質、凄すぎる。相性が良いハズの私がここまで苦戦を強いられるなんて…)
カユラは汗をかきながら、そんな事を呟く。
地面の炎によって、空気は熱せられ、気温は上昇していた。
火神授術・灼熱地獄
2人は一歩も動かない。というよりは動けない。2人の距離はある程度保たれており、近づくには火の海を渡らなければならない。故に睨み合い、何かの機を待っている。
(この闘技はもう最終局面。多分次で…決まる。だから…)
(次の神授術に今ある全ての恩恵を注ぎ込む!)
グリムとカユラ、2人の思考がシンクロする。
( (絶対負けない!!) )
2人は同時に、神授術を発動した。
あけましておめでとうございます!
2015年が始まりましたね。
自分の場合、
去年と特に変わらない年になる
という訳ではないので、
はぁ…… 思わずため息をつきたくなります。
というわけで、ここまで読んでいただき
ありがとうございます。
次話、1/26(月)、投稿予定
どうぞ、よろしくお願いします。




