第13話 怪しい影
お久しぶりです。
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ーーー放課後
タッグバトルの模擬戦を終えたグリムとジークは、反省会を開きつつ特訓を行うため、闘技場へ向かった。
「負けちゃったね」
「ああ。敗因は何だろうな」
ジークがそう言うと、グリムは少し考える。
「うーん…やっぱり、連携と複合神授術の有無かな」
「だよなぁ」
グリムの結論を聞いたジークは溜め息を漏らす。
「でもよ、それらしいモノはできてなかったか?」
そんなグリムの発言を聞き、グリムは先程の模擬戦を思い返す。
すると、2人の炎の刃と風の刃が合わさって大きな炎の刃になったシーンにたどり着く。
「たまたまじゃダメなんだよ。意図して出来るようにならないと。それに、あれは複合というよりも炎の増幅って感じだったからなぁ」
そんなこんなで闘技場に到着する。
「まずは方針を固めないとね」
「方針?」
グリムの発言に、ジークは疑問符を頭に浮かべる。
「無闇矢鱈にやっても仕方ないでしょ?」
「火と風の複合のバリエーションなんて、そんなにないだろ。その中から、出来そうなのから習得した方が良くねぇか?」
「それもそうだね。バリエーションか。炎の竜巻や熱風、炎龍…とりあえず炎の竜巻からやってみようか」
というわけで、特訓が始まる。
二人は手を前に出し、まずジークが竜巻を起こす。
グリムはそれに合わせて炎を出し、竜巻に絡ませようとするが、風の力が強かったために炎は消失。竜巻だけが取り残される。
(今のじゃ足りないのか。もっと火力を上げないと)
再度、炎を繰り出す。
すると今度は炎の方が強く、竜巻はそれの勢いに飲まれ次第に渦の直径が小さくなり、ただの火柱となった後は完全な消失。今度は何も残らなかった。
「フィニッシュはコレで良いんじゃねぇの?」
ジークはグリムにそう言った。が、もちろんそんな言葉でグリムは納得するはずもない。
そしてしばらく訓練を続けるが、ふいに、グリムがこんな事を呟いた。
「ねぇ、他のもやってみない?」
「おいおい、竜巻ができないけど、他のはできるかもしれないってのは楽観的すぎじゃねぇか?」
「出来そうなものから習得しようって言ったのはジークだよ?」
「そうだったな」
そうして、二人が次に試したものは熱風。ジークが作り出した風に、グリムが熱を加えていく。
とはいえ、そう簡単に成功するはずもない。グリムは神の恩恵を熱に変換するのだが、一部それに失敗し発火。それにより集中力が切れ、他の風に加えていた熱は全て発火し、辺り一面炎の海と化した。
「今のを見る限り、風全体に満遍なく熱は通ってなかったみてぇだな。でもまぁ、フィニッシュとしてはアリだな」
「んぐぐ……」
ジークの慰めはグリムには届かず、悔しがる。
「次こそは…」
そう言って何度も繰り返すが、全て失敗に終わる。
「もうすぐ日も暮れるし、そろそろ終わろうぜ、イルギス」
「はぁ、結局全部失敗か…」
「むしろ初日から上手くいく方がおかしいだろ」
二人は闘技場の出口へ向かう。
しかし、そこには妙な人影が。
「ここでアイツが校長やってるのは知ってたが、まさかテメェがここにいたとはな」
その男は呟いた。
(誰だ、コイツ。フードを被っていて、顔がよく見えないが、多分ウチの職員じゃない。それに、コイツから漂うこの殺気。なんでこんなヤバいヤツがここにいるんだ)
ジークはその男を前に思考は比較的冷静さを保っているが、身体は硬直していた。
それでも、男の威圧に抗いグリムの方へ顔を向ける。
「なぁ、イルギ……」
グリムは男を睨み、歯軋りし、激しい怒りを見せていた。
「ぐっ……お……お前は……」
「おいおいそんな怖い顔すんなよ、ガキが。感情のままに身を任せて俺を殺せるとでも思ってんのか?」
男はグリムを挑発し、グリムの怒りは激しさを増す。
それにより、イルギスの精神世界も影響受ける。
“おい、一旦落ち着け。どんな時も冷静さを欠いてはならないとあれ程”
(うるさい!アイツは、アイツらは絶対に許さない!!)
“くそっ。こうなったら仕方ない”
(ちょっ、何すんだよハダル兄!)
ハダルはグリムを掴み、精神世界の底の方へ投げ落とす。
“しばらく眠っていろ”
先ほどまで怒りを見せていたイルギスの身体は、冷静さを取り戻す。ただ、目つきは一層悪くなっているが。
「なんだよ、結局お前が出てくるのかよ。せっかく怒らせたってのに」
男はどうやらハダルになった事に気づいたようだ。
「アイツにお前を任せるのは荷が重すぎる」
ハダルはそう言って男を睨む。
「まぁ、いいさ。お前相手分が悪いのは確かだが、所詮ガキ。せいぜい楽しませろ」
男は笑みを浮かべる。眼は青く輝き紋様が浮かんでいる。
ハダルは、隣で状況を読み込めていないジークに囁く。
「隙を見て逃げろ。それが難しいのなら自分の身を必死に守れ。いいな?」
ジークは無言で頷く。その顔に恐怖はあるが、目は死んでいない。
(少しは肝が座ってるみたいだな)
ジークは二人から離れようと後ずさりする。
「俺が逃すとでも思ったか」
男はそう言って瞬時にジークの目の前に現れる。そしていつの間にか握られていた氷の大鎌を振るう。
次の瞬間、ジークは闘技場の壁へ吹き飛ばされ気絶する。
「さて、これで邪魔者はいなくなった」
男は笑みを浮かべたままである。
それに対し、ハダルは無表情。そして尋ねる。
「なぜ敢えて気絶させたんだ。お前なら殺す事は造作も無い筈だが」
「そりゃあ、アレがまだグリムとの仲が深い訳じゃないからな。グリムの目の前で殺さなきゃ怒りが数段落ちるじゃねーか。それは、意味がねぇ」
男は平然とそう言ってのけた。
「下衆が」
ハダルの呟きが夜の始まりを告げた。
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