見付けた手がかり
細く開いた窓から、心地よい柔らかな風が吹いてきます。女の子は、はたと思いつき子ども神に聞きました。
「あの窓は、いつも開いているの?」
「うん。風が吹いて気持ち良いからね。あの窓はずっと開いたままだよ」
ふ~んそうなんだとつぶやきながら女の子は考えました。
「あの窓から入って来た動物が、口にくわえて持って行ったんじゃないかな~」
「でも、動物たちは宮殿には近づかないよ?」
宮殿への道すがら、たくさんの動物たちに会いました。その中には小さい動物もいました。
女の子はゆっくりとかべに近付きました。窓に手を伸ばしてみましたが、高い位置にあるのでとどきませんでした。女の子はキョロキョロと部屋の中を見回し、小さな机を見つけました。
「この机、かしてね」
と、その机を窓の下によいしょ、よいしょと押していきます。女の子は机によじ登りそろそろと立ち上がりました。それでも窓わくにはとどきませんでした。
「危ないから降りておいでよ」
と、言う子ども神様をよそに女の子は思案顔です。
「あっ、そうだ。子ども神様、あそこのイス持って来て!」
子ども神は、女の子が指差した方にあるイスを素直に持って来て手渡しました。それを机の上に置き、そのイスの上に上ろうとしました。
「あっ、危ないよ!」
子ども神がなんど注意しても女の子は「だいじょうぶ。だいじょうぶ。」と言って止めようとはしませんでした。女の子はかべに手をつき又そろそろとさっきよりもしんちょうに立ち上がりました。
子ども神の頭が、女の子の足の下にあります。ちょっと怖いなと思いましたが、女の子は窓側に体を向けて顔の少し下なった窓わくを念入りに調べました。するとすみっこの方に、白くてふわふわしたものが引っかかっているのが見えました。
女の子はなんだろうと思い、それを手に取ろうとしましたが、あと少しの所でとどきませんでした。女の子は机の上のイスの上だという事も忘れ、その上で精一杯背伸びをして小さな手を伸ばしました。
あと少し、あと少し。やっとふわふわとした物をつかむことができました。そのとたん、足元がぐらぐらゆれてバランスを崩してしまいました。足元のイスはガタガタと音を立てて倒れ、女の子は窓わくにしがみつきました。
子ども神は急いで、窓の下にモコモコの大きなクッションを何個も運んできました。
「飛び降りても、平気だよ」
子ども神は、クッションの上で思いきり手を伸ばします。
「さあ、手を離してぼくの所におりておいで」
怖いと思ったけれど、モコモコのクッションがまるで雲でできてるようで、子ども神が受け止めてくれそうで、女の子は窓わくからパッと手を離しました。
飛びおりてきた女の子は思ったよりも重くて、子ども神はやっぱり支える事ができませんでした。そのまま二人はクッションの上にたおれ込みます。
そこはモコモコの雲の上のようで全く痛みはありませんでした。しいて言うならば、子ども神のおでこに女の子のおでこが衝突して、それが痛くて痛くて、二人はおでこを押さえました。
「いたたた、大丈夫?」
「いたたた、平気だよ」
子ども神の問いに女の子が答えます。よっぽど痛かったのか二人共、涙目に成っていました。二人は顔を見合わせプッと吹き出し笑いました。
「あのね、窓わくにこんな物が引っかかってたよ」
女の子はギュッとにぎりしめていた手を、子ども神の目の前でゆっくりと開きました。手のひらには、ふわふわとした羽毛のような物が乗っています。
「鳥の羽根かな?」
二人はまじまじとそれを見ました。色でも着いていたならまだ探し易いのに、ただ真っ白な産毛のような羽根は、どの鳥の物なのか二人には判断がつきませんでした。
二人は、森に鳥を探しに行く事にしました。部屋を出て廊下を進み階段を降りて広間を通り抜け、大きなとびらをくぐって宮殿の外に出ました。ふわふわとした雲の道を森に向かって歩いてゆきます。
しばらく歩くと、道の真ん中にゴツゴツとした石が落ちていました。その石はとても大きくて、二人のひざの辺りまでありました。石をさけるように大回りして通り過ぎようとしましたが、何か聞こえた気がして二人はキョロキョロと辺りを見回しました。
「ここじゃ、ここじゃ」
と、下の方から声が聞こえます。二人は足元を見ました。
「わしじゃ、わしじゃ」
石だと思った白い固まりから、ニョキニョキと手やら足やら生えてきます。
「あっ、カメじいさん。久しぶりですね」
白い石の固まりは、どうやらカメだったようです。
「紹介するね。ここで一番長生きのカメじいさんだよ」
女の子は、よろしくお願いします。とペコリと頭を下げました。




