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第5話

「で、結局魔王ってなんなんですか?」


「俺、一応この国に魔王退治として喚ばれたんですよ」


「魔王退治、ですか?」


「はい。なんか魔王が操っている(?)魔物がこの国に攻めてきているそうなんですよ」


「初めて知りました」


 魔物が攻めてきてるって国民に言ってないのか?


「国王から何も聞いてないんですか?」


「はい。少なくとも私は知りませんでした。多分、この国の人たちも。おそらくですが、この国の上級貴族にし伝えていないんだと思います。」


「この国にも貴族っているんですか?」


「はい。いますよ」


「話し変わりますけど、その貴族の中に国王に文句言う人っていたんですか?」


「1人もいませんでした」


 国王に逆らうと反逆罪とかで罪に問われるのか?


「だって、税が上がる事によって、特をする人ばかりいるんです。それに、税が上がる事によって不利になる貴族もいたんですけど、その人たちは話しも聞いてもらえなかったそうなんです」


「そうなんですか…」


 この国の上位にはクズ野郎しかいないのだろうか…。

 えーっと、こういうのなんて言うんだっけ…?

 るい、類……『類は友を呼ぶ』だ!!

 使い方あってるか知らないけど!


「上級貴族たちは今の国王を支持しています。ですから、私たちにはどうすることも出来ないんです」


 悲しげな表情で笑うリアさん。


「リアさん、俺、国王を倒しに行きます」


「え?でも…」


「大丈夫です。だって、俺、一応勇者として喚ばれたんですよ?」


「お願いして、いいんですか?」


「はい。任せてください!」


 リアさんは目にうっすらと涙をためて笑った。


「ありがとう、ございます。他力本願なんて、情けない話しですけど…」


 リアさんは本当に申し訳なさそうに笑った。


「リアさんが気にするような事じゃないですよ!」


「ありがとうございます。そろそろ日が沈みだす時間です。帰りましょう。」


「そうですね。」


 俺たちは思っていたより長く話しこんでいたようだ。

 帰り道は、来た道と同じ道をリアさんと軽く会話を交わしながら帰った。


 俺は自分の部屋に帰ると同時にベッドに倒れこんだ。


「い、一時間歩きっぱなしはきつい!」


 こんなので、あいつを倒せるのか?

 てか、魔物って本当にいんのか?

 リアさんもまったく知らなかったっぽいし…

 ま、なんとかなるだろう。俺がまずやることはこの国の王を王の座から引きずりおろすだけだ。

 その後の事は知らん。

 無責任だって?なんとでも呼べ!その後の事は知らん。と言ったが俺にだってどうしようも出来ないんだ!


 ふぁ~あ…。ねむ……。



 俺は気付けば完璧に寝てしまっていた。



「者様、勇者…勇者様、勇者様!」


 なんだよせっかく気持ち良く寝てたって言うのに…。


「ん~?」


 とりあえず返事をしておく。


「勇者様、国王陛下がお呼びでございます」


 この声は!

 立ち上がり部屋の扉をあけると案の定ここ最近お馴染みとなったリアさんがいた。


「どうして国王が俺なんか…めんどくさいな…」


「私にはわかりませんが、国王陛下がお呼びなので来てください」


「はい、わかりました」


 俺は、寝癖のついた頭を撫でながら答えた。

 軽く身だしなみを整えると、リアさんに連れられ国王のもとえと行った。


「やっときたか。待ちわびたぞ、さあ、返事を聞かせろ」


 最初は何の話しかまったくわからなかったが、少し考えると案外簡単にでてきた。


「えっと、その話しなんですけど…」


「なんだ、はっきり申せ」


「あー。お断りさせていただきます」


 そう言うと怒りで顔を真っ赤にした国王が怒鳴るように聞いてくる。


「なぜだっ!理由を言え!」


「理由も何も、簡単な事だよ。単に、あんたが気に入らないからだよ!」


「どういう事だ!!」


「どうもこうもねぇーよ!そのまんまの意味だよ!」


 強気な事を言いながら、俺は内心焦っていた。

 リアさんに国王を倒すとか言っておきながら実際は何も考えていなかった。 よくよく考えれば、こいつも曲がりなりにも国王なわけで、ちゃんと護衛の騎士がいるわけだ。

 国王を倒すということはそいつらを相手にしなくてはいけない。と言うこと、家庭科の調理実習で、包丁しか握ったことのない俺に何ができる?

 そもそも俺は武器を何も持っていない。

 国王の両端にいる数人の騎士たちの腰には剣。

 その騎士たちが国王に忠誠を誓っているかはわからないが誓っていなくとも、建前上守らなくてはいけないだろう。


 あと、今関係ないだろうが何か遠くからドカーン!バコーン!と、何かを破壊する音が聞こえてきて、しかもそれがこっちに近づいてきている気がする。できれば気のせいであってほしい。

 というか、国王に考え無しに突っ込もうとした俺が馬鹿だった…!


 国王はギャーギャーと何かを訴えているが、今の俺には聞こえていなかった。

 どうしよ~う~ 困っちゃったな~あ~♪


 心の中で変な歌を歌い出すくらい俺は焦っていた。


 やべー。背中を流れる冷や汗がとまんねぇー!!

 リアさんに、国王倒す!って大見得きったくせに、出来ませんでした。とか格好悪すぎる!

 もし仮に武器が手にはいったとしても、俺はそれを使えない自信がある!!

 あぁー!もう!そんな自信いらねぇーよ!

 少しは剣道とか柔道とかやっとくんだった!!

 過去の俺!パソコンばっかりいじってないで少しは運動しとけよ!

 少しは明るい希望と言う名の光が差したかもしれないのに!


 俺が頭の中で壮大なパニック状態に陥っていると突然、果てしないほどの爆音が聞こえる。

 とっさに両手で頭を庇い、目を強くつぶる。


 音が聞こえなくなり、そっと目を開けると、パラパラと壁の破片が舞っていた。

 国王が座っていた椅子の左横の壁には大穴が空いていた。

 その向こうには、手を前にかざしたツインテールの、黒いフリッフリの服を来た少女が立っていた。

 俺がポカーンと口を開けているとその少女は


「みつけた。」


 と一言呟くと此方へと歩を進めてくる。


「え?え?…えぇぇぇーーー!!!???」


 俺は反射的に叫んでしまっていた。

 この叫びは、王宮中に響きわたったとか、わかたらなかったとか……。

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