第2話
俺を呼び出したのはこの国の魔術師たちらしい。
簡単に言えば魔王がこの国をのっとろうとして、魔物を送ってくるらしく、自分たちの手には及ばないから俺に魔王退治に行ってほしいらしい。
「で、返事は」
今俺に話かけているのはこの国の王様らしい。
で、返事は とかいいつつお前、魔王退治行くよな?俺様の命令だぞ。 みたいな雰囲気漂わせてるんだよー。
なんか腹立つよな。
「聞いておるのか!!」
「へ? あ、はい。聞いてます。」
「で、行くのか、行かないのか。」
聞いてるくせに選択肢は1つしかない。みたいな?
「えーっと、急に魔王退治って言われても、頭が混乱してて…少し時間を貰えませんか?」
「明後日だ。」
「へ?」
「明後日の朝返事を聞かせろ。それ以上は待たん!」
「あ、はい。わかりました。」
なんなんだよこいつ。一応お前助けてもらう側だろうが。なんでそんなに態度でかいんだよ!
「この者を部屋に案内せよ」
ほらほら、王様(?)心底めんどくせーって顔してる。
「かしこまりました。」
俺の前にすっとメイドさんらしき人が立つ。
(うわー。綺麗な人だな。無表情だけど。)
「お部屋にご案内いたします。」
「あ、はい。お願いします…。」
そのままメイドさんは俺の前を無言で歩く。
適当な事を考えながら歩いているとメイドさんが立ち止まる
「こちらのお部屋でございます。」
「あ、ありがとうございます。」
俺が案内された部屋は簡易なベッドに棚が1つのとてもとても簡素な部屋でした。
(これが仮にも勇者とされる人の部屋かっ)
「なにかありましたらお呼びくださいませ。」
そう言い残してメイドさんが部屋を出ようとするのを引き留める
「あの、すいません。」
綺麗な動作ですっと振り向くメイドさん。
「なんでしょう。」
「明日なんですけど、城下町に行ったりとか、できます?」
やっぱさ、気になるじゃん!
城下町とかゲームの世界でしか行ったことないしよ!
メイドさんは一瞬考える動作をしたあと
「私にはわかりかねません。国王陛下にお聞きいたしましょうか?」
といった。相変わらずの無表情で。
このメイドさんに感情というものはあるのだろうか?
今さっきから眉1つ動いてない気がするんですけど。
「どうかなさいましたか?」
「あ、いえ。なんでも。それじゃあ、お願いします。」
「かしこまりました。」
メイドさんは一礼したあと部屋を出ていった。
「することないよなー。」
部屋にあるのはベッドと棚。
俺は簡素なベッドに横になりながらさっきの事を考える。
にしてもあの王様のは太ってたなー。
あれ絶対肥満体型だよ。あーいうのを肥満って言うんだよ。
本当、なんていうんだろう。肥満中の肥満って言うか…
まあ、とにかく、すごい太ってたなー。
にたいして、あのメイドさんは細かったな。
食べてるんだろうか。
あー。眠たい…。
少しだけ、寝よう…。
コンコン、コンコン
扉をノックする音が聞こえる。
「ん~?」
寝起きのしょぼしょぼする目を擦りながら起き上がる。
「勇者様。お夕食をお持ちいたしました。」
「あ、はい。」
俺はベッドから下り、扉を開ける
扉の先には夕食を乗っけたおぼんを持った相変わらず無表情で綺麗なメイドさんがいた。
「あの、ありがとうございます。」
夕食を受けとりながらお礼を言う。
「いいえ。お気になさらないでください。これが私の役目ですから。」
「あ、そうですか…。」
(う~む…。このメイドさんにはつい敬語を使ってしまうんだよな…。)
「明日ですが…」
「はい?」
「明日、城下町に行きたいと言う話を国王陛下にお話したところ、勝手にしろ。とのことです。」
「つまり、城下町に行ってもいい。ということですよね?」
「はい。明日は私も同行させていただきますので。」
「そうなんですか?」
「はい。国王陛下のご命令ですので。明日のお昼ごろにお迎えに上がります。」
「わ、わかりました。」
「では、失礼いたします。」
メイドさんは相変わらずの無表情で綺麗にお辞儀をしたあと部屋を出ていった。
「ま、いっか。それより飯飯」
俺がベッドの上に座ってさあ、食べようと手を伸ばす。
今晩の夕食の献立;パン、スープ、生野菜。以上。
「はあああああ!?」
いやいやいや。仮にも俺この国を救う予定の勇者だよね!?何、このあつかい!!
俺は部屋を飛び出て、今日のお昼ごろ通ったはず(うろ覚え)の道を走って部屋を探す。
走っていると明かりのついた美味しそうな匂いのする部屋の扉を勢いよく開ける。
バァァンッ!!
「おい!国王!!」