1章-01
Side将斗
ピピッピピッピピッピ....
頭まで被ったガーゼ毛布から手がにゅっと出て枕元の携帯を探す。
ぱしっ
『7:00です』
電子音(女性)の時報アナウンスが部屋に響く
「…ん、んん~ん、ほぅ…もうちょっと寝る…zzzz」
ピピッピピッピピッピ....
ぱしっぱしっ
『7:15です』
「あと5分…」
ピピッピピッピピッピ....
ぱしっぱしっぱし!
『7:45です』
「お兄ちゃん!遅刻するよ!!」
「…ん、んん??….ん~!っはぅ…」
ベッドの中でもぞもぞと蠢きながら、横で誰かが聞いていたら赤面しちゃうかもしれないような甘めな吐息を零す。
なんか遠くで千紗の声がする…7:45とか何言ってるんだよ…?
あぁ今日は林さんとの朝の太極拳は休ませてもらおう…
ゆっくりと背筋を伸ばしてから目を擦りながら携帯の画面を確認すると時刻は7:47。
まだ思考は靄がかかっている。
しばらくと言っても10秒ほどかも?ぽわわーんと寝起きの時間を楽しんでいたが、急速に思考が浮かび上がる。
「やべぇ!!」
昨日遅くまでバイクを弄っていたせいで、寝不足気味だが今日はまだ土曜日。
ウチの学校は単位修得制で週休2日制ではない為選択科目によっては午前中に授業がある。
そして何故か必須科目が土曜にあるのだ…。
爆発状態な寝癖もそのままにYシャツに濃緑色のネクタイを結ぶと、ブレザーとその上からバイク用ジャケットを羽織り、ガンメタリックのフルフェイスヘルメットを掴み取ると、二階の自分の部屋から玄関へとドタドタとけたたましい音を立てながら駆け降りた。
その間約3分!
「お兄ちゃん、朝ご飯は?」
キッチンのほうから妹の千紗が顔を出す。
バイク用のローカットを履きながら妹に手を合わせながら
「わりぃ間に合わないから要らない!ちぃ遅刻すんなよ!」
「はーい」
ガレージのシャッターを開けて愛車フチカミRVS500αを道路に出し、キックを軽く数回踏んで点火点を探る、そこで思い切り踏み込むと2st4気筒のエンジンに火が入った。
先日入れたカシムラのフルチタンチャンバーからはバラバラバラと2st特有の小気味良いエキゾーストが響きスロットルを煽るとレスポンス良くタコメーターが跳ね上がる。
この時点で7:52、家から学校まですっ飛ばせば40分強、限界までコーナーを攻めれば3分は縮められるかも?
今朝の1限目の授業は2回遅刻すると留年確定な身としては何としてもそれだけは阻止せねば!
財布とMP3プレイヤーしか入っていないデイバッグを背負い(教科書は全て教室のロッカーの中)、バイク用のグローブを付けると、アクセルを開けてそのまま町はずれの学校までフルスロットルで飛ばしていった
ようやく本編始まりました。
誤字脱字や表現方法のおかしな点等ございましたらご連絡いただけると幸いです。