1章 モノローグ2
Side 楓
私の周りに見知らぬ黒ずくめの戦士の集団が居る。
私は彼等の担ぐ御輿に乗せられていた。
どこか知らない処へ戦争に行くのだけは何となく理解する、けれど何故自分がここに居るかは解らない。
けれども彼等は私の名前を呼びながら進軍して行く。
人垣の中に見知った顔を見つけた私は彼の名前を叫びながら手を伸ばそうとした
「マー君! マー君!!」
御輿から転げ落ちそうになる私を周りの戦士が押しとどめる。
その叫びに気が付いたかのようにその人は振り向いた。
そこで目が覚めた。
ベッドの上でぐっしょりと汗をかいた私はそっとパジャマの袖で汗を拭いた。
またあの夢を見た。ここのところ何度となく同じ夢を見ている。
其れが何を意味するのかは解らない。私は幼いころから夢見の力を持っていたけれども最近見るこの夢は、現実のこととは思えない世界で、でも明らかに何かを暗示している。
「…マー君…」
夢の中で声を掛け、振り向いてくれた彼。
いつもはにかみながらも私に手を差し伸べてくれる幼馴染の男の子の名前をそっと呟いてみる。
少しだけ上気した頬に手を当てると、何かが起こっても私を助けてくれそうな気がして、少し安堵した。
時計を見ると6:30、背筋を伸ばしてベッドから起き上がって朝の支度を始めないと!
いつもの一日が始まる。
主人公の楓さん登場です。
次回からようやく本編へと入ります。
誤字脱字や表現方法のおかしな点等ございましたらご連絡いただけると幸いです。