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異世界に転移させられたのですけど、なんだかんだでエッチな事してごめんなさい【R15版】  作者: 立花 黒
第三章

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第95話、探索迷いの森②

 上方に向かい目を細めると、闇に浮かび上がる複数の文字。

 そのどれもが『懐郷(ホームシック)吸血ワーム【斥候型】』であった。

 しかもその数は五!


「真琴、吸血芋虫が降ってくるよ! 」


 詳しいソウルリストが確認出来ない真琴のために敵のソウルリストを声に出して言ったのだけど、そこで改めて自身が口にした言葉のおぞましさに身の毛がよだつ。

 今からここに芋虫がボタボタと。


 そしてそこでやっと、俺の視覚が遥か上方、闇の中に、まだ細長い影としか判別できない芋虫が複数こちらに向かって迫ってきているのを捉える。

 この落下速度、早い事は早いのだけど一定速度?

 つまり自由落下と言うより降りてきている!?


 そして自重を支える半透明な糸を勢いよくドパドパと伸ばし、明かりがある地面へと接近してきたため照らし出されたその姿は、小枝や葉で作り上げた袋に住んでいるミノムシをそのまま人間サイズにまで大きくしたような敵であった。


 ただしそいつはミノムシと違い、上にきているお尻の方から糸を出していたり、イノシシの牙くらいの長さで太さの鋭い歯を、丸く開かれた口の中央に向かってビッシリと生やしていたりするけど。


 あんな牙で噛み付かれたら、簡単に手足がもげそうだ。——っと、それよりソウルリストの検証だ!


 ホームシックって事は、すぐ近くに巣がある可能性大。

 んで斥候って事は、……この後に本隊が控えている!?


「あははっ」


 アズが闇ツララを射出させた!

 そして大きく螺旋を描きながら上方へ突き進む闇ツララの一本が、その軌道上にいた二体のワームに穴をあけ黒い霧へと変える。


 とそこで注視していた俺の瞳が、闇の中に新たなソウルリストを確認!

 その数、……いくつだ!?

 とにかく沢山のワームが一斉に降下してきている!


 それらを迎え撃つは、闇を切り裂く連続闇ツララ。

 しかし降下範囲が広くまた数も多い!

 アズの攻撃を掻い潜った奴らが地上まで到達。すると、糸が付いたミノを脱ぎ捨て、まるで蛇のように身体を蛇行させながらこちらへ殺到しだす。


 それらを返り討ちにするため、アズを中心に構えをとっていた真琴とクロさんが、地を蹴り各々左右に飛ぶ。


 アズも闇ツララを闇ナイフに変化させると、手数を増やし応戦するけど——


 次第に降ってくる数が増えている!?


 これではキリがない!

 しかもここはダンジョン。ずっと狩っていればいずれ居なくなる、と言うわけにはいかないかもしれない。

 そう、俺たちの上方にモンスターが無限に生まれるモンスタースポットとかあれば、延々湧いて出てきてしまうのだ。


 ここから離れないと!

 ——とその時、


「お任せください」


 綺麗な落ち着き払った声がした。

 ヴィクトリアさんだ。

 そしてヴィクトリアさんの手の平上には、周囲を照らす赤いバスケットボールくらいの大きさの球体が浮かんでいた。


「緋の世界、と言ったところですか」


 そう独り言を口にするヴィクトリアさん。

 そしてその球体が、上方に向かい気化するようにして空気中に溶け出したかと思うと、景色が一変。

 赤い風が周囲から闇を払っていく。

 そしてその風に包まれたモノは赤く熱を帯び、その後等しく発火。

 そうして降下中の数多くのワームと、周りの木々が一瞬にして炎に包まれていく。


「ユウト様」


 ヴィクトリアさんに呼ばれ我にかえる。

 そうだ、今がチャンスだ!


「真琴、アズ、今のうちに! 」


「そうだね! 」

「わかったわ! 」


 俺の意図を感じ取った真琴とアズがすぐに返事、そして俺たちは運良く赤い風に触れなかった芋虫たちを撃退しながら強行突破を開始した。


 それから半刻——

 俺たちは木々の密集地帯を抜けていた。

 そして眼前には、海のように見渡す限りの水面が広がっている。


 いや、ここは異世界のダンジョン内であった。これがなんなのか、慎重に見極めていかないといけない。

 ……波は無いため、どうやら海ではなさそうだが。

 しかしここも迂回しないといけない、のか。


「見つけました! 」


 声をあげたのはクロさんだ。

 そしてクロさんの視線の先、薄暗い水面の上に何かがいた。

 あれは、木!

 水面の上を移動している木であった。


「目印となる複眼を、木の幹に確認しました! 」


 つまりあれがナビゲーター。

 ……しかし水面を歩いていますよね?

 どうやってついていけば……いや、もしかして——


 水の中に足を入れてみる。

 するとくるぶしの高さまで水深はあるけど、どこまで行っても深さは変わらなかった。

 真琴が横に並ぶ。


「ここ、深さが全然ないみたいだね」


「そうだね」


 つまりこれなら追跡出来る!

 そして俺たちは、距離を保ったまま木のモンスターの尾行を開始した。


 それから暫く進むと、右前方の水面がにわかに泡立っている事に気付く。

 そしてそこを注視していると、水面と同色のツルッとした半球状のゼリーのような物が顔を出した。


 ソウルリストは『貪欲な捕食者』である。

 もしかして、スライムなのか!?


「こいつは失礼な奴ね」


 アズが既に闇ツララを作り上げていた。そして射出された闇ツララがスライムに命中。

 スライムは割れた風船のように、穴が開いたところから内包していた黄色い気体を吐き出し、……黒い霧に変わらない!?

 しかもスライムは、そのままこちらへゆっくりとだが進んできている。


「スライムは体内のどこかに核があります。それを破壊しないと倒せません! 」


 説明をしてくれたのはクロさんだ。

 しかしこの暗い中、水に浸かる奴からどうやってその核とやらを見つければいいんだ?


 すると水面の至る所から泡が立ち始めだした。

 嫌な予感がする。


 そして俺たちの周辺に無数のスライムが出現する。

 また戦闘になるのか!


 しかしこのスライム、移動速度が恐ろしく遅かった。そのため普通に歩くだけで、スライムたちは追いつけないでいる。

 また様々な性格なのがいるようで、『気まぐれな捕食者』とか『恥ずかしがり屋の捕食者』とか付いている個体は、俺たちに向かってこようとさえしない。


 まーなんだ、もしかしたら速度が早い亜種が存在するかもしれないから、警戒は怠らないでおこうと思う。

 しかしそんな亜種なんて物にはお目にかからなかった。

 戦闘がなかったのは良かったんだけど警戒しっぱなしだったため、無駄に疲れた気がする。


 そしてナビゲーター役の木のモンスターの後ろを進んでいると、初めて陸地の横に差し掛かった。

 その陸地は小島のようなんだけど、その中腹には大きな洞窟が口を開けている。


 そこでみんなで顔を見合わせる。


「ここだ! 」


 そしてナビゲーターのモンスターと別れた俺たちは、その内部が岩石で出来た洞窟へと足を踏み入れていく。

 そして洞窟内に入ってみると、奥の方が妙に明るい事に気付く。どうやら天井の一部が橙色の光を灯しているようだ。

 そうして必要最低限の明かりが確保されている洞窟内を進んでいると——


「あれ? 壁の色がおかしい? 」


 そう、上下左右、岩壁に様々な色がつき始めたのだ。

 驚き周囲を見回していると、次から次へと壁の色がカラフルに変わっていく。

 そして異変は止まらない。

 壁に瞳が現れ始めたのだ、それも壁の至る所に。

 これはモンスターなのか!?


「この感じ、品定めをされているようです」


 そう言ったのはヴィクトリアさんだ。

 たしかにこの瞳、ソウルリストは何も感じない。

 と言うか品定め?

 もしかしてこの瞳、俺たちが全員女の子であるかどうかを調べているって事!?


 だからなのだろうか、さっきからギラギラと、瞳たちはやたらと俺の方を見ているような気がする。

 ここでバレたら、今までの道のりが全て無駄になってしまう!


 気がつけば、俺が男である事がバレないことを、ひたすら祈っていた。

 気持ち内股にして上目遣いで前髪を弄ってみたりもしてみた。

 とそこで、突然景色が一変し元の風景に戻る。

 そして——


「ユウト! 」

「……あぁ」


 俺たちの目の前に、突然洞窟の出口が現れていた。


 頼むから、この出口がボス部屋に繋がっていてくれ!

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― 新着の感想 ―
へい、ユウト氏。 〉波は無いため、どうやら海ではないようだ。 湖にも波は有るそうですよ。琵琶湖は割りといつもチャプチャプしてるらしい。 波は水面を吹き抜ける風で起こるみたいなので、巨大とは言え閉鎖空…
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