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異世界に転移させられたのですけど、なんだかんだでエッチな事してごめんなさい【R15版】  作者: 立花 黒
第三章

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第80話、透明なジョーク

 俺のニヤニヤ視線を察知したのか、クロさんの後ろに隠れるようにして立っていたアズが、頬を膨らませて顔を覗かせる。

 それより——


「どうでした? 」


 その問いにクロさんの猫耳が、黒の頭髪からぴょこんと立った。


「その、オークションの目玉として扱ってくれるそうなので、……かなり期待出来るかもです」


「良かったですね! 」


「はっ、はい」


 そう返事をしたクロさんの表情は、期待と興奮に満ちていた。


 それから俺たちは、オークション用に特設ステージ前へ並べられた木製の椅子に座る。

 が人は疎らでまだ半分以上の席が空いていた。

 ちなみに俺の隣のアズさんは、現在うつらうつらしていたりします。


 そりゃアズも疲れるよね。


 つい数時間前まではダンジョンに潜ってて、ガンガン戦闘を繰り返していたわけだし。

 俺も何もしていないとはいえ、目を閉じれば疲れから眠気が襲ってくる自信があります。


 そこで眠気防止に視線を行ったり来たりさせていると、すっかり寝てしまったアズの頭をなでなでしているクロさんと目が合った。


「まだ始まらないみたいですね」


「もう少しで始まると思うんですけどねー」


 どうやら彼女も暇を持て余しているようだ。

 そのためか、クロさんから始まったここからの会話に花が咲く。


「そういえば昔、オークションにまつわるこんなお話がありました。ある日、オークション会場に全てが透明だと言う多肉植物が出品される事になりました。前代未聞の出品に多くのギャラリーが集まり、その日のオークションは一種のお祭り騒ぎになったとか」


「あの、透明と判断出来るという事は、触れる事が出来たのですか? 」


 するとクロさんの両の瞳がパッと見開かれる。


「流石ですユウトさん! その出品された透明な植物は触れることが出来なかったそうです。なぜなら実際には何も存在しなかったからです。このお話の事の始まりは、お金に困った若者が嘘をついて出品したからだと言われています。しかしその若者のリアクションがとてもうまかったそうで、あたかもそこには本当に植物があるかのようで、その時の記述では香りすらしたように感じられたとか。そして当日、会場全体も空気を読んでですね、とうとうその何もなく見えない植物の競りが始まりました。そして最終的には200万ルガで落札されたそうです」


「なっ、何もないモノに、そんな高値が付いたのですか? 」


「はい、ジョークで始まった競売が、雰囲気そのままジョークで落札されたのです」


 地球でもそういう系のジョークあるよね。

 たしかネットで現金を出品して、それを面白がって価値以上の金額を提示していく。

 まーあれはチキンレースとしての部分もあるのだろうけど。


「ただその落札された人はイキであると、街の皆々から言われるようになりました」


「つまりそのお金で名声を手に入れたわけなんですね」


「そうです」


「面白い話ですね。名声を200万で高いと思うのか安いと思うのか。でもその、なんて言うかイキ(・・)って言葉が存在するんですね」


「えぇ、異世界から来られた人から伝わりましたので」


「えっ!? 異世界、(じん)ですか? 」


「はい。……あれ? ユウトさんと真琴さんは異世界から来られたのですよね? 」


 バッ、バレている!?

 それに現地の人たちの間では異世界人って概念もある!?


「そっ、そうですけど、なんでわかったのですか!? 」


「えと、異世界から来られたばかりの方達は独特な服装をしていると聞いた事があったもので。あっ、ただそれを好んで着る一般の人もいたりはするので、一概にはそうだと言えないのですけどね」


「そっ、そしたらギルド登録の時って——」


「えーと、もしかして出身地の事ですか? てっきり異世界で旅をされていたと解釈してたのですけど」


 そうだったのか。

 道理で変わった服装でいるはずなのに、その事について突っ込む人がいなかったんだ。

 それに思い返してみれば、イドの街の門兵さんの対応、アレもなんか俺たちを最初から異世界人として見ていたような気がしないでもない。


 これは真琴が知ったらショックを受けるかもな。

 あの時の真琴、うまいこと事が運んでドヤ顔だったし。


 それより——


「その、異世界人って結構いるんですか? 」


「はい、この半世紀ほど前からは特に多くなったそうですけど、それ以前にも少なからずいたそうですよ」


 そこでクロさんがポンと手を打つ。


「そうそう、多くの街で酒場を開いている老舗、『オーイェイ』の創始者が異世界人なのは有名な話です」


 ん?


 オーイエイ……って、もしかして大家(おおいえ)さん、って事なのか!?


「それと現在勇者を名乗っているS級冒険者の方も、異世界人って話ですしねー」


 そこでベルの音がチリンチリンと鳴った。

 いつの間にか壇上に立つ商人風のおじさんが、手に持つベルを机に置くと、代わりに木製のハンマーに持ち変えるところであった。

 周りを見渡せば、会場の椅子はいつの間にか埋まっており、皆がそのおじさんに注目している。



「皆様がた、夕闇が刻々と迫る中、当ステージにお越しいただき誠にありがとうございます。お探しの品は見つかりましたかな? それともこれから出品される品に狙いを定めてのご参加ですかな? まだ詳しくはお教え出来ませんが、今回はカタログにない飛び込みの品で素晴らしい逸品も御座いますので、まだ遅くありません。自宅からこっそりヘソクリをお持ちするのを、オススメさせて頂きます」


 そこで会場からドッと笑いが起こった。


 逆にクロさんの表情は緊張のためか強張っていたりします。

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