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異世界に転移させられたのですけど、なんだかんだでエッチな事してごめんなさい【R15版】  作者: 立花 黒
第二章

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第69話、スペクター

 辺りの空間はゆっくり渦巻く青白い煙により、上から下まで包み込まれている。

 またこれにより微風が発生しており、濃い煙が重なるたび視界が酷く悪くなってしまっている。


「先手必勝よ! 」


 アズが胸を張り力強く一歩を踏み出す。

 そして風切り音。

 鋭い眼光の煌めきと共に、アズの目線に移動していた闇ツララが射出される!


 闇ツララは青白い煙を切り裂きながら目標物である白衣の亡骸、スペクターを目指す。

 とその瞬間、椅子に座るスペクターの腰の辺りから、不健康そうな青白く異様に長い腕が白衣を突き破り真横に伸びるように二本生えた。

 その腕は真下へ振り下ろされると地を掴む。

 そして腕立て伏せの要領でスペクターを椅子ごと持ち上げ、それによりすんでのところで椅子の下を闇ツララが通過してしまった。


 がしかし、いつもの調子の笑い声が空間に響き渡る。アズを見れば新たに闇ツララが五本、彼女の周囲に浮かんでいた。

 そして最初に二本、間髪入れずに残りの三本がスペクター目掛けて高速で放たれる。

 スペクターはそれらに対し、腕を足代わりに使い躱していくが、一番最初に放っていた一本が弧を描き戻ってくる事により、その腕の一本を見事に直撃。

 体からその腕を切り離した。


『グゥガァッ』


 バランスを崩し地に伏すスペクターが、苦しそうに肺から空気の塊を唸りと共に吐き出した。


 うわっ、なんだあれ!?


 そこで異様なまでに海老反りになるスペクター。そして不健康そうな青白く長い腕が新たにもう二本、背中を突き破り生えてくる。

 そして奴は海老反りのまま持ち上げられ、その背中と腰から生える計三本の腕でアズの五本の闇ツララを躱し出し始めた。


 気持ち悪い。

 しかしアズ、まだそんなに魔力が残っていたわけ?

 そんな感じで視線を向けていると、アズは再度笑った。


「あははっ、私の回復速度を甘くみないことね」


「なっ、もしかして! 」


 背中の真琴が驚きの声を上げるのを聞いて、そこで俺も気がつく。

 そう言えばアズさん、二度目の灯火喰らい(ランプイーター)やゴールデンアイなど、美味しいところは討伐している。

 それに回復速度が早いって言っているわけだし、つまりアズさん、ずっと猫を被っていたってわけなんですか?


「見抜けなかったあんたが悪いのよ」


「くっ、このボクが女狐に騙されただと」


 興奮している真琴は、ハンカチがこの場にあれば思いっきり噛んで引きちぎりそうな勢いで、ギリギリと俺の耳元で歯軋りをして悔しさを表現する。


 まー真琴の怒りは当然だろう。

 上の階でのポルターガイスト戦ではあの流れがあるため、単に魔力切れを隠してただけでは事は終わらず、二人の間で生まれそうだった友情も嘘っぱちだったって事になるもんね。

 でもこれで、最悪アズとも合体しないといけないかもという考えが杞憂で終わりそうで良かったです。

 だって、たとえここで勝ったとしても、それからダンジョンを脱出して次の街に着くまでは何が起こるのかわからないのだから。


「ボクは認めない! これは不当だ、なにかしらのペナルティーを所望する! 」


 背中の真琴はヴィクトリアさんに向かって叫んで抗議をするが、ヴィクトリアさんは静かに首を横に振った。

 そんな観戦モードになってる俺たちを他所に、アズとスペクターの戦いは続行中である。


『ブシュッ! 』


 スペクターがこちらに向かい腰の一本を伸ばして来たが、それを闇ツララの一本が上から下へ直撃、切断した。

 そしてそれをやってのけたアズは、真琴を見据えニヤニヤと笑う。


「それに真琴、あんたは黒いのにおんぶされてる時点で負けなのよ」


「——チッ、覚えていたか」


 真琴、女の子が舌打ちするのは良くないと思います。

 しかしそう言えば、おんぶしたら負けって事を俺が言ったんだよね。

 なんだかんだですっかり忘れていました。

 と言う事で、ボスを撃破する前にこのダンジョンでの勝者はアズ、と言うことになったようです。

 そして勝利が確定したアズさんは、人差し指を軽く曲げて唇に当てると、嬉しそうに微笑みながら俺のほうを見ています。


 そこで敵に新たな動きが。

 虚ろな表情である人型のモンスター、ムーンレイカーが新たに地面から生まれ始めたのだ。

 そして闇ツララから逃げの一手である海老反りのスペクターが、今度は呪詛のような声を漏らし始める。


 スペクター、あいつが色々とヤバイ相手であると再認識しました。


「それと勝敗が決まったことだし、もうNGワードを気にしなくても良いわけよね」


 そう言うアズは唇に当てていた右腕をサッと真横へ伸ばしマントを剥ぎ取る。

 すると肘から先が紫色に染まり指の先までが完全に染まると、そこから闇ツララより明るい色彩の刃、紫クリスタルのような剣が伸びた。

 そして前方の空間には、あのカクカクの蜘蛛の巣が何重にも現れる。


挿絵(By みてみん)


 最終的には五センチぐらいある分厚い蜘蛛の巣のようなモノが出来上がると、盾のようにして左腕の肘の部分に張り付けた。

 そこでアズは流し目になると、スペクターを見やる。


「私はいま凄く機嫌がいいの。だから遊んであげる」


 もしかしてアズ、今から接近戦をするつもりなのでは?

 アズって完全に遠距離型と思ってたんだけど、大丈夫なのだろうか?


 それとNGワード、俺が言ったりしたらダメって奴の事であるけど、これからアズがする事に関係しているのだろうか?


『ユウト様、NGワードは『心配』です』


 ヴィクトリアさんだ。そして念話は続く。


『心の中で心配されると、大幅に減点です。またユウト様が考察されていたように、回復魔法を受けると微々たるマイナスポイントが付与されていました』


 なるほど、それでこの屋敷に入ってからの全てに納得がいった。


 そして俺の心配をよそに、舞うようにして立ち回るアズはその腕のクリスタルの剣でムーンレイカー達を嬉しそうに斬り刻んでいく。

 しかし数が多い、真琴が戦っていた時とは比べものにならないぐらいのムーンレイカーたちの数で、それが今もなおドンドンと増えていっている。


 あっ危ない!


 死角から迫るムーンレイカーが振るった斬撃。

 しかしアズはまるでバレリーナのように片足を前へ伸ばし上体を反らすことで優雅に、そして紙一重で避けた。

 さらにそこからも盾があるというのにそれを使わず、攻撃をヒラヒラ舞うようにして躱していく。

 見ているこっちがヒヤヒヤだ。


 しかしアズは本当に遊んでいるようだ。

 残り四本になっている闇ツララはスペクターを追い立ててはいるものの、実際の攻撃対象として串刺しにしているのはムーンレイカー達である。


 そこでスペクターが叫んだ。

 するとビリヤード玉ぐらいの大きさの球体が、奴の足元の煙の中から複数個螺旋を描き浮かび上がって来た。

 そしてそれらはバチバチと音を立て電気を発生させたかと思うと、帯電させそれによりあっという間にバスケットボール程の大きさの雷球へと変化させる。


「右から二番目の球体を見て下さい! 」


 クロさんに言われ目を細めてみる、すると右から二番目の球体のみソウルリストが流れ込んでくる。


『TYPE-004ポルターガイスト、サンダーボール』


 つまりあの一個を破壊すると、残りの奴も動かなくなるとかなのでは!?

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