第120話、エンディング?
なんとなく話が分かってきた気がする。番号で呼ばれる人達がいる。その中で原初の闇と一番目と三番目がその上に位置するんだ。
そして恐らく、番号で呼ばれた人達が束になっても、今の風華ちゃんには勝てなくなったと。
でもここに原初の闇さんが来たらどうなるんだろう?
「ユウト様、原初の闇様は転生するにあたって既に自我を失っておられます。そして転生した姿がダークネスさんというわけです」
「えっ、そうなんですか! 」
「はい、なので三番目様と同等の力をお持ちなのは、こうして封印が解かれたユウト様しかおりません」
えぇ!? 封印が解かれた!?
「ユウト様に真実を話すのは禁忌中の禁忌。しかしユウト様が人間を辞めてしまえばいくらお話をしても構いません」
「つまり、種明かしをしてくれたって事は、俺は白神ユウトとして生きていけないって事ですか? 」
「そうよお兄ちゃん、もう人間なんてしなくて良いの。悠久の時の中で風華たちと溶けて混ざりあおうよ。お姉ちゃんが良いのなら、お姉ちゃんの姿になっても良いよ? 」
そこで風華ちゃんの姿が真琴に変わる。
「やあユウト、ボクは反対かな。みんなの犠牲のもとにある幸せ——なんちゃって。ボクも早く混ざり合いたいよ」
「風華ちゃん、途中で入れ替わったよね? 」
「ボクはボクだよ」
「……このままじゃもう、真琴にもあえなさそうだね」
「ユウト様が望めば、世界は如何様にも変化をする事が出来ます」
「ヴィクトリア! 」
風華ちゃんから莫大な憎悪がヴィクトリアさん達に向けられるのを感じるが、その全てを俺が中和しているのがなんとなく理解出来た。
「ユウト様のお心持ち次第なのです」
そんなの決まっている。
「俺が選ぶ世界は、みんなが幸せになる世界です」
「あははっ、あんたならそう言うと思ったわ」
アズが少し離れたところで、仁王立ちしていた。
「アズ、ついに念願の番号になったんだね。おめでとう」
「ふふっ、当然の結果よ。それよりいつか、私も絶対神になるんだからね」
「やっぱり前向きだよね」
「お兄ちゃん、フゥを捨てるの? 」
「うーん、風華ちゃん、今は妹のようにしか感じられないのが本心なんだよね。自分で言ってて最低だと思うけど、風華ちゃんが大きくなって、それでも俺を選んでくれるのなら、俺も風華ちゃんを幸せにしたいと思っているから、その時は俺のハーレムにって、……本当にごめんね。こんな返事で」
「お兄ちゃん、絶対神になったフゥは、いつでも大人の姿になれるよ! 」
風華ちゃんの姿が、真琴と同じ年くらいの美少女へと変わる。
「えっ、そうなの? 」
「うん、だから今すぐお兄ちゃんのものにして」
「ここで!? みんながいるよ」
「フゥはかまわない」
「ごめん、やっぱり妹として見ていた子と、いきなりエッチをするのは抵抗があるんだよね。だから時間を下さい。きちんと風華ちゃんと認識してからエッチをしたいと思えるまで」
「……わかった、絶対約束だからね」
「それとヴィクトリアさん、さっき俺が望めばなんでも出来るみたいな事言われてましたけど、俺が人間になる事も可能なんですか? 」
「はい、ただしそうなると、ユウト様は自身でそう望まれますので、これまでの記憶が全てなくなります」
「そっか、でも逆に言うなら、それだけの代償で全てが元通りになるってことですよね」
「そうなります。ただし一つだけ大きく違う点が出てきます」
「それは? 」
「私たち番号で呼ばれる者たちは、これまでの記憶が残った状態で元の世界、転生する前の地球へ行きます」
「それってつまり、……今の流れから行くと、俺のところにみんなが来ちゃうって事ですか? 」
「そうです、そしてハーレムが築かれます」
「そうなんですね、えーと、そしたら皆さんはそれで良いですか? 」
「あははっ、良いも悪いも、みんな自由に生きるあんたがどんな答えを出すのか知りたがっているのよ。だからさっさと決めなさい」
「ユウト、真琴だよ。次の世界になってもボクはキミを守り続けるから、安心して世界を構築してね」
「構築? 俺が世界を作るの? 」
「そうだよ、全く同じ世界を今からユウトが創造するんだよ。だから、みんなが納得いく配役をしないと、ブーイングが起こるかもしれないよ」
「えっ、俺の決定にみんな納得じゃなかったの? 」
「今の会話で変更されたんだ。よりよいルートを進むのは良い事だよ」
「えーと、わかった、頑張ってみる。真琴と風華ちゃんは同じで良いだろう。アズは帰国子女にして、ヴィクトリアさんは隣の家のお姉さん。あと番号の方達も配役した方が良いのですか? 」
そうして番号の人達も配役した俺は、宇宙を創造するのであった。ちなみに二番目さん、男性かと思っていたら女性でした。
◆ ◆ ◆
真琴から愛の告白を受けた翌日である現在、バス停がある大通りに出るため、真琴と電信柱が立ち並ぶ小道を並んで歩いている。
「そうそう、昨日お父さんに言ったんだ。
ユウトと付き合う事になった事」
「おっ、親父さんは、なにか言っていた? 」
「近い内に会いに来なさい、って言ってたかな? 」
マジですか!?
怖いから妹にも付いて来てもらおうかな?
いや、半眼で一瞥された後お兄キモいとか言って来てくれない気がする。
「今度の週末、お伺いしますと伝えてもらっても良いですか? 」
「オッケー」
その時、ゴミステーションに向かうご近所さんであるおばちゃんが、まあっと言った顔をしたあとに朝の挨拶をしてきた。
それに対し真琴がハキハキと挨拶を返す。
その時隣の俺はというと、湯気が出ているのではというぐらいに顔が真っ赤に染まってしまい、声も引っ込んでしまう。
……やはりこの手を繋ぐという行為、それだけでも恥ずかしいのに他人にも見られる機会も多いため、かなりの勇気がいるものである!
それとこのままバス停に着いたら、クールダウンの時間が足りずに真っ赤な顔のままバスで揺られる羽目になる。
今のうちから少しでも冷ましておかないと。
大通りに出たところで、思い切って真琴の前へと回り込む。
「まっ、真琴! 」
「うん、わかった。ボクはキミに苦痛を味わせたいわけではないからね」
まだ何も説明をしていないのに、すぐに手を離してくれた。
「でも少しでもキミと繋がれたおかげか、ボクは満たされたよ。それと安心をして欲しいから言うけどね、今から放課後まではイチャイチャしたい気持ちを我慢するから。実は昨日あれから色々考えたんだけどね、そうした方がいいような気がし始めてたんだ。……でもね、その後、学校から帰ってきたらね、その、久々にキミの部屋に遊びに行ってもいい——」
その時だった!
大通りの対向車線から大幅に逸れたトラックが、歩道を歩く俺たちに向かい突っ込んで来ているのが見えた!
もしかしてこれって、このまま行けば車に轢かれる、直撃コースなのだろうか!?
そしてそこからの映像は、スローモーションでコマ送りをしているように見え始める。
真琴は身体ごとこちらを向き、また俯いたままこちらに話しかけているため、その迫る危機にまったく気づいていない。
トラックがスローモーションで迫ってくる映像。
「あははっ」
風に乗り少女の声が聞こえた気がした。そしてトラックは派手に横転し、火花を上げながら車道を走って行く。
と、とにかく助かった!
そして誰だろう? ゴスロリ服にマント、そして王冠をちょこんと頭に乗せた女の子が俺たちのすぐ近くに仁王立ちで佇んでいた。
「どういうことなんだ! お前の登場はまだのはずだっただろ! 計画が全て台無しになるじゃないか! 」
真琴の知り合い?
「二ヶ月も待たされるだなんて、私が私を許さないわ。さぁユウト、私とセッ◯スをするわよ! 」
「えぇえー、どういう事? 」
「仕方がないですね、予定が大きくズレてしまいました」
いつの間にか、青味がかったショートヘアの女子大生風な人と、赤味を帯びた長髪の女性が並んで立っていた。
「ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる……」
なんか変なグルグル言ってるグルグル眼鏡の人もいるし。
そうして俺の破茶滅茶な人生の幕が、切って落とされるのであった。




