第116話、エッチな子は嫌いですか?②
「……ユウト様は、私みたいなエッチな子は、嫌いですか? 」
「きき、嫌いじゃない……ですけど……」
というか、真琴もって?
もしかして屍主との戦いで真琴とも一緒になったけど、真琴もエッチな、つまり開発されちゃってたって事?
……思い返せば真琴、初めてだったのにとても感じてくれていた気がする。
「あの、それと七番目様も記憶を取り戻すには、強い刺激は必須だから抱かれてこい、と言われていたのですけど——」
やっ、やっぱりこの一連の流れは七番目さんが絡んでましたか!
でも抱かれろとは最後までって事ですよね?
この間、避妊が出来る魔法アイテムを見つけたわけだけど、やっぱりその、彼女でもない人と最後までするのは——
そこでリアさんが切れ長の瞳に薄っすら涙を浮かべている事に気付く。
「ユウト様、ごめんなさい、やっぱり突然こんな事を言うのは差し出がましいですよね。ごめんなさい、ごめんなさい」
俺は思わず、俯いたまま謝るリアさんの肩をつかんでいた。
「リアさん、謝らないで下さい! ただこう言う事は、好きな人とやるべきで——」
すると顔を上げたリアさんの瞳は赤く染まっており、一粒の涙が頬を伝った。
そして——
「……好きです」
ポツリと呟くように言った。
「……え? 」
「ヴィクトリアはまだ理解出来ていなかったようですけど、新たに生まれた私は色々と調べました。そしてこのユウト様に抱く感情は間違いなく、……私は今、恋をしています」
そしてリアさんは笑顔を見せた。風が吹けば消えそうな、湯けむりに漂う儚い笑顔を。
そんなリアさんの姿に心臓が高鳴る。と同時に、守ってあげたい気持ちも湧き上がってくる。
でも俺は——
「ちょっ、ちょっと待って下さい。……リアさんの気持ちは本当に嬉しいんですけど、その、突然言われても、心の整理が追いついていないと言うか」
「……ユウト様に、想いを寄せるのは迷惑ではないですか? 」
「迷惑だなんて微塵も感じていません。ただ驚いてるだけでして——」
「でしたらユウト様に振り向いてもらえるように、……私頑張りますね」
リアさんが頬を染めながら、両手でガッツポーズを作る。そしてそのまま言葉を紡いでいく。
「それと先ほどのお願い、記憶を取り戻すためにも必要ですし、その、……私を抱いて頂けないでしょうか? 本当ならそういう関係になってからが望ましいのでしょうけど、このような機会はなかなか巡ってこないように思いますし。それとこの様な事を願うのは分をわきまえていないのは百も承知なのですが、思い出作りを……」
どうしよう? 嬉しい気持ちも当然あるんだけど、心の整理が——
「……ダメですか? 」
リアさんの瞳に、今にも溢れそうなほどの大粒の涙が——
「ダメじゃないです! 俺で良……ければ」
……あれ? 俺はなにを口走っているのだろうか? 思わず声に出してしまったけど!?
「……よろしいのですか? 」
リアさんが見上げるように俺の瞳を覗き込んでくる。
えぇい、迷うな! 思わず出た言葉、それは俺の無意識下の言葉なんだろ! 俺はリアさんの悲しむ姿を見たくない! これは間違いなく、俺の本心だ! それに二人だって分かってくれる……はず、かな? ……えぇい!
「はい、大丈夫です! 」
「……ありがとうございます。一生の思い出に、させて頂きますね」
そんな、大げさです!
しかし俺は、今からリアさんと最後までするのか。改めて脳がそう理解する事と、結構な時間湯に浸かっているため、少しのぼせて来ていたりするんですけど、今の俺の股間の状態は流石に見せれないです。
だってたとえこれからエッチな事をするとは言っても、さっきまで消極的な態度をとっていたのに下半身がこれだと、俺の言葉の真実味が薄れてしまうから。……しかしここから、不毛な我慢比べが始まってしまうのだろうか?
とそこでリアさんがその柔らかそうな唇を開く。
「少しのぼせてきましたので、そろそろ上がらせていただきますね」
渡りに船である!
「わかりました! 」
「ユウト様はまだ浸かられているのですか? 」
「はい、もう少し浸かっていたいので、俺はリアさんが出てからにします! 」
「わかりました」
そこでリアさんはスッと湯船の中、俺に身を寄せてくる。そして俺の頬にリアさんのぷるんとした唇が軽く触れた。
「それではお先に部屋に戻っていますので、その、よろしくお願いします」
「はっ、はい」
そうして俺の身と心は、リアさんの事しか考えられない状態になってしまった。
◆
自室、畳の部屋に戻ると、暖色系で提灯型の魔法のランプの灯りが暗闇を照らしている。また提灯の隣には、俺とリアさんの布団がくっ付けて敷かれており、その布団の上には正座をして待っている浴衣姿のリアさんが。
その、灯りに浮かび上がる様に照らされるリアさん、めっちゃ色っぽいんですけど。
そこでリアさんが三つ指をつく。
「不束者ですが、宜しくお願い致します」
「俺のほうこそ、宜しくお願いします! 」
そして雰囲気そのまま、リアさんの隣に正座しちゃいました。とそこで、先ほどまで温泉に浸かっていたからだと思うけど、リアさんから石鹸のような良い香りが漂ってくる。
しかしやっぱり緊張してしまう。真琴とはついにエッチをしちゃったわけだけど、俺の経験値の殆どはネットの情報によるものだから。
「ユウト様」
「はいっ? 」
とそこで唇を軽く重ねられた。……柔らかい。そしてリアさんが僅かにだけ唇を離すと、艶やかで、それでいて悪戯っぽい笑顔で微笑み——
「隙が多すぎです」
と俺を押し倒した。そして言葉を連ねる。
「施しをしてばかりだと大変でしょうから、今回は私がご奉仕させて頂きます! 」
膝歩きで微調整をしたリアさんが、俺の太腿を跨ぐと両足で挟み込み、そのままのしかかるようにして太腿の上に腰を下ろした。背筋を張り見下ろす形で俺へ視線を向けるリアさんは、頬を薄っすらと染める。そこでそのスラッとした細い両腕を伸ばして俺の肩を押さえ込むと、組み敷くような姿勢で顔を寄せる。そこから少しだけ出した舌先を俺の首筋に這わせると、時折チュッチュッと吸い付くリップ音も鳴らす。
そして——
「ヴィクトリアさん、ダメです! 」
「なにがですか? 」
「その、顔にたくさん、キスを、するのは、なんだかくすぐったいです! 」
そこで顔を離したリアさんが、出していた舌で唇をペロリと舐めながら元に戻す。
「……ユウト様、可愛いです」
「えっ、あつ、っっっ!!! 」
リアさんは一切止まろうとしない。
そうして最後までした俺とリアさんは、小休憩を挟みつつ結局朝まで何度も何度も求め合った。
そうそう、本来の目的なんだけど、今回はヴィクトリアさんの記憶を取り戻せなかったそうである。そのため時間が許すならまたよろしくお願いしますとお願いされた。
またその日、真琴とアズ、そしてリアさんがコソコソ話しているなと思っていたら、何故か俺のハーレムの中に、新しくリアさんが正式加入した事が真琴の口から告げられるのであった。




