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元彼  作者: 紀本 真利亜
6/6

財布

 

 

 「まだその指輪してんの?」

 元彼の左中指の指輪が目に入った。私と付き合っていた時からチョクチョクしていた指輪。随分とお気に入りなんだと今日改めて思った。

 

 「これしか持ってないから、財布はお前に買ってくれたのまだ使っているよ」

 「マジで?!」

 さっきアイスクリーム買ってもらった時、全然気づかなかったからビックリした。

 「さっさと変えなよ」

 「別に良いじゃん、気に入ってるんだから」


 付き合って最初に誕生日にプレゼントした財布。かれこれ、何年前か頭の中で計算をしてみた。

 「八年前??」

 「もうそれ位経つの?時が経つのは早いね」

 のんきにそんな事を言った、意外と物を大事にする元彼。

 

 「お前にも買ってあげたでしょ、財布」

 「もう使ってないよ、今は違うの使っている」

 「あ、そっか」

 少しだけ寂しげな横顔を元彼はしていた。少しだけ微妙な間が出来てしまった。こんな時に限って車のBGMは、昔HITしていた失恋ソングが流れてきた。空気位読んで欲しいものだ。話題を変える為に質問をしてみた。


 「彼女は今日仕事?」

 「はぁ?女なんていないよ、いたらお前とは逢っていないよ」

 「いないの?!何で?」

 「何でって言われてもいないから仕方無いでしょ」

 「さては、捨てられたんでしょ?」

 「はいはい」

 元彼は、二言の返事で返した。それを聞いて私は、やっぱり寂しくなって私に連絡してきたんだと思ったのだ。私の読みは流石だなと心の中で自分を褒めた。

 

 失恋ソング、失恋ソングの連発を終えた頃、信号手前にあった道路の青看板に、目的地である公園の名前が出てきた。



 私と元彼の思い出の地である公園はもうすぐである。

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