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元彼  作者: 紀本 真利亜
4/6

行先

 

 ゴールデンウィークも終わった平日の道路は空いていた。車は昔良く通っていた道に出て、早くも無く遅くも無く走り出す。

 

 「ねぇ、何処にいくの?」

 このまま行くと、街から離れる道なので私は聞いてみた。

 

 「覚えている?あそこの公園」

 「公園?」

 「そう、湧き水が出てる公園」

 

 私は、初めてデートした場所だとわかったのだが、あえて惚けてみせた。

 「あったっけ?そんな公園?」

 「あれ?忘れちゃったの?随分前のことだから仕方ないか」

 少しだけテンションの下がった元彼が、少しだけ可哀想になったので思い出したフリをした。

 

 「もしかして、びしょ濡れになりながらペットボトルに沢山水を入れた所?!」

 「そうそう!そこに行くの」

 ちょっと顔の赤い元彼が笑みを見せた。


 「何しにいくの?また水でも持ってかえるの?」

 「まあ、暇だしそんなところかな」

 「結構距離あるよね?マジ行くの?」

 ちょっと嫌な顔を私はして見せた。

 「今日は道空いているからすぐに着くよ、時間は大丈夫?」

 「時間は別に大丈夫だけど、行くなら先に言えよ」

 私は、ジャージーなのだ。そんな所に行くのなら、ちゃんと着替えてきたのに。と、心の中で思ったのだ。

 

 「てゆーか、私ジャージー姿何だけど」

 「ははっ、大丈夫。今日はきっと誰もいないし、ジャージー似合っているよ」

 相変わらずな能天気ぶりは、未だ健在だった事に今私は思い出した。

 

 「何で今更そんな所に行くんだよ、はぁ」

 思わず溜め息が出た私なんかは無視して、元彼は私の心をホッとさせる笑みを浮かべて、また歌いだした。

 

 とりあえず、行き先は思い出の初デートの場所だった事が、やっと判明したのだ。 


 

 

 

 

 

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