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ちょっぴり変わった同好会シリーズ

とんでもない部活(同好会)に入ってしまった私……。

作者: ホキニワラ

 キーンコーンカーンコーン……。


「「「――♪☆!」」」


 ワイワイガヤガヤ……。


「一緒に部室行こう♪」

「うん、いいよ〜♪」


「……」


 ハァ〜……、部活どうしよう……。


 授業が終わってみんなが部活へ行ったりバイトへ向かったり遊びに行こうとしているのに対し、現在私は机でぐで〜んとうつ伏せになってあることに悩んで嘆いていたの……。


 私の名前は山井璃緒。城三岡高校に通う高校1年生の現役女子高生です……。そんな私のある悩みとはズバリ部活がまだ決まってないことなの……。ふえ〜ん……。


 高校に入学してからかれこれ2週間以上経つものの、どの部活に入ればいいのか分からなくて路頭に迷ってる最中だったの……。うぅ〜……、このままじゃお先真っ暗だよ〜……。そもそも中学時代は帰宅部だったしね……。あはは……。


「うるうる〜……」


「ふみふみ……、どうやら何かお困りみたいね☆!」


「ふぇっ……?」


 私が絶賛お悩み中でしばらく嘆いていると、教室のドアの方から颯爽と謎の人物が姿を現したの。


「トゥッ!」


 スチャンッ!


「フッ……! 決まったぜ……!」


「いや……、ただ走ってこっちに来ただけでしょ……」


「もぅ〜! そういうことは言わない! むぅ〜!」


 何だかとても変な人ね……。って、よく見たらクラスメイトの谷村さんじゃない! いや何してるの本当に……?


 この子の名前は谷村朱音。私とは一応クラスメイトになるんだけど、どうやらこの子が謎の人物の正体であることが分かったの。


 そういえば谷村さんは入学式の時に行ったクラスの自己紹介の際に、確か変なことを言ってた気がするんだよね……。だけどあまりにも意味不明すぎて理解出来なかったから全然覚えてないけど……。


「山井さんが困ってそうだったからせっかく助けに来てあげたのに〜! フンッ!」


「えっ……、え〜っと〜……。そっ……、その……、何かごめんね……。あっ! そういえば谷村さんは今まで何をしていたの? さっき教室からすぐに出て行ったけど……」


「あ〜……それはね、まだ終わっていなかった宿題を職員室に行って提出していたの♪ テヘッ♪」


 ズコッ!


「って、何じゃそりゃ〜!」


「まあまあ、落ち着いて♪ でその後忘れ物があったことに気付いて慌てて教室に戻ろうとしたら、山井さんが机の上でポケ〜と項垂れて明らかに困っていそうだったから、こうして救いの手を差し伸べたってわけなの♪」


「なっ……、なるほど……。そうだったんだ……。その……、ありがとうね♪」


 とりあえず経緯は一応分かったわ……。何か物凄く美化して語っていたけど、私のことを心配してくれていたのは事実だからちゃんと感謝しなくちゃね♪


「エッヘン☆! それで何に困ってたの? 良かったらこの私が相談に乗ってあげます☆!」


 キラキラ〜ン☆!


「うっ……!」


 まっ……、眩しすぎる〜……。何だか物凄く目をキラキラと輝かせているんだけど……。うぅ〜……、仕方ない……。谷村さんに私の悩みを打ち明けよう……。


 そして私は部活がまだ決まってないことに嘆いていることを谷村さんに話したの。


「ふみふみ……、なるほどなるほど……。つまりそれが山井さんを困らせていた正体ってわけね♪」


「まっ……、まあ……、そういうことになるかな……。あはは……」


 さっきからずっと気になってたんだけど、谷村さんって相槌を打つとき『ふむふむ』じゃなくて『ふみふみ』って言ってるわね……。言動もさることながらやっぱりちょっと変わり者であることは間違いないかも……。


「よしっ、決めた☆! ねぇねぇ山井さん、それなら私が作った部活に入ろうよ☆! ニヒッ♪」


「えっ……、えぇ〜っ……!?」


 何とここで、まさかまさかの突然の急展開!!


「谷村さん、自分自身で部活を作ったの!?」


「ニヒヒ〜、その通り☆! つい最近新たな部活を立て上げたんだ♪」


「そっ……、そうなんだ……。じゃなくて! 谷村さんが作った部活に私も入っていいの!?」


 突然のことすぎて、私の頭の中は完全にパニック状態になっていたの!


「もちろんオッケ〜だよ♪ 基本的にそういうのは自由だから♪」


「はっ……、はぁ……。ごめん谷村さん、少しの間休憩させて……」


「うん、いいよ♪」


 凄い情報をブッ込まれたせいで、かなり取り乱してしまったわ……。ここは一旦深呼吸をしてクールダウンしよう……。


「フゥ〜……、だいぶ気持ちも落ち着いてきたわ……。ごめんね谷村さん、しばらく待たせてしまって……」


「ううん♪ 全然オッケ〜だよ♪」


「なら良かった♪ そういえば谷村さん、いつの間に部活なんて作っていたの?」


 平常心を取り戻した私はようやく気になっていた本題に入ることにしたの。


「フッフッフッフッフ〜……。よくぞ聞いてくれました☆! 実は入学式の日から秘密裏に進めていたの♪」


「えっ、そうなの!?」


「ニヒヒ〜、そうだよ♪」


「へっ……、へぇ〜……」


 まさか入学式の日からいきなりそんなことをしていたとは……。あとちょっと気になったんだけど、それを秘密裏と表現している辺り、もしかしたら谷村さんは中二病を患っている可能性があるわね……。


「ユイちゃん先生に直談判して、その後はさっきも言ったようについ最近見事部活を立ち上げることに成功したってわけなの♪ ピース☆!」


「そっ……、そうだったんだ……」


 谷村さんから部活を立ち上げた経緯を聞いていた私は終始唖然としていたものの、一応何とか理解することは出来たの……。


 ちなみにユイちゃん先生は私たちのクラスの担任の先生のことだよ♪ それにしても先生に対して、まさかそんな呼び方をしていたなんて……、谷村さんがただただ末恐ろしく感じるわ……。


「といってもまだ立ち上げたばかりだから、正式には部じゃなくて同好会にはなるんだけどね♪ テヘッ♪」


「うっ……、うん……。まあそれは別に良いんだけど……」


 立ち上げたって聞いた時点で大体そうだろうなとは思っていたから、その点に関しては全然納得しているよ♪


「それで……、山井さんはどうかな?」


「う~ん……、そうねぇ〜……」


 正直変わり者である谷村さんが部活を作ったと聞いて、怪しさがかなりプンプンとしているんだよね……。あはは……。さて……、どうしたものか……。


「……よしっ☆! 良いよ♪ 谷村さんが作った部活に入ってみようと思う♪」


「本当に!? いいの!?」


「うん、いいよ♪ せっかくだからここはお言葉に甘えてね♪ ニヒッ♪」


「わ~い、やった〜☆! 新たな部員ゲット☆! イェイッ♪」


 そして私は長考の末、谷村さんが作った部活に入ることに決めたの♪


 どうして入ろうと思ったのかと言うと、どの部活も長続き出来る自信がなかったので消去法で選んだからなの……。現にこうしてどの部活にすればいいのか迷っていたわけだしね……。あはは……。


「それじゃ、早速部室に行こう♪ 正確には同好会室だけど♪ テヘッ♪」


「はいはい。それじゃ案内お願いね♪」


「ラジャ〜☆!」


 それから私は谷村さんと一緒に謎の同好会室へと移動したの。


 一体どんな部活なんだろう……? 正直とても不安しかしないです……。ガクガクブルブル……。

 


「ルンル〜ン♪ ランラ〜ン♪」


 鼻歌をするぐらい凄い上機嫌……。

 

「ねぇ、谷村さん。谷村さんが作った同好会って一体どんなのなの?」


「フッフッフ〜……。それは着いてからのお楽しみってことで♪ ニヒッ♪」


「あっ……、そう……」


 なぜか凄く勿体ぶるわね……。この時点でもう嫌な予感しかしないんだけど……。


「とうちゃ〜く☆! ここが同好会室だよ♪」


「なるほどここが……、えっ……、ここ……?」


「うん、ここ♪」


「ここってどこからどう見ても数学準備室じゃない!」


 ようやく同好会室に到着したと思ったら、そこはまさかの数学準備室だったことに私は驚きを隠せなかったの!


「シシシッ、とても驚いたでしょ?」


「当然驚くに決まってるでしょ! あとそのドヤ顔何かとてもムカつくんだけど!!」


「もぅ〜、それ以上褒めても何も出ないぞ♪」


「いや全然褒めてないから……。でもどうして同好会室が数学準備室なの?」


「あ〜、それはユイちゃん先生が顧問になってくれたのと担当教科が数学だったからだよ♪ エッヘン☆!」


「あ〜……、なるほどね……。とりあえず理解したわ……」


 それなら一応納得出来るわね……。そりゃ顧問も当然必要になるから、そのままの流れで担任の先生が務めるのもある意味自然の流れよね……。あはは……。


「それじゃ、同好会室に入ろう♪」


「うっ……、うん……。分かった……」


 とりあえず同好会室と言う名の数学準備室に入るわけだけど、谷村さんが作った同好会が何なのか未だに気になって仕方ありません……。うぅ〜……、モヤモヤな気持ちでいっぱいです……。


「こんにちは〜☆! 失礼します♪」


「しっ……、失礼します……」


「おっ、こんにちは。谷村さん今日も元気だね」


「エヘヘ〜♪ 元気なのが私のチャームポイントなので♪ エッヘン☆!」


 すっ……、凄い……。知らない先生ともう既に馴染んでる……。谷村さんのコミュ力マジで半端ないんだけど……。


「あれ? そちらの方は?」


「私のクラスメイトの山井さんで、新たな部員でもあり友達です♪ イェイッ♪」


「どぇっ!?」


 今私のことサラッと友達って言ってくれたんだけど!? 何だかとっても嬉しい気持ち……♪ ふふっ♪


「へぇ〜、そうなんだ。山井さんよろしくね」


「あっ……、はい……。こちらこそよろしくです……」


 挨拶するだけで凄く緊張するんだけど!! ましてや男の先生だし〜!!


「ナイト先生、そういえばユイちゃん先生はいますか?」


 ナッ、ナイト先生!?


「戸村先生は学年の職員会議で少し遅れるって言ってたよ。時間的に多分もうそろそろ来る頃じゃないかな?」


 ちなみに戸村先生は私たちの担任であるユイちゃん先生のことだよ♪ ここで初めて明かされます♪


「分かりました♪ ありがとうございます♪」


「いえいえ。それじゃ僕は部活の方に行くからここを後にするね」


「は~い☆!」


 そしてナイト先生はそう言い残し、そのまま部活の方へと行ったの。


「いっ……、行っちゃった……」


「いや〜、ナイト先生はやっぱりとっても爽やかな人ですな〜♪ うんうん♪」


「あはは……。そういえばナイト先生ってどんな人なの? 良かったら詳しく聞かせて♪」


「いいよ〜、教えてあげる♪ 名前は小早川ナイト。今は3年生の数学を受け持っていて、部活ではサッカーの顧問を勤めているの♪」


「へぇ〜、そうなんだ♪ えっ、ちょっと待って……。ナイトってもしかして本名なの!?」


「うん、そうだよ♪ 漢字で『騎士』って書いてナイトなの♪」


「そっ……、そうだったんだ……」


 何と物凄いキラキラネーム……。


 とりあえずナイト先生のことについて一応知ることは出来たけど……、まさかナイトが本名だったことには一番驚いたわね……。てっきり谷村さんが小早川先生のことをまるで騎士みたいだなとイメージしてあだ名で呼んでるもんだと思ったわ……。



「ユイちゃん先生まだかなまだかな~♪」


「あはは……」


 凄くウキウキルンルンとして待ってるわね……。


 それから私と谷村さんは、靴を脱いで段差のある部屋に登って戸村先生が来るのを待っていたの。


「ねぇ、谷村さん。どんな同好会を立ち上げたのかまだ明かしてくれないの?」


「イエス♪ ユイちゃん先生が来てくれたら全てを話します♪」


「何か無駄に凄く勿体ぶるわね……。そういえばここの数学準備室、思ってたより結構広いわね♪」


 するとここで私は、数学準備室の室内について話したの。そもそも部屋が普通にあったことにびっくりしたんだよね……。


「あ~それはね、学校側からの要請で先生方も快適に寛げるように部屋も造られたからみたいなの♪」


「へぇ〜、そうだったんだ♪ だから部屋が用意されてるんだね♪ おまけに靴も脱げてリラックス出来るのはとてもありがたいかも♪」


「うんうん、その気持ち凄く分かるよ♪ ちなみに他の教科の準備室も部屋が設けられているの♪ ニヒッ♪」


「えっ、そうなの!? これまたビックリ〜!」


 とりあえず言えることはこの学校の設備が物凄く整っていることね……。教室にもエアコンがちゃんと付いていたぐらいだし……。環境面ではこれ以上ないほどの万全に整っている状態だね♪ それはそれで良し♪ うんうん♪


「ユイちゃん先生早く来ないかな〜♪」


「小早川先生が言うにはもうそろそろ来る頃だと思うんだけど……」


 ガラガラ……。


「朱音ちゃん、お待たせ〜♪」


「あっ、ユイちゃん先生だ☆!」


 しばらくすると、ここで満を持して戸村先生がやって来たの♪


 この人の名前は戸村結衣。といってももうある程度のことは明かされているからあまり意味ないと思うけど、改めて自己紹介をするね♪ 戸村先生は私たちのクラスの担任であり、教科は数学を担当しているの♪ あととても明るいところも特徴かな♪


「ごめんね、遅くなっちゃって♪」


「ううん、全然大丈夫です♪ ニヒッ♪」


「良かった♪ あれ? 山井さんもいるじゃない♪ ヤッホ〜♪ 放課後ぶりだね♪」


「はい♪ そうですね♪」


 戸村先生、超フランクに話しかけてくるんだけど☆! より親しみやすさを感じます♪


「ここに山井さんもいるってことは……、もしかして――」


「ピンポ〜ン♪ そうなんです☆! この度何と、山井さんが我が同好会に入ってくれることになりました☆! パチパチ〜♪」


「やっぱりそうなんだ☆! 山井さんも入ってくれるなんて先生とっても嬉しいわ♪」


「ですよねですよね☆! 私もとっても嬉しいです♪」


「「イェ〜イッ♪」」


 パチンッ☆!


「はっ……、はぁ……」


 まさかそこまで喜んでくれるとは……。でも悪い気はしないかも♪


「ちなみに朱音ちゃんはどんな同好会なのか山井さんに話したの?」


「ううん、まだ話してないです♪」


「オッケ~、了解♪ つまりサプライズで発表を考えたわけね♪」


「フッ……! 全くもってその通りだぜ……☆! キラ~ン☆!」


「もぅ〜! どうして今ので全てを察することが出来るのよ!?」


「「だって私たち運命共同体だから♪」」


「どんな理由よ!?」


 えっ……、ちょっと待って……。戸村先生ってこんな人だったの……? 何かイメージが崩れてしまったんだけど……。


「ユイちゃん先生が来てから全てを話そうと思ったんだ♪ エヘヘ〜♪」


「そうだったんだ♪ それはナイス判断ね♪」


「どこがナイス判断なんですか!?」


「さてと♪ 山井さんにこの同好会が何なのか話そうと思うけど、その前に山井さんはどんな同好会をイメージしてる?」


「えっ……? 多分ですけど……、ただ喋ったりゲームとかしたりしてのんびりまったり過ごすものだと思ってます」


「「うん♪ 大体そうね♪」」


「そうなんかい!」


 とりあえず予想通りの同好会であることは分かったわね……。それにしても……、2人の独特な世界観に翻弄されっぱなしだよ〜……。ぬぐぅ〜……。


「それじゃ朱音ちゃん、どんな同好会を作ったのか発表をお願いします☆!」


「うむ☆! よかろう☆!」


 2人共……、何だかかなりのハイテンションぶりね……。


「では発表します☆! 私が作った同好会……、それは――」


「……」


 ゴクリ……。


「ドゥルルルル〜☆!」


「戸村先生!?」


 別にそんな演出いらないでしょ!? てかまさかのアカペラ!? ダメだ……。戸村先生のイメージが更に崩れていくよ〜……。


「ジャンッ☆!」


「ズバリ、提供クレジット同好会です☆!」


「よっ☆! 遂に同好会の内容が明かされました〜♪ パチパチパチパチ〜♪」


「えっ……?」


 ごめんちょっと待って……。ようやく謎の同好会の正体が明かされたわけだけど……、正直谷村さんが何を言ってるのか私には全然分からなかったんだけど……。


「ちなみに質問は受け付けます☆!」


「受け付けるんかい! まあでも凄く助かるけど……。え〜っと〜……その〜……、提供クレジットって何ですか……?」


「ふみふみ……、やっぱりそこは気になっちゃうよね♪」


「うんうん♪ その質問が来るのは完全に想定内です♪」


 あっ……、想定内だったんだね……。つまり谷村さんも戸村先生も提供クレジットっていうワードに疑問を浮かべられることは理解していたわけね……。フゥ〜……、何だかとっても安心したかも♪


「え〜、コホン☆! それじゃ、提供クレジットが何なのか今から山井さんに説明していきたいと思います♪」


「イェ〜イッ☆!」


「おっ……、お願いします……」


 いやここ絶対に盛り上がる場面じゃないと思うけど……。とはいえ教えてくれるのはとてもありがたいわね♪ そこは高ポイントです♪


「まず最初に確認なんだけど、山井さんはテレビで何かしらの番組を観たりするよね?」


「えっ……? あっ……、はい……。それはもちろん……」


「良かった♪ もしそうじゃなかったら、この時点で既に詰んでしまって絶望に打ちひしがれるところだったよ〜……」


「うんうん。本当にギリギリセーフだったね……。先生も凄くホッとしたわ♪」


「そっ、そんなに!?」


 まさかさっきの質問がそんなに重要なものだったなんて……。多分人生で初めてテレビで番組を観て良かったって思ったかも……。あはは……。


「話を戻すね♪ テレビでやってる番組にはどこかでいろんな会社の名前がたくさん出て来ると思うけど、山井さんは知ってるかな?」


「あっ、はい。確かにいろんな会社の名前がたくさん出てくる時があるわね。それと一部の会社名を読み上げたり、『ご覧のスポンサーの提供で送りします』っていうナレーションがされてたような気がしたと思う」


「ピンポ〜ン、その通り☆! 実はそれこそが提供クレジットなの♪」


「えっ、そうなの!?」


「そうだよ〜♪ とっても驚いたでしょ♪」


「はっ……、はい……。戸村先生の言う通りとっても驚きました……」


 そんなの驚くに決まってるじゃない! あれにちゃんとした名称があったことにとってもビックリなんだけど!


「そして私が立ち上げた提供クレジット同好会っていうのは、簡単に言えばそれを熱く語り明かすものなの♪ ワ~ハッハッ☆!」


「朱音ちゃんの言う通りね♪ これはもう楽しい同好会になること間違いないわ♪」


「えっ、嘘でしょ!? 戸村先生がそう思っちゃう程なの!?」


 とりあえず提供クレジットのことやこの同好会の全容は大体理解出来たけど、2人のテンションには変わらず全く付いていけないよ〜……。


「ヌワ〜ハッハ〜☆! それとちなみに♪」


「「私たちはそんな提供クレジットを見るのがとっても大好きで趣味でもあるのです♪ ダブルピース☆!」」


「はっ……? はぁ〜〜っ!?」


 提供クレジットを見るのが趣味!? 何それ全然意味が分からないんだけど!! そんなのを趣味にする人普通いる!? てか谷村さんはともかく戸村先生もそんな謎めいた特殊な趣味を持っていたことにとてもビックリなんだけど! ダメだ……。2人と私の間に完全な温度差が生まれちゃっているよ〜……。といっても元々だったけど……。あはは……。


「ちょっ、ちょっと待って! 提供クレジットって大好きになる程のものなの!?」


「「フッ、当然♪」」


「変に格好付けて言うの何だか物凄くムカつくんですけど!」


 どうやらガチだったみたいね……。私には到底理解出来ない世界なんだけど……。


「提供クレジットを見てると、いろんなドラマがあってついつい感情移入しちゃうの♪」


「はっ……?」


 この人は一体何言ってるの……? 提供クレジットってただのいろんな企業……、要はつまりスポンサーの名前が載るだけだよね……? そんなのにドラマがあるとか言われても私からしたらこれっぽっちも理解出来ないんだけど!


「何でそうなるのよ!? たった数十秒ぐらいしか流れないやつだよね!?」


「あ〜、それ凄く分かる☆!」


「今の分かっちゃうものなの!?」


 もうダメだ……。ますます意味が分からなくなってきたんだけど……。それに私の中での戸村先生のイメージが更に崩壊していくよ〜……。


「まあまあ、驚くのも無理はない☆! そもそも()()()()()()()()()()()()()()()()()の際にみんな顔がポカーンとなって教室全体がシーンとなっていたぐらいだしね♪ イェイッ♪」


「当然そうなるに決まってるわよ! あと凄く可愛いポーズだね!」


 ん……、待って……。自己紹介……?


「あ〜、確かにあの時はそうなっていたよね♪ あまり聞き慣れないワードが出て来たものだから、みんな情報整理が追い付かず頭の中がオーバーヒートしちゃったんだよね♪」


「そりゃあんな特殊な言葉を聞いたら、誰だってオーバーヒートぐらいすると思います!」


 思い出した! 入学式の時に行われたクラスの自己紹介で、谷村さんは提供クレジットのことを凄く熱く語っていたわね。道理で覚えていないわけだわ。あの時の私は谷村さんが何を言っているのかサッパリ分からず、まるで暗号みたいだなと思って終始聞き流していたんだよね……。あはは……。とはいえ、あまりにも意味不明過ぎたから忘れて当然だと思います! うんうん!


「やっぱりそうなるんだよね♪ 仕方ない仕方ない♪ ちょっと強引にはなるけど、以上で提供クレジットの説明を終わりたいと思います☆! 細かい部分はまだまだたくさんあるけど、それは追々説明していきたいと思います♪ 今回は提供クレジットそのものが何なのか分かってくれるだけでとっても大満足です♪ ブイッ☆!」


「まあそれに関しては一応大体のことは分かったわ……。念のために聞くけど……、提供クレジットを見るのが趣味って私からしたらかなり特殊な趣味だと思うの……。谷村さんと戸村先生はそういう自覚あったりする……? こんなこと言って凄く申し訳ないんだけどちょっとだけ気になって……」


「「うん♪ それはもちろん♪」」


「あっ……、自覚はしてたんだね……」


 2人共、自分たちの趣味が如何にマイナーで特殊なのか案外ちゃんと理解しているみたいね……。そこは何だかとてもホッとしたかも♪


「流石にそこは私もユイちゃん先生もバッチリ理解しています♪ そもそも私が提供クレジットを見てキャピキャピッとハマってた姿を見て、家族は唖然とした表情で開いた口が塞がらない状態になったぐらいなの♪」


「そりゃそうなるでしょうね!」


「あと周りにいる他の人たちもこの趣味を中々理解出来ず、最終的には『はっ?』と言われて終始ドン引きされてた程です♪ ニヒッ♪」


「当然『はっ?』と言われてドン引きされるに決まってるじゃない! それと今のをよく笑顔で振り返られるわね!」


「慣れたものなので♪ ブイッ♪」


「慣れたからかい!」


 まさか慣れて免疫がつくぐらい周りからの反応が良くなかったのはごめんだけどちょっと納得しちゃうかも……。そう考えると自覚するのもある意味自然の流れよね……。あはは……。


「ちなみに先生はこの趣味が原因で彼氏と別れたことがあります☆! ドヤッ☆!」


「いや何してるの本当に!? それとドヤ顔で言うセリフじゃないでしょ!?」


「いや〜、最初元カレは先生のことを天真爛漫で明るく可愛い天使様みたいだと思って一目惚れし、その後その元カレから告白されて先生もつい嬉しくなりそのまま交際を始めたわけなんだけど、先生のこの趣味を知ってからというものどうやらイメージがかなり崩壊したみたいでとてもショックを受けて、それからしばらくして一方的に別れを告げられてフラレてしまったの……。しくしく……、ぴえん……」


「そりゃそうなるに決まってるじゃない!」


 戸村先生の元カレさんにとても同情します。私もただいま戸村先生のイメージが絶賛崩壊中です……。うるうる〜……。


「ハァ〜……、全く……。そういえば戸村先生も悲しいはずのエピソードを笑顔で振り返っていましたよね……」


「まあ朱音ちゃんと同じく先生も慣れてるからね♪ ピ〜ス☆!」


「戸村先生も慣れてるんかい!」


 谷村さんだけじゃなく、戸村先生も慣れていたなんてね……。改めて提供クレジットを見ることが趣味なのは相当特殊でマイナーなものだと実感しちゃうわね……。やっぱり私の感覚は間違ってなかった☆! とりあえず良かった♪


「え〜、コホン! というわけで私とユイちゃん先生の悲しい黒歴史がこうして明かされたわけだけど、山井さんいかがだったかな?」


「いや……、いかがも何もその趣味がマイナス方向に生活面で作用してしまってることがよく分かっただけなんだけど……」


「「うんうん、それは仕方ない♪」」


「それでいいんかい!」


 とりあえず自虐ネタをするぐらい、2人が提供クレジットを見るのが大好きなんだなということがよく分かったわ……。正直私自身凄くドン引きしています……。あはは……。それぐらい2人は趣味への愛が強いってことね☆! 強引に自己完結します♪


「とまあ分かるように、提供クレジットを見ることはちょ〜っぴり特殊でマイナーな趣味になるんだけど、さっきも言ったように基本的にはただ楽しくゆっくりのんびりと寛げる同好会になってるからそこだけは安心してね♪ ニヒッ♪」


「うんうん♪ そのことは先生も保証するわ♪ だから山井さんも山井さんで好きなことをしてても全然オッケ~だよ♪ その代わり、たまにはちょっと協力をお願いするけどね♪ ニヒッ♪ というわけで山井さん――」


「「入部届にサインお願いします♪」」


「いや勧誘の仕方がとても雑なんだけど!」


 その後私は渋々入部届にサインし、これにて正式に晴れて提供クレジット同好会への入部が決まったの。


 今でもあまり乗り気じゃないけど、自分で決めた以上はちゃんと最後まで全うしなくちゃね♪ 正直この場面で言うセリフじゃないと思うけど……。あはは……。


 谷村さんが立ち上げた部活もとい同好会は、私が予想した遥か斜め上を超えて、その全容はかなり得体の知れないある意味で不思議なとんでもない同好会でした……。私、この同好会でこれから一体どうなっちゃうの〜!?

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ぐで~んと悩む璃緒とハイテンションな谷村さんの掛け合いが非常にコミカルで読んでいて思わず笑ってしまいました。提供クレジット同好会という斜め上の発想とそれにガチで熱意を燃やす谷村さんと担任の戸村先生のぶ…
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