法律的に正しい『実は、ニートだと思われていた俺は、有能社員で、給料は親父を超えていた。ざまぁ』系統の話
「実は、相談があります。最近、息子が大学中退して、働いていると主張している件なのだが・・」
「どうぞ、この前、来られた田所さんですね」
「ニートの息子が働いていると言っている。何を言っても就職した証明書類を出さない。怪しんだ」
私は、会社の経理グループの佐々木梓、大学生のお子さんがいるお父さんが時々、こういった相談にこられます。昨晩、息子様と次のようなやりとりをされたそうです。
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『親父、俺は働いているの。何度、言ったら分かるの!家に金も入れているだろう?今月は10万も入れている。母さんに聞いて見ろよ』
『ええ、確かに、生活費を入れてもらったけども・・研一、本当に働いているのかしら?いつも部屋でネットをして、たまに外出をしているみたいだけど』
『それが、今の働き方なの。何回言ったら分かるの?馬鹿なの?何故、親父も母さんも信じないの?』
『だから、言っているだろう?就職した証明書や、新しい健康保健証、給料明細書を見せてくれ、それで、コピーを取って、会社に提出するからな。最悪、給料が振り込まれた通帳でもいい』
『何故??そんな証明書なんて不要だよ。給料は手渡しだよ。親父の給料を超えたよ。もうすぐ主任に出世だよ。現金なら沢山ある。見せようか?』
『そうじゃない。会社の健康保険をきる。税控除をきる。扶養手当をきるからだ。お前、まだ、俺の会社の健康保険に入っているぞ!』
『・・・え、うん。そう。聞いてみる・・・』
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我社では、扶養手当、健康保険、税控除を、連動してやります。
税控除、扶養手当は、最悪、お父様が、息子は就業している。見込みで、これから月10万以上稼ぎ、税控除の金額を年内に超える見積もりが大
とでも書いて三文判を押せば、それでいいですが、
健康保険はそうは行きません。証明書が必要になるからです。
うっかり、切ってしまうと、無保険状態になるからです。
これは、会社や保険組合で若干違いがあるそうです。
所得証明書を取り寄せるという手段もありますが、同居の親族ならとれます。しかし、この場合、今、現在の証明にはなりません。
今、市役所でとっても、去年の1/1~12/31までの収入しかわからないのです。タイムラグがありますから、今の状況は分かりません。
「では、田所さん。もう、いっそのこと。息子様を、市役所に連れて行って、国民健康保険に加入させて、その証明書か。健康保険のコピーを提出して下さい。それで、いきましょう」
その時、ニュース速報が流れた。
待合室のテレビから、ローカルニュースで市内の事件が報道された。
「速報です!市内で強盗事件が起きました。自称大学生の田所研一が、強盗容疑で現行犯逮捕されました。白昼堂々、高級質屋に押し入り・・・」
「うわ!息子だ!」
「ええー」
「・・・調べによると闇バイトの募集で知り合った反社会勢力の構成員に、自分名義の口座を売買し、ドラックの運び屋をやっていたと供述しています」
「帰る!後でまた来る」
「お大事に・・」
・・・いわゆる。おっさん世代、当然、賢い人とそうでない人がいます。しかし、共通して、税金や健康保険、扶養手当に関しては、敏感です。これを放置すると、家族に不利益をもたらす場合があるからです。
おそらく、家族を守る責任感から、必要な知識だと本能で分かり。徐々に身につけていくのでしょう。
合掌です。
あ、また、次の相談者が来たわ。
「佐々木君、投資用マンションを買った。住宅控除を教えてくれ」
「あの、住宅控除は、居住用に供するマンションが対象になっていますよ。受けられません。それに、そもそも払った所得税からしか還付金を受けられませんから、還付金を目当てで、投資するのは割合にあいません」
「ええ、もうローンを組んだ!販売員は、受けられると言っていた。そこを何とか!そうだ、住民票を移して、そこから通っていることにすれば」
「ならぬものはならぬのです!」
こんな小さな会社でも詐欺まがいの話はよく聞きます。
・・・ロマンのないことですが、
『実は、ニートだと思われていた俺は、有能社員で、給料は親父を超えていた。ざまぁ』
は成立しなく、
現実は、息子様が犯罪に巻き込まれているのかもしれませんね。
最後までお読み頂き有難うございます。