09.冒険者ギルドで魔力測定して驚かれる
俺たちは元いたゲータ・ニィガ王国を出て、お隣のマデューカス帝国へとやってきた。
王国とは違って、実力主義なこの国では、平民でも貴族になれるという例もあり、俺を欠陥品という色目で見てくる様な事はないだろう。
……という意見をフレアからもらって、俺はここ、マデューカス帝国へとやってきたのである。
我が恋人は非常に賢く、いろんなことを知ってるのだ。好き。
「ここがマデューカス帝国か。綺麗な国だな」
俺たちを乗せた馬車は、国境付近の街へとやってきていた。
街へ続く道も、そしてこの街も綺麗に舗装されている。
馬車が全然揺れなかった。すげえ。
「フレア。ここはなんて街なんだ?」
「【ディ・サラディアス】って領地にある、サラディアスの街よ。帝国の入口的な街で、人の出入りもとても多いの」
サラディアスの街には人間以外にも、亜人、獣人が多く見受けられる。
ここが帝国の玄関口ってことか。
「まずは宿を取りましょう。そしたら冒険者ギルドで登録作業ね」
「お、そうだな。宿はどうしよう」
「おすすめの宿を既にピックアップ済み!」
なんて手が早いのだ。
さすがフレア、しっかりもの。
その後俺たちは宿屋へと向かい……。
なんと、部屋は1つだけとった!
「い、いいんですか……一部屋で?」
比較的大きなベッドに、フレアが腰を下ろしてる。
つんっ、とフレアがそっぽを向く。
「リクはわたしと一緒がいやなの?」
不機嫌にさせてしまった!
そ、そうじゃあなくてだなぁ……。
「ふふっ、じょーだん♡ わかってるよ、リクは私のこと大好きなんだよね♡」
「そ、そうだよ……」
「うむ♡ 素直でよろしい♡ おいで~♡」
フレアが手を伸ばしてくる。
俺を抱きしめてくれるときのポーズだ。
俺はすっかり、フレアに抱きしめてもらうことの心地よさの虜になっている。
ふらふら……とフレアに引き寄せられてしまった。
「きゃーっち♡ ふふっ♡ りーくー♡ よしよし、ここまで疲れましたなぁ」
「まあ……色々あったな」
吸血鬼とか牙狩りとか、モンスターとか。
色々あって、割と疲れた。
「リクはよく頑張りました! だから……明日も頑張ってくださいね」
フレアに頭をなでられてると、体の疲れが一気に抜けて……なんだか眠くなっていく……。
彼女の温かい体に包まれながら、俺は眠りにつく。
明日も……がんばるぞ。
★
翌日、俺はサラディアスの街の冒険者ギルドへとやってきた。
王国のと同じ外観の建物だ。
『おぬしこれから何するのじゃ?』
十字架姿のカーミラが尋ねてくる。
猫、人間、そして十字架へと体を変えることができるのだ。
「このギルドに登録する」
『大丈夫なのか? またやらかさないか?』
「やらかすってなんだよ。ただ登録するだけだぜ? なにもないよ」
俺はギルドの扉をくぐろうとして……。
うぃーん……!
「うぉ! す、すご……ドアが自動で開いたぜ……」
フレア曰く、マデューカス帝国は王国よりも、技術力で勝っているらしい。
魔道具を日常生活に積極的に取り入れてるんだとさ。
はー、すげえなぁ。
「受付は……奥か」
奥に受け付けカウンターらしきものがあり、女の人が対応していた。
列に並ぶことしばし、俺の番になる。
「いらっしゃいませ。当ギルドにどういったご用件でしょうか?」
人当たりの良さそうなお姉さんが俺に笑いかけてくる。
受付嬢さんだな。
「冒険者になりたいんですが」
「でしたら、こちらの用紙に必要事項をご記入ください」
羊皮紙には年齢、性別、職業、取得技能を書く欄があった。
これだけでいいのか……
冒険者ってまじで、経歴をあんまり重視しないんだな。
自由の象徴って言われるくらいだしだもんな。
ややあって。
「できました」
「どれどれ。職業は魔法使い、取得技能は……」
受付嬢さんが固まってしまう。
技能の処には、結界魔法だけしか書かれていない。
さすがはプロだ。
下手に騒いだりしない。
声を潜めて、受付嬢さんが確認してくる。
「……これは、本当に結界魔法だけ、なんですか?」
「……はい。俺はそれしか使えないです」
なるほど……と受付嬢さんがうなずく。
「わかりました」
よかった、拒否られるかと思ったんだが……大丈夫らしい。
「それでは、試験を受けていただきます」
「は? し、試験? 試験なんてあるのか?」
「はい。ここマデューカス帝国では冒険者登録試験を実施しております」
さすが実力主義なマデューカス帝国。
力ないやつが、冒険者にはなれないと。
「といっても、そんなにムズカシイ試験ではありませんよ。ご安心ください」
受付嬢はそう言ってカウンターに水晶玉をゴトリ……と置く。
「まずは魔力測定となります。体内の魔力量を調べますね」
「この魔道具で? 大丈夫、壊れない?」
「はい。大丈夫です。この水晶玉には魔法が付与されており、絶対壊れないようになってます」
なら、安心か。
受付嬢さんがやり方を説明してくれる。
「といっても水晶玉に手で触れて、魔力を込めるだけです。すると、魔力量がこの水晶に表示されます」
受付嬢さんが触れる。
150、と表示が出てきた。
魔力量が多いほど、高い数字になるらしい。
「魔力測定器なんて、あるんですね。王国だと見ませんでした。魔力量を数値化できるなんてすげえ」
「そうですね、帝国が最近開発した魔道具ですもので」
「ふぅん……あの、マジで大丈夫でしょうか。俺結構魔力あるんですけど」
そのときだ。
「おいおいおいおいー! 何調子のってるのぉ、ちみぃ?」
なんか身なりのやたらたといい、太った小僧が声をかけてきた。
「どなた?」
「わたくしはカマッセ! カマッセ・ディ・エチゴーヤ! 帝国貴族のこのカマッセ様を知らんとは、んんぅ? もぐりかなぁ?」
帝国の貴族?
「貴族がなんでこんなところに?」
「うぐ! う、うるさいよ!」
ははん、なにか訳ありなんだな。
「と、ところでちみぃ、みたよぉ。きみ、魔法使いなのに、結界魔法だけしか使えないなんて!」
このやろう、やたらと大きな声でいいやがって。
むかつくやつだな。
「え、結界だけって、おいおい! とんな欠陥品だなぁ! そのくせ、魔力量が凄いですぅ? じょーだんぽいぽい! 初歩の魔法しか使えないやつが、なーに調子乗ってるんだーい?」
ああ、どこ行っても俺はこんな感じの扱いなのな。
まあ、どうでもいいけど。フレアがいるし。
「要件がないならほっといてくれないか?」
「わたくしは善意で、忠告してやってるんだよ! 実力主義なこの国で、君みたいな欠陥品は、冒険者やってけないってねえ」
ああもう、うるさいな。
「もういいか?」
「ちょ、きみ、話はまだ終わってなくて……」
俺は魔道具に手を触れる。
ま、絶対に壊れないっていうなら、別に手加減する必要は無いか。
「せい」
パリィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン……!
「「え……?」」
俺も……受付嬢さんも、思わずぽかんとしてしまった。
いや……そんなに魔力込めてないのに、粉々にくだけちったよ!?
「なぁ!? なんだってぇええええええ!」
カマッセがめちゃくちゃ驚いてた。
「そ、そんな……! 魔力測定の水晶が壊れるなんて!」
「大丈夫じゃ無いわ……前代未聞よ……どうなってるの……?」
すると一緒に着いてきていたカーミラがあきれたように言う。
『おぬしの尋常ならざる魔力量に耐えきれず、魔道具が壊れたのじゃな』
ほらぁ、言ったのに。
『【 】なんぞという人外レベルの魔法を使っても、けろっとしてるのじゃ。そうとうな魔力量なのじゃろう。まだ疲れていないのだろう?』
「ぜんぜん」
一ミリも疲れていないしな。
そこへ……。
「お、お待たせしました。それでは……次の試験です」
「試験ってあとどんくらいあるんですか?」
「マトあてと、実践での試合となります」
なんだあと二つで試験終わりなのか。
随分簡単な試験なんだな。
よし、頑張ろう。
フレアのために、お金一杯稼がないとだしな。
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