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08.ドラゴンくらい余裕で倒せますよね?



 俺たちはミョーコゥの街を出て、途中で牙狩りの面々と出会った。

 その後、俺たちは旅を続けていた。


『リクトよ。これからどうするのじゃ?』


 俺の横でうたた寝する、フレア。

 その膝の上に乗っている白猫、カーミラが尋ねてくる。


「街に行って、冒険者やろうかな」

『ふむ……牙狩りには入らぬのか?』

「ああ」

『どうして? 組織に属すれば、安定した収入と住処が手に入るのじゃろう?』


 確かにそうだ。 

 だが……。


「無理だ」

『なにゆえ?』

「金が……もらえないからだ」


 女騎士セラージュに聞いたのだ。

 牙狩り、お給料が良いならちょっといいかなって思ったんだが……。


「どうやら吸血鬼を倒しても、1ゴールドも支払われないらしい。それと、給料も出ないんだとさ」

『とんだブラック組織じゃな……今まで牙狩り連中は、よく続けられていたな』

「世界を救うっていう崇高な使命感が、彼らを動かしてたんだとよ」

『牙狩りは異常者の集まりじゃ……』


 ほんとそれな。

 

「フレアと暮らしていく以上、金は必要となる。元いた国では定住できないし、結界魔法しか使えない欠陥魔導師、しかも宮廷をクビになったとなれば、魔法をいかした仕事にはつけないだろう」

『なるほどそこで冒険者なのじゃな。地位、身分関係なく、実力だけで評価される』


 ということで、俺は街へ行き、冒険者登録をしようと思っているのだ。

 ちなみに牙狩り連中からは、結界を使って飛んで逃げた。


『おぬしは冒険者やったことあるのか?』

「いや、一度も。村を出てすぐ学校、すぐ宮廷入りしたからな。冒険者はやったことないな」

『大丈夫なのか? おぬし少々常識がアレじゃから……』

「滅するぞ」

『ひぅ……!』


 まあ大丈夫だろう。

 冒険者なんてやったこともないけれども。


「師匠のとこで、修行してたしな。戦いの心得も【多少】あるし」

『師匠?』

「俺に結界魔法のイロハと、結界を用いた戦闘技法の基礎を教えてくれた人だよ」


 先生との特訓があったおかげで、基本的な戦い方は身についてるのである。


 まあ、実践経験のなさは否めないがな。

 でもこの結界があれば大丈夫だろう。どんと来いモンスター。


 と、ちょうどそのときである。


「ギャロォオオオオオオオオオオオ!」


 ちょうど上空から、モンスターの泣き声がした。

 窓から顔を覗かせると……。


「お、ちょうどいいとこに、ドラゴンが」

『え!? なにその軽いノリ……!? ドラゴンじゃぞ、強力なモンスターじゃぞ!』

「師匠と修行してたとき、何回も倒したことあるし、大丈夫」


 それに。


「あのドラゴン高値で売れるからさ。【結】」


 俺は窓から手を伸ばして結界術を発動させる。

 すると……。

 

 ひゅるるるる~……。

 どさ……!


『な、なんじゃ……!? ナニが起きたのじゃ!? 急にドラゴンが墜落したぞ!?』


 俺は馬車を止めて、ドラゴンの元へ向かう。

 緑色の綺麗な鱗をしている。


 緑竜グリーン・ドラゴンだ。


「よしよし」

『いやいや! ナニしたのじゃおぬし!?』

「え、結界で窒息させただけだぞ」

『ちっそくぅううううううううううううううううううううう!?』


 緑竜グリーン・ドラゴンは白目剥いて死んでいた。

 

『窒息って……どうやって?』

「簡単だよ。結界でドラゴンの顔の周りを覆う。あとは内部の空気だけを外に出せば、窒息死する」

『空気だけを選別してだすなんて……できるのか?』

「当たり前だろ。結界を張るってことは、その中の領域を支配したってこと。ならその中にあるナニを守って、何を守らないか、分けることくらいできて当然だろ?」

『当然じゃない! 全然当然じゃないのじゃ! おぬしの結界術はおかしすぎるのじゃ!?』


 ううん、そうだろうか……。


『と、というか、なぜそうも無自覚なのじゃ?』

「そりゃ、俺の周り誰も結界魔法を極めたやついないからな」


 結界魔法って言うのは、初歩の魔法だ。

 誰でも使えるお手軽なもの。


 ゆえに誰も極めようとは思わない。

 だって他に魔法ってたくさんあるし、極めなきゃ結界で攻撃なんてできないし。


 敵を倒すんだったら属性魔法(火球ファイアー・ボールとか)で良いわけだからな。


「結界魔法を極めたやつがほかにいないからさ、これが変だって言われても、ね。比較する結界師がいないしよ」

『特殊すぎて、自分が異常者と気づかないってことか……』


 さて。


『というか、なぜ窒息させて殺した? おぬしなら【バレット】で遠隔から打ち落とすことも可能じゃろ?』

「まあ、でもそうするとほら、鱗が壊れちゃうだろ? 魔物の死骸は綺麗なほうが高く買い取ってくれるしよ」

『だから窒息させて殺したのか……』

「そういうこと。さて【収納インベントリ】」


 しゅおん……!


「よし」

『よしじゃねえええええええええええええええ!』


 また叫んできた。

 うるさい猫だな。


『え、なに!? 何が起きたのじゃ!? 目の前でドラゴンの死体が消えたぞ!?』

「ああ、結界に収納した」

『結界に!? 収納!? 何一つ言ってる意味がわからんぞ!』


 そこからか。


「いいか? 結界って言うのは、つきつめれば空間魔法の一種なんだ」

『その時点で着いてけないのじゃが……』

「ようは結界の内部は、別の空間になっている。この世じゃない異空間だな。そこにものを収納するのが、補助式【収納インベントリ】」


 よしよし、良い感じで金が手に入ったぞ。

 あとはこれを売るだけだ。


『ぬしはなんというか、変なやつじゃな……』

「そりゃそうだろ、欠陥魔導師なんだから。変で当然。だから何って感じ」

『おぬし自分が結界しか使えぬっていう異常な状態が日常で、感覚がバグってるのじゃな……』

「バグってる? 弱いってこと?」

『強すぎるって意味じゃよ! どうしてそうなるんじゃ!』


 地団駄を踏むカーミラ。


「いや周りが俺を欠陥品って呼びまくるから」

『真なる吸血鬼を一方的にボコっておいて!?』

「吸血鬼がそもそも強さのランクわからねえしよ」

『いにしえの時代、最強種と恐れられた強力な存在なんじゃよ!』

「実際に見てないし、昔のこと引き合いに出されてもなぁ」

『むきぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!』


 ゴロゴロと転がるカーミラを、ひょいっとつまみ上げる。


「さて帰るか」

『む! リクト、敵の気配じゃ。それも、大勢!』


 見上げると……。


「おー! あれは……お宝の山じゃあねえか!」


 大量の緑竜グリーン・ドラゴンが、ばっさばっさと飛んでいるではないか!


『まさかおぬし……あれも?』

「もちろん。【結】! 補助式……【鳥籠プリズン】!」


 巨大な球体が、空を飛ぶ緑竜グリーン・ドラゴンの群れを覆い尽くす。


「む?」

『どうした?』

「いや、なんか変なやつが一匹いるな」


 ばきぃん! と1匹のドラゴンが鳥籠を破ってきた。


『おぬしの結界、やぶられるところ初めてみたぞ!』

「結界は範囲を広げれば強度がおちるからな。それでも……ぶち破ってきたってことは、そこそこやるやつのようだ」


 緑竜グリーン・ドラゴンの群れの奥に……。


【オロロオロロオォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!】


屍竜ドラゴンゾンビじゃ!』

屍竜ドラゴンゾンビ? なんだそれ?」

高貴なる血族(ノーブル・ブラッド)の眷属じゃ。死して、吸血鬼の血を与えられると、あんな風に腐ったドラゴンの化け物となる!』


 屍竜ドラゴンゾンビ緑竜グリーン・ドラゴンの10倍くらいでかかった。

 なるほど……あれは吸血鬼化したドラゴンってことか。


「あんだけ腐ってたんじゃ、買い手はないだろうな」

『ど、どうするのじゃ? また封印するのかの?』

「いや、吸血鬼化してるっていっても、不死じゃないだろ」

『う、うむ……不死なのは吸血鬼だけじゃ。やつは所詮眷属、不死性はない』

「じゃ、用済みだな」


 俺は両手で、まるでおにぎりを作るように構える。


『な、何をする気じゃ? やつの腐った血肉は大地や大気を汚す。下手に傷つけるのは悪手じゃて』

「わかってる。だから、塵も残さず消し飛ばす」

『は?』


 俺の手の中で……小さな結界が産まれる。

 それは徐々に黒い光を発する。


『な、なんじゃ……!? 何をする気じゃ!?』

「結界変形。奥義……【  】(くうはく)!」

『く、【  】(くうはく)……?』


 俺は作り上げたその黒い光の玉を、前に突き出す。

 小さな玉は屍竜ドラゴンゾンビのもとへ飛んでいくと……。


 ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


『ふんぎゃぁああああああああああああああああああああああああ!』


 大爆発による突風で、カーミラが吹っ飛ばされる。

 あとには……塵一つ残らず、消滅した。


「勝った」

『何じゃ今のぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?』


 カーミラが戻ってきて、何も無くなった空間を指さす。


『なんじゃあれは!? 何をしたのじゃ!?』

「何って……奥義、【  】(くうはく)だよ」

『だからなんじゃ【  】(くうはく)って!?』


 俺はカーミラに説明する。


「この世には原子っていう、小さな粒が存在するんだ。結界で作った特定の原子を、中性子っていう別の小さな粒にぶつけると、その粒が分裂し、そのときに凄いエネルギーが発生するんだ」

『い、意味がわからん……』

「師匠は【核爆弾】と同じ原理って言っていたな」

『何一つ理解できないのじゃが……』


 俺もそうだ。


「この奥義【  】(くうはく)は、結界で原子っていう小さな粒を作れ、操ることができる俺にしかできないみたいだ」

『よくまあこんな、悪魔みたいな技を思いつくな。何者じゃ、その師匠とやらは』

「ラブマリィって言うんだけど」

『!? せ、世界魔女……!? おぬしは世界魔女の弟子だったのか!?』


 なんだその、世界魔女って……?


『この世界に存在する。八人いる凄まじい力を持った魔法使い、賢者。そのうちのひとりが、世界魔女ラブマリィ』

「へー、そうなんだ。師匠はいろんな、聞いたことない知識を教えてくれてさ。【  】(くうはく)のアイディアもそうだけど」

『そうか……世界魔女なら知ってるな……ううむ……やばすぎるじゃろこいつ……』


 やばすぎるって……。


「ああ、変って意味か?」

『強すぎるって意味のヤバいじゃよ! なぜわからんのじゃ!』

「いや、魔法の方が凄いだろ。何もないとこから火とかだすし」

『全てを消し飛ばす破壊の光を発生させる方がやばいじゃろうがよぉおおおおおおおおおおおおおおお!』

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 核分裂の原理って言っているけれども、基本的にはウランの様な原子量の大きな不安定な原子で起こることであって、炭素のような比較的原子量の軽く安定しているものに中性子をぶつけても核分裂反応は…
[一言] 吸血鬼がうるさいというか品性がない。頭文字Dのイツキみたい。
[一言] アブな過ぎ。こんなとこで中性子爆弾なんか使ってんじゃねー!
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