67.理解不能
妖精郷にて。
妖精王のもとへ向かう俺たちに向かって、敵が襲いかかってきた。
敵が接近しているけれど、俺の心が乱されることはない。
印を組み、そして……結界術を発動させる。
「【杭】」
俺は結界を自在に変形できる。
杭状の結界を、敵の足下から突き出るようにして構築。
音は聞こえないが、結界が敵を貫いたことは理解できた。
しばし敵はもがいていたが、やがて、動かなくなった。
「倒したぞ」
「は……? な、なんでそんなことわかるんじゃ……? 敵の姿は見えんぞ……?」
カーミラが首をかしげてる。
「まあな。ちょっと離れたところに敵いるし」
「いや、なぜおぬしはそんな離れたところの敵を、倒したとわかるんじゃ……?」
「え、構築した結界を中心に、結界を構築してるからだけど」
「は……? な、何を言ってるんじゃ……?」
結界の構築には起点となる座標が必要となる。
結界(杭)を構築し、そこを起点として、新しい周囲を探知する結界を張ったのだ。
だから、離れた場所にいながら、何が起きたのか把握できていたのである。
「わ、わからん……おぬしが何を言ってるのか、一ミリたりともりかいできんのじゃあ……」




