66.似たもの
毒ガスの蔓延する、妖精郷。
だが、俺は結界で有害物質を取り除けるので、特に気にせず進んでいけた。
フレアも特に怖がっている様子はない。
……やっぱり置いてきたほうがって気持ちはあるが、その間に知らんやつに襲われるリスクもあったからな。
「敵だな」
「!? わかるのですかぁ?」
エバーグリーンが目を丸くする。
「まあな。俺たちを囲う結界の外に、気配を探知する薄い結界を張ってるから」
探知の結界。くぐった瞬間、敵の接近がこちらにわかるという結界だ。
これには守るという機能を意図的にオフしてる。
そのかわり、範囲を広げることができる。
「広い結界に防御機能を持たせればいいのではないかの?」
「そうはいかないんだよ。結界は広げるほど、破られやすくなるんだ」
「なるほど……だから、守る機能を意図的にオフにすると……。そんなこと、できるのか?」
「? できるけど」
カーミラが大きくため息をつく。
「フレアはどう思うのじゃ……?」
「え? リクができるって言うなら、できるんじゃあないの?」
「そうであった、この娘はそもそも結界師じゃあないから、わからぬのだったな、基準が……」
俺も自分以外に結界の使い手がいないから、これができて当然だと思ってる。
「変な夫婦だよおまえたちは……」
「「いやあ、それほどでも」」
カーミラは大きくため息をつくのだった。




