61.不変
エバーグリーンの作った、まあまあそこそこ美味い料理(フレアの手料理には敗北するが)を食いながら、彼女に尋ねる。
「で、これからどうするんだよ」
「? どうするってどういうこと、リク?」
そういえば、フレアには、まだこれから何するのか簡単にしか説明していなかったな。
それに、エバーグリーンのことも言ってなかったわ。
……下手に嘘をついて、墓穴を掘るよりは、ちゃんと言っておいた方が良い。
「実はこの女、妖精なんだよ。で、俺らを妖精の世界に連れてってくれるんだそうだ」
さて……どうなるかな。
「えー! すっごーい!」
フレアが立ち上がって、エバーグリーンに抱きつく。
「妖精ってちっちゃくって可愛いものだとばかり思ってたよー! こんな素敵なお姉さんが妖精なんだー!」
フレアが無邪気に笑ってる。
『ちょっとあの女、素直すぎないかの……?』
猫姿のカーミラがあきれたように言う。
「フレアはそういうやつだからさ」
あるがままを受け止める女性なのだ。
『……自分の正体が、人外だいう事実を知っても? 素直に受け止めるかの』
……痛いところついてくるぜ。
その質問の答えについては、わからない、としか答えられない。
フレアが自分の正体について知ってなお、俺の知ってる彼女のままで居られるかは……。
わからないし、教えたくない。
俺はフレアに、今のままで居て欲しい。
『永久に不変のものなんて、ありはしないぞ。主よ』
……不死者が、そんなことを言う。
うるさいよ、と俺は答えておいたのだった。そんなの、わかってるっての。




