53.幻術
エバーグリーンが何らかのズルを使って、俺の結界を破ってきてる。
「降参しますかぁ?」
「まさかだろ。【星】」
結界を弾丸に変えて発射。
無数の弾丸がエバーグリーンに襲いかかる。
だが……弾丸がエバーグリーンに当たることは無かった。
『うにゃー!? どうなってるのじゃ!? 確かに弾丸はやつの体を蜂の巣にしたはずなのに!?』
「ふふふ~♡ 良いリアクションですねぇ~♡ かわいい~♡」
……妙だ。
手応えがなさ過ぎる。
透過能力か。
いや、だとしても結界で探知できないのはおかしい。
「さぁ、いきますよぉ!」
エバーグリーンが茨の鞭で攻撃してきた。
俺は相手の攻撃の軌道を呼んで、ジャンプしてかわす。
バシッ……!
「あらぁ、硬い鎧ですねえ」
今、確かに向こうからの攻撃を受けた。
おかしい。あのタイミングでよけたのだ、攻撃があたるはずがない。
こちらの当たるはずの攻撃が当たらず、向こうの当たらないはずの攻撃が当たる……。
……師匠の言葉を思い出す。
『目で見て何か違和感を覚えたときは、向こうが何かこちらの視界にズルをしてるケースが多い』
……なるほど。
そうか、幻術か!
どういう幻術かはまだ判然としない……が。
やつが幻術を使ってきてるなら、この違和感の正体についてもわかる。
幻術で俺の視界に干渉してきてる状況。
ならば……。
『おいどうした!? いきなり目なんぞ閉じて!? 死ぬぞ!!!!!』
俺は目を閉じてその場に立つ。
カーミラが叫ぶとおり、このままでは相手の攻撃をモロに受けてしまう。
「あきらめちゃったんですかぁ~? じゃあ、これで終わりですねぇ~!」
敵の攻撃が、来る。
俺はそれを、避けた。
『なにぃい!? 避けたじゃとおぉ!?』
……やはり、相手は幻術使いだ。
なら、このやり方で勝てる。
「さぁ、反撃開始だ」




