51.怪しい女
牙狩りの女、エバーグリーン。
こいつから、謎の提案をされた。
「……フレアに永久的な安全を、与えることができるだって?」
「ええ♡」
……嘘くせえ話だ。
師匠ですら、護衛である俺を立てること以外に、フレアをどうにもできなかったのに。
こんなポッとでの妖しいやつが、フレアに安全を与えることなんてできるわけが……。
「ラブマリィさんのお弟子さんなんでしょ、あなた?」
「っ!」
世界魔女、ラブマリィの情報をどうしてこいつが……?
「何でも知ってる系お姉さんなので♡」
「…………」
妖しい。妖しすぎるだろこいつ。
俺以外の、師匠の弟子っていう可能性だってある。
が、師匠が俺に弟子の情報を教えてくれなかったのはおかしい。
その弟子が、師匠や俺すら情報を持っていることもおかしい。
結論。
「誰がおまえの話なんて信じられるか」
牙狩りは敵だ。フレアを、人外を排除しようとする組織だ。
俺は【星】を発動。
結界を弾丸にして飛ばす。
「それは残念」
エバーグリーンは懐から1本のバラを取り出す。
バラをぱっ、と手放す。
バラの先端が地面に刺さった瞬間。
ズォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
巨大な茨が地中から生えてきたのだ。
茨は生き物のように動いて飛翔する弾丸を受け止める。
防ぐ、弾くではなく、受け止めたのだ。
……中々やるなこいつ。
「では、お話を聞いてもらうために、すこぉしだけ乱暴しちゃいますよー♡」




