49.夜襲
夜、俺はホテルの屋上に来ていた。
値段が高いホテルだからか、建物の高さも相当なもんだった。
屋上は庭園となっていた。
色とりどりの美しい花々が咲き誇ってる。
『なんじゃ? 牙狩りのやつはおらんではないか』
カーミラの声が響いてくる。
現在彼女はここにはいない。牙狩りのもとに顔を出したくないらしい。
フレアのとこにいるのだ。
カーミラは魔法で俺と意識を共有してる。
やつはフレアのとこにいながら、この場の様子も見えてるってことだ。
「おまえ、本気でのんきよな」
『なんじゃと?』
プシュッ!
乾いた音とともに、こちらに何かが飛んできた。
「ほいっと」
俺はとんできたそれらを、その場でよけず、指の隙間で受け止める。
両の五指の間には、針がおさまっていた。
『針? どこから……ふぎゃあああ!』
カーミラの苦しむ声が脳内に響いていた。
『おか、お、かしい、わ、わらわはこの場にいないのに! 体が重い……! 攻撃された!?』
ふむ。どうやら敵もまあまあやるやつみたいだ。
吸血鬼にダメージを与えるなんてな。
しかしこれ、ほっといたらカーミラ滅せられるな。
しかたねえ。
俺はダン! と足踏みする。
瞬間……
『あ、あれ? 体が軽くなったのじゃ』
「お前にダメージを与えてた針を抜いてやったからさ」
『針じゃと!?』
そう、俺の影のあった場所のちかくに、針が転がってた。
「その針が、影を通して、おまえにダメージを与えてたんだよ」
『どういうことじゃ?』
「原理としては呪詛返しに近いかな。おまえ、俺の影を媒介にして、こちらの様子見を遠隔で伺ってたろ? 敵は媒介を通して、本体であるおまえに直接ダメージを与えたのさ」
『ううむ、何を言ってるかさっぱりじゃ……。が、お前さまのおかげで助かったことだけは理解したぞ。ありがとうなのじゃ!』
ま、猫姿のカーミラのことを、フレアは気に入ってるからな。
死なれたら困るわけ。だから助けた、それだけさ。
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