48.次の刺客
蠍のスコーピオンを撃破し、街の連中を蘇生させた。
冒険者として魔物(※スコーピオン)を撃破したってことで、報酬ゲットした。
ただ働きにならずにすんでよかったよ。
ややあって。
俺たちはこの街にある立派なホテルへと通された。
「わー! すっご……みてみてリク! ひっろーい!」
俺たちに与えられたのはVIPルーム。
ホテルの最上階の、最も豪華なお部屋だ。
フレアは高級ホテルに泊まれるってことではしゃいでる。
ふかふかのベッドにダイブして、コロコロと転がっていた。くっ……可愛い……。
「りーくー♡ おいでよー! 一緒にゴロゴロしよー?」
なん……だと……?
フレアと一緒にベッドでゴロゴロ……。
したい、ものすごくしたい……!
が。
「ちょっと待っててな」
「ん? どうしたの?」
「ちょっとな」
俺はドアの前までやってくる。
ガチャッ……!
「何かようか?」
「…………」
そこには翡翠の髪をした、女が立っていた。
従業員の制服に身を包んでいる。
彼女は部屋のドアをノックする前に、俺がドアを開けたのだ。
だから、彼女はぽかんとした表情を浮かべていた。
が、それもつかの間。
「こんにちは~♡ ルームサービスでーす♡」
にっこりと笑うと、女がカートを俺の前に持ってくる。
「ルームサービスなんて頼んでない」
「オーナーからサービスでーす♡ 街を救ってくれてお礼だそうでぇ~♡」
カートの上にはバケツに入った高そうなシャンパンと、おつまみが置いてあった。
俺は結界でそれらを包み込み、毒が入ってないかを確かめる。
毒【は】入っていなかったな。
『なんじゃい引っかかる言い方じゃな』
俺の足下へとカーミラが近づいてきた。
俺はカーミラを蹴飛ばす。
『ふぎゃ! なにすんじゃー!』
やれやれ、のんきなやつだ。
危うく殺されかけたっていうのにな。
『どういうことじゃ……?』
よくろ、おまえがさっきまで立っていたばしょ。
『ん? んん!? は、針じゃ! 針がささっておる!?』
目では見えないほどの、極細の針が地面に刺さっている。
それを結界で包むと、致死毒が含まれてるのがわかった。
『この女が……わらわを殺そうとしていたのか……?』
だろうな。牙狩りだろう。
『牙狩り……』
緑髪の女が微笑みながら立ち去っていく。
俺はボトルを手に取る。
ボトルのラベルには、こう書かれていた。
【今夜ホテルの屋上で♡ まってまーす♡】
……ふぅ。また厄介事が舞い込んできやがった。なかなかゆっくりさせてくれないな。




