47.おまえならね
スコーピオンを封印した。さて、あとはとらわれてる街の人たちを助けて、終わりだな。
『しかし街の人たちはどこにいるんじゃろうか?』
「もう場所はわかってるよ」
『なに? どこじゃ?』
「地中」
俺はとんっ、とその場で足踏みする。
ぼこ! ぼこ! と地面から球体の結界に包まれた、街の人たちが次々と浮かび上がってきた。
『地中に閉じ込められていたのか! しかし、いつこやつらの場所を調べたのじゃ?』
「ムカデとの戦闘中に、周囲に探知用の結界を広げてな」
今回の戦いは、単に敵を倒しておしまいじゃなかった。
人助けも必要だったからな。
『ううむ……しかし戦闘の片手間に人助けをするとは……すごい……』
町の人の居場所はわかっていた。
あとはその人たちに結界を張って、地上へと運び出した次第だ。
『街の連中……これ、死んでないか……? 息してないのじゃが……?』
まあ、そらそうだろうな。
地中に閉じ込めていたんだから。息できないんだし。
「ま、問題ないよ」
俺は彼らの周りに治療用の結界を張る。
「かは!」「はあはあ……」「あ、あれ……? おれ、生きてる?」「どうして……?」
街の人たちが一気に目を覚ます。
『ど、どうなってるんじゃ……?』
「ん? どうした?」
『いや、全員死んでおっただろうが!』
「そうだな」
『そうだな!?』
それがどうしたんだろう……?
「魂を肉体に戻し、無酸素状態で傷ついた体の細胞を結界で修復すれば、人って生き返るだろ?」
肉体がなかったり、魂があの世にいっていたら、蘇生不可能だけど。
「人間の蘇生なんて、簡単だろ?」
カーミラは深々とため息をついた後、『そりゃ、人外ならな』と言ったのだった。




